マイ・タイムライン　～逃げキッド～の作成

気候変動による影響

平成27年9月に発生した関東・東北豪雨により、鬼怒川では、鬼怒川水海道水位観測所において観測記録史上第一位の水位を記録する出水が生じ、堤防決壊、溢水により常総市の面積のおよそ三分の一に相当する40㎢が浸水し、自衛隊、消防等があわせて約4,300名を救助するなど、避難の遅れが発生しました。

取り組み

「平成27年9月関東・東北豪雨」で大きな被災を受けた鬼怒川下流部の7つの市町（注1）並びに国と茨城県が主体となり、ハード対策とソフト対策を一体化した「鬼怒川緊急対策プロジェクト（注2）」を発足しました。
このうち、ソフト対策の中心は「避難勧告に着目したタイムライン」の整備とこれに基づく訓練の実施、関係機関の参加による広域避難に関する仕組みづくりなど、住民の避難を促すものです。さらに、低年齢層への普及ツールとして「逃げキッド」を開発しました（図1）。この「逃げキッド」の開発には、子供（キッド）にも作成してもらいたい、鬼怒川・小貝川地域の方言で「逃げるぞ！」は「逃げキッド！」という思いが込められています。
「逃げキッド」の教材は、以下の６つから構成され、国土交通省のホームページからダウンロードが可能です（図2、注3）。

教材1：チェックシート
・マイ・タイムライン(注4)作成のため、自身の住んでいる場所の洪水リスクと、家庭の状況、避難先をチェックします。
教材2：「台風や前線が発生」してから「川の水が氾濫」するまでを知ろう！！
・突然発生する地震と違って、洪水は徐々に発生するという状況を確認します。
教材3：「台風や前線が発生」してから「川の水が氾濫」するまでの備えを考えよう！！
・防災行動の例が6つ書かれており、主に備える事を確認します。
教材4：『マイ・タイムライン』をつくってみよう！！
・「台風や前線が発生」してから「川の水が氾濫する」までの備えをいつから行動するかを書き出します。
教材5：みんなでつくろう！マイ・タイムライン　～マイ・タイムラインをつくるためのヒント集～
・水位の調べ方や避難に役立つ情報が整理されています。
教材6：ご自宅に戻ったらみなおしてみましょう

効果／期待される効果等

「逃げキッド」は、減災対策協議会（注5）主催の作成講座や、各自治会や学校からの出前講座に応じる形での講座などが流域各所で実施され、マイ・タイムライン作成者数は、20,000人を突破しています（令和元年度末時点）。
また、鬼怒川・小貝川流域の住民だけではなく、全国で活用できる汎用型も作成されています（注6）。
住民自らリスクを察知し、主体的に避難できる「住民目線のソフト対策」とした「水防災意識社会の再構築」に効果を発揮しています。

脚注
（注1）常総市、下妻市、筑西市、つくばみらい市、守谷市、八千代町、結城市
（注2）国土交通省関東地方整備局下館河川事務所　「鬼怒川緊急対策プロジェクト」
（https://www.ktr.mlit.go.jp/shimodate/shimodate_index041.html）
（注3）国土交通省関東地方整備局下館河川事務所　「防災・災害情報『小中学生向けマイ・タイムライン検討ツール　～逃げキッド～』」（https://www.ktr.mlit.go.jp/shimodate/shimodate00626.html）
（注4）マイ・タイムラインとは、台風の接近等によって、河川水位が上昇するときに、住民一人ひとりの家族構成や生活環境に合わせて、「いつ」・「何をするのか」をあらかじめ時系列で整理した自分自身の防災行動計画をいう。
（注5）減災対策協議会とは、「鬼怒川・小貝川」における関係機関で組織されて「大規模氾濫に関する減災対策協議会」をいう。本協議会は、茨城県域を対象とした「下流域減災対策協議会」ならびに栃木を対象とした「上流域減災対策協議会」から構成されている。
（注6）国土交通省水管理・国土保全　「小中学生向けマイ・タイムライン検討ツール ～逃げキッド～ 汎用型 ダウンロード」
（https://www.mlit.go.jp/river/bousai/main/saigai/tisiki/syozaiti/mytimeline/index.html）