大和ハウス工業株式会社

業種:建設業/不動産業、物品賃貸業

掲載日2026年7月3日
適応分野農業・林業・水産業

会社概要


大和ハウス工業は1955年創業以来、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、戸建住宅をはじめ賃貸住宅や分譲マンション、商業施設、物流施設、医療・介護施設、法人施設等の多様な用途の建物を建築すると共に、ホテルやホームセンター、スポーツクラブなどの運営にも取り組んでいる。また、創業100周年となる2055年を見据え、環境長期ビジョン“Challenge ZERO 2055” (注1)を策定し、環境負荷ゼロに挑戦している。さらに、建設・住宅業界では世界初となる「RE100」「Smart Energy Coalition(旧称 EP100)」「SBT」に加盟するなど、環境への取組みも加速している。

気候変動による影響

気候変動による異常気象の恒常化によって、農作物の供給不安、食料自給率の低下など、農業を取り巻く環境が変化している。同時に、農業就労人口の減少、農業従事者の高齢化、後継者不足など様々な課題が問題となっている。そのため、近年は次世代の農業の在り方として、天候・季節・地域に左右されずに、誰でも簡単に農業に従事できる、新たな農業のカタチを実現する「植物工場」の利用が期待されている。

適応に関する取り組み

当社では、「高歩留(注2)・高収量・高回転」を実現するとともに、栽培・工場運用に関する知識と技術を提供する「栽培サポートプログラム」をパッケージ化した植物工場システム「agri-cube ID」を提供している。agri-cube IDでは、これまで永年培ってきた当社の工業化建築の技術力と、三協立山株式会社(注3)の高度な栽培技術の融合により、独自開発した「送風システム」や「養液管理システム(注4)」などの設備機器を組み合わせることで最適な栽培環境を整備している(図1)。

agri-cube IDの特徴は、以下の3点が挙げられる。

①独自開発の送風システム(図2)

すべての野菜に均一量の適切な風が当たるように設計されており、栽培位置を問わず、同じ品質の野菜を栽培することができる。従来型の送風システムでは、風がすべての野菜に均一に当たらず、温度にもばらつきがあるため、成長速度・品質にも影響を及ぼす課題がみられたが、agri-cube IDの送風システムはこの課題を改善している。

②高い生産能力

当社の施設建築ソリューションと、三協立山株式会社の栽培技術を組み合わせて実現した次世代型植物工場は、露地野菜とは異なり、天候に左右されず、高品質な野菜を安定的に生産することができる。

また、生育障害が出にくい新送風システム効果による「高歩留」、養液管理システムによる「高収量」、高歩留・高収量の相乗効果による「高回転」を実現し、高い生産能力を誇っている。

③安心の栽培サポートプログラム

以下の4段階の栽培サポートプログラムを用意し、支援を実施している。

1.事前指導:生産計画・栽培管理・衛生管理・保守管理の直接指導
2.設置後指導 および  3.初期サポート:安定稼働を実現するためのスタッフ指導、栽培技術、栽培安定化、衛生管理の指導
4.追加サポート:新品目を栽培する場合の支援

効果/期待される効果等

agri-cube IDを利用することで、天候に左右されず、高品質な野菜を安定的に生産することができる。
また、植物工場は「農業」であると同時に、収益性の向上には、いかに生産効率・良品率を上げるかという「製造業」的観点が必須である。その「製造業」的観点で開発されたagri-cube IDはフリルレタスを栽培期間35日で1株当たり200g、良品率90%以上という「高歩留・高収量・高回転」を実現し、植物工場の事業性向上に寄与するものである。

さらに、遊休化した既存工場・倉庫を活用することもできるため(図3)、遊休不動産の「再生」とイニシャルコスト削減に貢献することができる。

三協立山株式会社との協力体制
図1 三協立山株式会社との協力体制
従来型の送風システムと風量を一定にした独自開発送風システム
図2 従来型の送風システムと風量を一定にした独自開発送風システム
既存施設を再活用した植物工場の例
図3 既存施設を再活用した植物工場の例
脚注

(注1) Challenge ZERO 2055:大和ハウス工業の創業100周年にあたる2055年を見据えて、2016年度に策定した環境長期ビジョン。4つの環境重点テーマ(気候変動の緩和と適応、自然環境との調和、資源循環・水環境保全、化学物質による汚染の防止)に関して環境負荷“ゼロ”に挑戦している。
(注2) 高歩留:製造や生産において、投入した原料や素材に対して、最終的に得られる製品量の割合が高いこと
(注3) agri-cube IDは、三協立山株式会社との共同で開発。2018年4月、両社は販売に関する業務提携契約を締結している。
(注4) 養液管理システム:野菜の健全な成長を促進する養液を自動制御するシステム