コロナ禍での暑さ対策ガイドライン

掲載日 2024年1月18日
分野 健康
地域名 海外(イギリス)

気候変動による影響

気候変動は地球規模の問題であり、世界各国に影響を及ぼしています。RCP8.5シナリオ(注1)に基づくと、イギリスでは1990年の気候と比較して、2070年までに夏の平均気温が1~6℃上昇すると予測されています。また、最高気温が30℃を超える日数は、2070年には現在より2日以上増加し、40℃に達する日も発生すると予測されています。

取り組み

イギリスでは、2020 年 5 月に、夏季に備え新型コロナウイルス感染症が流行する状況下に安全に家ですごす方法についてのガイドライン「Beat the Heat: Coping with heat and COVID-19」を発行しました(図)。

このガイドラインでは、暑さ対策について「自宅で涼む」「涼しく健康に過ごす」「より安全な涼しいスポット」の 3つのトピックに分けて紹介しており、それぞれの項目においてその重要性や実施可能な対策を下表のように記載しています。

トピック 記載項目(重要性や実現可能な対策)
自宅で涼む 新型コロナウイルス感染症流行下において、家で過ごす重要性
涼しさを保つための知識をつける
他人の安全にも気を配り、新型コロナウイルス感染症の注意事項に従う
涼しく健康に過ごす 十分に水分補給し、過度なアルコール摂取は控える
暑い時は、激しい運動を避ける
気象情報に注意する
より安全な涼しいスポット 屋外か屋内か、涼しい方で過ごす
自宅での隔離を推奨された場合は、自宅で過ごす
他人と十分に距離を置く

具体的な記載内容としては、例えば「涼しく健康に過ごす」では、脱水症状かどうかを確認する症状として、以下のチェック項目を記載した国民保健サービスのホームページ(注2)が案内されています。

  • のどの渇き
  • 色の濃い尿や臭いの強い尿
  • ふらふらする
  • 疲労感
  • 口の渇き、唇や目の渇き
  • 尿の頻度が一日 4 回以下

また、新型コロナウイルス感染症に感染して自宅療養をしている場合や、回復直後の場合には、合併症により熱ストレスや脱水によるリスクを受けやすくなっている可能性があると注意喚起がされています。

さらに、水分補給としては、水や低脂肪牛乳、お茶等を摂取するよう推奨するとともに、果実ジュースやスムージー、ソフトドリンク等の飲み物は水分補給にはなるものの糖分が高いため注意が必要であるとの記載もあり、熱中症以外の健康にも十分に配慮された内容となっています。

効果/期待される効果等

ガイドラインに記載された暑さ対策への認識や体調が悪くなった際の対処方法、特に新型コロナウイルス感染症流行期間中に家で安全に過ごす方法を実践することにより、自分自身や他の人を高温から守る事が期待されています。

図 「Beat the Heat: Coping with heat and COVID-19」の1ページ目
(出典:Public Health England「Beat the Heat: Coping with heat and COVID-19」(2020年5月))

脚注
(注1)現時点を超える追加的な緩和策を取らないと想定した、将来予測シナリオ。工業化以前の水準と比べた世界平均気温の上昇は、21 世紀末の時点で約 4℃に達する。
(文部科学省 気象庁「日本の気候変動2020」(2020年12月)https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ccj/index.html
(注2)https://www.nhs.uk/conditions/dehydration

出典・関連情報

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