自然の冷却効果を活用した「フラクタルひよけ」
株式会社NBCメッシュテック
掲載日 | 2019年7月16日 |
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適応分野 | 国民生活・都市生活 / 健康 |
会社概要
高度なメッシュテクノロジーをコアに、スクリーン印刷用資材、産業用資材、化成品、防虫網など、あらゆる産業界へ製品を提供する株式会社NBCメッシュテック。スクリーン印刷用メッシュクロス分野では世界トップクラスの技術を誇る。
気候変動による影響
世界中の至るところで気候変動による影響が顕在化してきている。特に1990年代以降は高温となる年が頻出し、異常高温となる現象も増加している。日本では、真夏日(日最高気温が30℃以上)および猛暑日(日最高気温が35℃以上)の年間日数が10年に0.2日の割合で増加している。また都市域では、都市化によるヒートアイランド現象もあいまって、さらなる気温上昇による熱中症の発生増加が懸念されている。このため建物の屋内外の暑熱環境を改善する技術や製品が求められている。
参照:政府報告書「日本の気候変動とその影響2018年版」
適応に関する取り組み
「フラクタルひよけ」は、木漏れ日構造の研究から開発された適度な隙間のある日よけである。木かげのような自然な風通しをつくりだし、電気などのエネルギーを使用せずに、快適な空間を提供する。
図1 フラクタル日よけの使用例
(1) フラクタルとは
フラクタルとは図形の部分と全体が自己相似になっている幾何学の概念である。広く自然界に存在し、葉脈の模様、樹木の枝分かれなどに見られる。この概念を取り入れた「シェルピンスキー四面体」と呼ばれる形を一枚の布地からつくられた「フラクタルひよけ」は、自然の木々がつくる木陰や風通しと同じような快適な空間をつくりだす。
(2) 人工でつくる木陰
フラクタル構造が直射日光を適度に遮り、自然の木々のような木漏れ日を生み出す快適な空間を提供する。
(3) 風通しによる冷却効果
適度な風通しが日光から吸収した自熱を効率よく大気に発散し、従来の日よけやテントに比べ輻射熱を抑え、優れた冷却効果を発揮する。
(4) しなやかに風を受け止める
風にそよぐ木々のように、しなやかに風を受け止め、従来の日よけやテントに比べて風の影響を受けにくい。
(5) 電気や水を使わない
動力を必要とせず、また、グリーンカーテンのように生育のための水やりが不要であることから、環境負荷が他の冷却手段に比べて小さい。
効果/期待される効果等
今後、気候変動により夏場の気温がさらに上昇することが想定されているが、フラクタルひよけの使用は、電気や熱を使わない自然の原理により、屋外に快適な空間を確保するために役立つ。
(1) 温度
フラクタルひよけの日射遮蔽率は約80%である。付近のコンクリート屋根やテントの表面温度と比較して15℃以上低くなる傾向にあり、日除けの下では周囲よりも涼しいことが確認された
(2) 利用者
3日間にわたり、フラクタルひよけ下と、パラソル下の椅子の占有率を調査した結果、日照に恵まれている時間帯では、フラクタルひよけの利用者が多い傾向があった。
※「フラクタルひよけ」は株式会社ロスフィーと京都大学との共同開発製品です。