スーパー台風に備える風の可視化ツール「Kazamidori®」

株式会社竹中工務店

業種:建設業

掲載日2026年5月29日
適応分野自然災害・沿岸域

会社概要


株式会社竹中工務店は、1899年創立の企業で建築・建設工事、不動産のマネジメントなどの様々な事業を展開している。

気候変動による影響

日本に上陸する台風は地球温暖化によって勢力を増しており、 今後「スーパー台風(注1)」の増加が懸念されている。そのため建物の設計においても、これまで以上に台風の影響を高精度に予測し、考慮することが求められる。しかし、台風のような「時々刻々と変化する風」を予測するには、従来の技術では多くの時間と費用を要する。

気候変動リスクに関する取組

当社は、「時々刻々と変化する風」を高精度に予測できる数値シミュレーション技術である数値風洞「Kazamidori®」を開発した。
Kazamidori®は、数値シミュレーションと風洞実験(注2)の良さを掛け合わせており、以下の特長を有する。

  1. 模型のいらない“風洞実験”
    コンピューター上に市街地を再現し、数値シミュレーションによって建物にかかる風荷重(かぜかじゅう)を算出するとともに、「時々刻々と変化する風」を再現し、風の強さや流れを可視化する。(図1)。従来の模型製作にかけていた費用が削減できるため、中小規模のプロジェクトにも適用しやすい。また、検討にかかる時間も短縮でき、設計初期段階から風荷重評価を組み込める。
  2. 過去の台風の再現、将来のスーパー台風の想定
    気象データと連携したことで、特定の台風を再現が可能である。「◯年の台風◯号」といった過去の台風を再現できるだけでなく、今後増加が懸念されるスーパー台風による影響も想定でき、台風被害のリスク検証や影響予測も可能となる。
  3. PLATEAUや気象観測データとも連携
    国交省の3D都市モデルPLATEAU(注3)や気象庁の気象観測データと連携させることで、ユーザーが指定した日時の風速分布などが可視化できる。
  4. 風の諸問題に対応
    風荷重の他、「風揺れによる居住性能」「不安定振動の有無」「建物周りの最大風速」なども評価できる。建物の形状を変えることで、強風時の建物の揺れを25%低減することも可能となる。
  5. 複雑形状の建物でも評価可能
    細かくて複雑な形状でも、細部に至るまで評価が可能となる(図2)。

効果/期待される効果等

Kazamidori®によって、将来の気候変動下においてもその影響を加味した強風に対する防災や屋外快適空間の拡大に寄与することが期待される。 また、本技術は「富岳」産業試行課題にも採択されており、今後は、当社で保有しているスーパーコンピュータと「富岳」を併用し、当社プロジェクトでの活用をさらに推進していく。

建物表面の風圧力と流線の可視化
図1 建物表面の風圧力と流線の可視化
しゃちほこでシミュレーションした例
図2 しゃちほこでシミュレーションした例

脚注
(注1) 米国の合同台風警報センターが分類している最大強度階級super-typhoon(130kts(≒66.9m/s)以上)の日本語訳。
(注2) 実際に模型をつくり、風を当てて風圧の測定をするもので、風荷重評価に広く使われている。
(注3) 国土交通省が様々なプレイヤーと連携して推進する、日本全国の都市デジタルツイン実現プロジェクト。(出典:国土交通省「PLATEAU」https://www.mlit.go.jp/plateau/)

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