地域気候変動適応センターの関係者が実施する調査研究の事例

調査研究への参加を検討する際のご参考としていただけます。


対象分野

  • 気候予測・観測
  • 農業・林業・水産業
  • 水環境・水資源
  • 自然生態系
  • 自然災害・沿岸域
  • 健康
  • 産業・経済活動
  • 国民生活・都市生活

環境研究総合推進費(環境省)

環境研究総合推進費は、環境省が必要とする研究テーマ(行政ニーズ)を提示して公募を行い、広く産学官の研究機関の研究者から提案を募り、評価委員会及び分野毎の研究部会の審査を経て採択された課題を実施する、環境政策貢献型の競争的資金です。
2020年度の公募要領では、環境問題対応型研究は年間40百万円以内(期間は3年以内)、各新型研究開発若手枠は年間6百万円以内(期間は3年以内)、課題調査型研究は年間13百万円以内(期間は基本1年)となっていて、研究代表者は、地方公共団体の試験研究機関、大学やその附属研究機関等に所属している研究者であることが求められています。

水防災・農地・河川生態系・産業への複合的な気候変動影響の評価手法の開発と適応策の共創

水防災・農地・河川生態系・産業文化に及ぶ複合的な気候変動影響を地域視点で総合評価する手法を構築するとともに、適応策の立案までを地域の様々なステークホルダーとの協働により実現する。本研究は2つのサブテーマからなり、サブテーマ1では、河川氾濫原の水害リスク、水田農業、河川と農地が支える生物多様性の総合評価により、気候変動を背景として増加する洪水・渇水、コメの高温障害などに対する適応オプションの実効性を評価しながら、生物多様性保全とのコベネフィットを産みだす適応シナリオの創出を目指す 。サブテーマ2では、世界農業遺産「清流長良川の鮎」として認定され、地域循環共生圏のモデルとされる長良川流域を対象とし、河川生態系と地域の産業・文化活動に気候変動が及ぼす影響評価手法の開発から主なステークホルダーの適応策の創出までを目指す。

研究代表者等
原田守啓(岐阜大学高等研究院地域環境変動適応研究センター/岐阜県気候変動適応センター)
研究期間
2020-2022(年度)
  • 農業・林業・水産業
  • 水環境・水資源
  • 自然生態系
  • 自然災害・沿岸域

建物エネルギーモデルとモニタリングによる炭素排出量・人工排熱量の高精度な推計手法の開発

人工排熱量・炭素排出量(以下、熱・CO2排出量)の新たな推計手法の構築に向け、都市域で、CO2と酸素濃度、放射性炭素同位体比、熱収支の同時観測を行い、排出起源毎の熱・CO2排出量の定量化を行った上で、民生部門の熱・CO2排出量を対象に、数値モデルによる新たな推計手法を提案する。モデル解析より得られた原単位等を利用し、建物からの熱・CO2排出量推計と他部門の既存の推計手法とを組み合わせ、モニタリングとの検証を重ねることによって数理モデルを構築し、高精度な熱・CO2排出量のインベントリ推計を行う。また、この知見に基づいて簡易に全国で排出量インベントリ推計が可能となるツールを作成する。

研究代表者等
原政之(埼玉県環境科学国際センター)
研究期間
2019-2021(年度)
  • 国民生活・都市生活

気候変動適応を推進するための情報デザインに関する研究

地域の気候変動適応を推進するために必要な情報デザインの開発を⾏う。サブテーマ1では、さまざまな気候変動情報を、産官学のリスクコミュニケーションの場を活⽤し、情報作成ガイドラインとしてまとめる。サブテーマ2では、地域で収集された⾼密度気象情報を⽤いた詳細なメッシュ情報を整備し、サブテーマ3では、地域の気候変動マップを作成する。サブテーマ4では、豪⾬および融雪を対象とした⼟砂災害リスクモデルを⽤いて、⼟砂災害警戒区域における発⽣確率等の情報を作成し、サブテーマ5では、農作物の凍霜害および森林の⾬氷害を対象として、凍霜害、⾬氷発⽣の短中期リスク情報を作成する。サブテーマ6では、教員が屋内外における児童の熱中症予防の判断基準となる情報を作成する。

研究代表者等
浜田崇(長野県環境保全研究所)
研究期間
2019-2021(年度)
  • 気候予測・観測
  • 農業・林業・水産業
  • 自然災害・沿岸域
  • 健康

超高解像度気候予測値を用いた森林生態系の炭素収支の将来予測と森林管理の効果の評価

アンサンブル気候予測値と陸域生態系モデルを利用して、山岳域のカラマツ人工林を対象に森林生態系の炭素収支を高精度に予測すること、成熟期のカラマツ人工林に対して間伐や樹種転換を行った場合、将来の炭素収支がどの程度変わるかを評価して効果的な人工林の管理方法を提案することを目標とする。これらの目標を達成に向けて、サブテーマ1として、カラマツ林の葉面積指数の連続観測による衛星のフェノロジー観測の検証、サブテーマ2として、土壌呼吸速度の連続観測と環境応答性の解析、サブテーマ3として、超高解像度気候予測値と陸域生態系モデルによる炭素収支の評価を行う。

研究代表者等
栗林正俊(長野県環境保全研究所)
研究期間
2018-2020(年度)
  • 自然生態系

気候変動適応技術社会実装プログラム・SI-CAT(文部科学省)

SI-CAT(気候変動適応技術社会実装プログラム)は、日本全国の地方自治体等が行う気候変動対応策の検討・策定に汎用的に生かされるような信頼性の高い近未来の気候変動予測技術や気候変動影響に対する適応策の効果の評価を可能とする技術を開発します(本事業は現在は終了しています)。

課題1:近未来予測 
課題2:ダウンスケーリング / モデル自治体 茨城県(筑波大学)

茨城の沿岸は長大な砂浜と変化に富んだ岩礁から成り、自然の恵みを享受しながら沿岸を安全に利用するためには、海象を正しく理解した施策が必要である。気候変動により予想される波浪、海水位、波高、水温等の様々な物理環境の変化をふまえ、設計外力や海岸地形の変化、水産環境や被災リスクなど、沿岸の防災、環境、利用に影響を与える要因とメカニズムを明らかにし、適応策の検討を行う。

研究代表者等
武若聡(筑波大学)
研究期間
2015-2019(年度)
  • 自然災害・沿岸域

課題1:近未来予測 
課題2:ダウンスケーリング / モデル自治体 埼玉県(埼玉県環境科学国際センター)

埼玉県の気温上昇は激しく、稲への高温障害の発生や、熱中症搬送者数の増加など、様々な分野で影響が顕在化している。この様な気温上昇は、気候変動だけではなく、急激な都市化によるヒートアイランド現象による影響も大きいと考えられるが、何れにしても気温は上昇し、さらに暑熱によるリスクが高まると予想される。そこで埼玉県では、行政部局とともに適応策の施策への実装を進めるとともに、ヒートアイランド対策を推進するため、緑化等の対策技術の定量化をシミュレーション等を行い検討する。

研究代表者等
嶋田知英(埼玉県環境科学国際センター)
研究期間
2015-2019(年度)
  • 国民生活・都市生活

課題1:近未来予測 
課題2:ダウンスケーリング / モデル自治体 佐賀県(九州大学)

佐賀平野は、軟弱な粘性土地盤により形成さたれた広大な低平地である。そのため、洪水や高潮に対して非常に脆弱であり、想定以上の豪雨や台風に襲われた場合には甚大な被害を被る可能性がある。こうした被害の低減のために、佐賀平野を対象として豪雨や台風に伴う自然災害(洪水・高潮等)の被害について様々なシミュレーションを行い、気候変動に対する適応策を検討する。

研究代表者等
橋本典明(九州大学)
研究期間
2015-2019(年度)
  • 水環境・水資源
  • 自然災害・沿岸域

課題3 影響評価 / モデル自治体 茨城県(茨城大学)

農業生産額全国第2位の農業県である茨城県における農業を対象に、自治体との協働により温暖化影響が懸念される作物を抽出し、それらの影響評価を実施した上で影響に対する適応策も合わせて提示することによって茨城県の適応政策への反映を目指す。これまでに水稲の白未熟粒発生予測モデルの開発と適応シミュレーション、さらに地域のJAと適応栽培技術の抽出作業を行っている。茨城大学は茨城県地域気候変動適応センターの機能を担うことになり、本研究の成果もより直接的に社会へ還元していくことを目指している。

研究代表者等
田村誠(茨城大学)
研究期間
2015-2019(年度)
  • 農業・林業・水産業

課題3 影響評価 / モデル自治体 長野県(長野県環境保全研究所)

長野県では、気候変動適応の推進体制を構築することを目標としている。そのため、県内のさまざまな気象情報を一元化するための観測ネットワーク(信州・気候変動モニタリングネットワーク)を構築し、気候変動の詳細な実態の把握を行っている。また、農業、防災、生態系、都市・健康などの分野を中心として、気候変動の影響予測情報をもとに、適応を検討する場(信州・気候変動適応プラットフォーム)の構築を目指している。こうした取組は、「長野県環境エネルギー戦略」の中に、自然エネルギーの普及や省エネルギーの促進などの緩和策とともに位置づけて、取り組んでいる。

研究代表者等
藤森靖夫(長野県環境保全研究所)
研究期間
2015-2019(年度)
  • 気候予測・観測

課題3 影響評価 / モデル自治体 岐阜県(岐阜大学)

気候変動による水害や土砂災害といった自然災害のハザードの変動だけでなく、人口減少や高齢化といった人口構成の変化が地域にもたらす影響も考慮した総合的なリスク評価を行い、気候変動と社会構造の変化に適応するための方策について、行政と研究機関が一体となって、検討を進めてきた。SI-CATにおける行政-大学研究者-地域の連携の枠組みを活かし、地域における気候変動適応のグッドプラクティスを進める。

研究代表者等
原田守啓(岐阜大学)
研究期間
2015-2019(年度)
  • 自然災害・沿岸域

課題3 影響評価 / モデル自治体 鳥取県(筑波大学)

砂丘海岸で有名な鳥取沿岸は、気候変動により砂浜の減少や海岸侵食が進行する可能性がある。砂丘は海から供給される砂が吹き上げられて形成されているが、気候変動下ではこのプロセスが変化する恐れがある。沿岸に作用する波浪、海水位、波高、水温等の外力の変化によりもたらさせる影響を評価し、適応策を検討する。ここで得られる成果は砂丘の保全のみならず、侵食対策を必要とする海岸における適応検討にも応用できる。

研究代表者等
武若聡(筑波大学)
研究期間
2015-2019(年度)
  • 自然災害・沿岸域

課題3 影響評価 / モデル自治体 高知県(高知工科大学)

四国は南部を中心に台風などによって大規模な出水が発生する一方で、渇水も発生するなど水問題が社会にとって重要な課題となっている。さらに気候変動により、洪水リスク・渇水リスクの拡大もあり、適応策としての防災政策の重要性が高まっている。本グループでは気候変動予測モデルのアウトプットを活用し、影響評価モデルである水文モデルなどを活用し、気候変動による被害拡大や適応策の効果を検証する。それらの成果を自治体と共有し、具体的な防災施策を立案していく。

研究代表者等
那須清吾(高知工科大学)
研究期間
2015-2019(年度)
  • 自然災害・沿岸域

気候変動影響評価・適応推進事業(環境省)

拡大する気候変動影響に対する各主体の適応取組を強化し、安全・安心で持続可能な社会の構築を目指します。

地域適応コンソーシアム事業

気候変動の影響は、地域の気候、地形、社会経済状況などによって異なり、また、気候変動の影響への適応は、地域の生活基盤を守ることや、地域振興にもつながることから、その地域に合った適応の取組を進めていくことが重要である。「気候変動の影響への適応計画」では「地域での適応の推進」が基本戦略の一つに掲げられており、平成29年度より3カ年の計画で、環境省・農林水産省・国土交通省の連携事業として「地域適応コンソーシアム事業」が実施されている。全国と6地域(北海道・東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州・沖縄)にて、各地域のニーズに沿った気候変動影響に関する情報の収集・整理を行うとともに、地方公共団体、大学、研究機関など、地域の関係者との連携体制を構築し、気候変動による影響調査を実施することにより、具体的な適応策の検討が進められる。(本事業は現在は終了しています)

研究代表者等
データ提供や現地調査機関として、各都道府県の地域の研究機関の参画が多数
研究期間
2017-2019(年度)
  • 気候予測・観測
  • 農業・林業・水産業
  • 水環境・水資源
  • 自然生態系
  • 自然災害・沿岸域
  • 健康
  • 産業・経済活動
  • 国民生活・都市生活

令和元年度国民参加による気候変動情報収集・分析事業

地域住民や農業・水産業等の従事者、自然生態系を調査しているNGOなど、日々の生活や活動の中で気候変動影響を実感している国民は多く、それらの情報の中には、地方公共団体がこれまで気候変動影響と捉えていなかった重大な影響が含まれる可能性がある。これらの詳細な情報やデータを収集し、科学的な裏付けによって地域特有の気候変動影響を特定することは、きめ細やかな適応策を実施する上で必要不可欠なものである。本事業は、地域気候変動適応センターが主体となって、ワークショップやホームページ、ヒアリング、アンケート等を通じた住民参加型の情報収集を行うとともに、収集した情報について分析等を実施することで、地域の気候変動影響を把握するもので、得られた結果については、シンポジウム、ワークショップ等の開催、リーフレットの作成、ホームページへの掲載などを通じ、地域の気候変動影響の理解を深めることとしている。

研究代表者等
茨城県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県が受託(2019年度)
研究期間
2019-(年度)
  • 気候予測・観測
  • 農業・林業・水産業
  • 水環境・水資源
  • 自然生態系
  • 自然災害・沿岸域
  • 健康
  • 産業・経済活動
  • 国民生活・都市生活

最終更新日:2022年10月14日


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