適応計画策定のステップ

(1)適応計画策定の8つのステップ

適応計画策定の流れは、下の図のように、大きく分けて8つのステップからなります。

図1 適応計画策定の8つのステップ

図1 適応計画策定の8つのステップ

ステップ1:ゴールとプロセスをイメージする
最終的なゴールは、精緻な影響評価に基づく適応計画の策定ですが、それは数年以上の長い期間を必要とします。まずは、短期のゴールとそこに至るまでのプロセスをイメージします。
ステップ2:適応の推進体制を構築する
適応は、幅広い分野に関係するため、最初に庁内で適応の推進体制を構築することが重要になります。これにより、その後のステップでの作業や実効性ある適応策の検討がしやすくなります。
ステップ3:現在の気候変動とその影響を整理する
適応策の検討には、地域における現在の気候変動とその影響について知る必要があります。気温、降水量、極端な気象現象等の現在の状況と関連して生じている様々な影響を整理します。
ステップ4:将来の気候変動とその影響予測を整理する
将来の気候変動とその影響の予測についても知る必要があります。地域における気温、降水量等がどのように予測されているか、関連してどのような影響が予測されているか整理します。
ステップ5:既存施策における気候変動影響への対応等を整理する
適応の効果を持つ施策は、自治体の各部局で既に取り組まれています。このような適応の効果を持つ既存施策について整理します。
ステップ6:気候変動影響を評価する
ステップ3から5の作業を踏まえ、自治体にとって特に優先度の高い分野・項目を特定します。
ステップ7:適応計画を策定する
影響評価の結果を踏まえ、適応計画を策定します。計画の位置づけや、適応に関する基本的な考え方・方向性、具体的な適応策等を盛り込んでいきます。
ステップ8:住民等と情報共有を図る
適応は、行政だけでなく、住民や事業者が主体的に取り組むことが重要になります。適応はまだあまり一般に浸透していない新しい分野であるため、情報共有を図っていきます。

以上のステップは一度実施したら終わりではなく、定期的に最新の知見を取り入れ、計画の進捗を管理し、必要に応じ影響評価や適応計画を見直すことを繰り返していきます。

(2)8つのステップの応用-実際の適応計画策定の流れは多様である-

8つのステップは、それぞれをさらに具体的な作業要素に分解すると、図に示すような流れになります。これは、理論的・理想的な気候変動影響評価及び適応計画策定を想定して、実施することが望ましい作業要素が含まれたものとなっています。

ここで重要な点として、これはあくまで理論的な流れですので、実際にこのとおりの順番に進むとは限りません。また、すべてを実施しなければならないというものでもありません。

途中のステップから着手し始めることもありえますし、いくつかのステップが同時並行で進む場合もありえます。あるステップを踏むことで全体の動きが停滞してしまいそうであれば、それをスキップして先に進むことも考えられますし、一旦は予算・時間等の制約から簡易な方法で済ませたステップに後で戻ってより本格的な方法で検討することも考えられます。

既に取り組んでいる自治体の多くが、各自治体の諸事情を踏まえながら、必要な作業要素を組み合わせ、独自の流れで取り組んでいます。

精緻な影響評価の完成を待って適応計画の検討を始めようとすると時間がかかるため、入手しやすい既存の予測情報や簡易な影響評価の結果、既存施策の整理結果等を随時活用しながら適応策を検討する、あるいは、もともと自治体にとって優先度の高い分野を中心に適応計画を検討する、等の進め方が効率的です。

図2 適応計画策定の流れ

図2 適応計画策定の流れ

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