ISO、地方自治体とコミュニティのための適応計画ガイダンスの完成を発表
国立環境研究所が中国と共同幹事を務めた「地方自治体とコミュニティのための適応計画ガイダンス規格(TS14092)」の完成が、2020年5月22日に公式発表されました。本ガイダンスは、地域がそれぞれの条件を考慮した適応に関する取り組みが推進できるよう、ISOの理念に基づいて世界中の様々な規模の自治体やコミュニティで活用してもらえることを目指して作られています。
本ガイダンスは技術仕様書ではあるもの、地域が将来を見据えた気候変動影響のリスクに対する取り組みを支える仕組みを構築しながら計画が策定されるよう、(1)リーダーを明確にして(2)実践的な適応の目的と目標を立て、(3)その達成に向けて柔軟な対策を検討し(4)地域の状況を考慮しながら関連する適応策を検討し、(5)適応を主流化しながら(6)地域のほかの計画や活動とのバランスを考慮し、(7)透明性を確保しながら(8)対策の優先順位をつけること、そして(9)実践しながら継続的に改良すること、を地域適応計画策定の原理に定めています。
作成にあたっては、日本、イギリス、オランダ、ドイツ、パキスタン、スペインの執筆者が草案を担当し、世界15か国とECから参加したエキスパート42名が4回にわたるエキスパート会合を経て校閲に参加しました。幹事国である日本と中国からは、国立環境研究所 気候変動適応センター肱岡靖明副センター長が幹事、中国農業科学院 農業持続可能環境開発局のLi Yue教授が共同幹事として参加し、草稿過程を取りまとめました。草案は2019年10月に51の参加国に対して承認を求める投票にかけられ、2019年12月に賛成多数を持って可決されました。現在はISOウェブサイトで有料にて入手できるようになっています。
2017年から3年間にわたる策定期間に得た知見は、気候変動適応センターを通じた地域適応計画策定の支援活動に役立ててまいります。