既に生じている気候変動

日本で生じている気候変動

日本においても、気温の上昇や極端な大雨など、すでに気候変動が生じていることが、これまでの観測結果から示されています。このページをご覧の皆さんも、「記録的な猛暑」や「●●年に1回の豪雨」という形で体感されているかも知れません。ここでは、気温と降水量について、観測結果をもとに、気候変動の状況を見ていきます。

気温の上昇

日本の年平均気温は、気象庁によって1898年から継続して、日本国内の15の観測地点の気温データをもとに算出されています。
グラフでは、平均気温は高くなったり低くなったりを繰り返しながらも、長期の傾向としては上がり続けていて、100年あたり1.3℃の速さで上昇しています。

日本の年平均気温の推移
図.日本の年平均気温の推移
気象庁「日本の平均気温偏差の経年変化(1898~2022年)」を元に作成
(出典:気象庁ウェブサイト「日本の年平均気温」

また、これまでに観測された年平均気温を高い順に並べると、トップ5はすべてここ10年以内の年であることからも、日本の平均気温が上昇していることが分かります。

順位 1991-2020年の平均値との差
2020年 +0.65
2019年 +0.62
2021年 +0.61
2022年 +0.60
2016年 +0.58
1990年 +0.48
2004年 +0.46
1998年 +0.45
2015年 +0.39
10 2018年 +0.38
表.年平均気温の高い年ランキング
(1898-2022年の上位10年、太字は2010年以降)
(出典:気象庁ウェブサイト「日本の年平均気温偏差」

また、気温が上昇しているので、猛暑日(最高気温が35℃以上の日)や熱帯夜(最低気温が25℃以上の日)の年間日数は増加傾向にあります。特に、熱帯夜は100年あたり18日のペースで増加しています。一方で、冬日(最低気温が0℃未満の日)の日数は減少しています。

海面水温の上昇

気温だけでなく、海面水温も明らかに上昇しています。日本近海の平均海面水温は100年あたり1.14℃の速さで上昇しています。これは、あとで紹介する世界の海面水温の上昇(100年あたり0.55℃)と比べて非常に速いスピードです。

日本近海の海面水温の推移(平年値からの差の推移)
図.日本近海の海面水温の推移(平年値からの差の推移)
(出典:文部科学省・気象庁「日本の気候変動2020(詳細版)」(2020年12月))

降水量の変化

日本の降水量についても、気象庁によって1898年から継続して国内51地点における観測データを用いて評価されています。年降水量(1年間に降る雨の総量)は、年によって多い年や少ない年がありますが、気温の上昇のように、増加や減少の長期的な傾向は見られていません。

日降水量100mm以上の日数の経年変化
図.日降水量100mm以上の日数の経年変化
(出典:文部科学省・気象庁「日本の気候変動2020(詳細版)」(2020年12月))

一方で、雨の降り方には変化が見られます。図で示したように、1日あたりの降水量が100mm以上の日数は、100年あたり0.29日の速さで増加しています。これは、大雨が降る頻度が増えていることを示しています。また、1時間あたりの降水量が50mmの「激しい雨」や80mm以上の「猛烈な雨」の回数も増加傾向にあります。

世界で生じている気候変動

日本ではさまざまな気候変動が生じていましたが、世界ではどうでしょうか。
日本と同様に、世界においても、気候変動が生じていることが、観測結果から示されています。ここでは、世界の気温、海水温と降水量について、観測結果をもとに、気候変動の状況を見ていきます。

気温の上昇

全世界に設置された観測点(約300~4,800地点)や、海上については船舶などを活用し、1850年頃から継続して、世界全体で気温のデータが取られています。これらのデータに基づいて、世界の平均気温が算出されています。
グラフでは、世界の平均気温は、1.09℃上昇(1850-1900年の平均と2011-2020年の平均の比較)しており、特に1960年頃以降に急激に上昇していることが分かります。

図.世界の平均気温の経年変化(1850-2020)
(出典:全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト

海面水温の上昇

世界の平均気温の上昇と同じように、海面水温も明らかに上昇しています。図で示した世界の平均海面水温の推移(1891-2019年)からも、100年あたり0.55℃の速さで、右肩上がりに水温が上昇していることが分かります。

世界の海面水温の経年変化
図.世界の海面水温の経年変化
(出典:文部科学省・気象庁「日本の気候変動2020(詳細版)」(2020年12月))

降水量の変化

日本の降水量は変化の傾向が見られませんでしたが、IPCCの第6次評価報告書によると、世界の降水量は1950年以降増加している可能性が示されています。また、雨の降り方も変化しており、1850~1900年頃に10年に1回発生していたような大雨が、現在では約1.3倍の確率で発生していることも示されています。

これらのほかにも、日本、そして世界で、干ばつや強い台風の発生など、さまざまな気候変動が生じています。さらに、そうした気候変動により、洪水や土砂崩れなどの災害、農作物の生育不良、生きものの生息地の変化など、多くの分野へさまざまな影響が出ています

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