高温障害から作物を守るワリフ『明涼®』

ENEOSテクノマテリアル株式会社

業種:製造業
掲載日 2022年7月6日
適応分野 農業・林業・水産業 / 健康

会社概要

ENEOSテクノマテリアル株式会社ロゴ

ENEOSテクノマテリアル株式会社は、不織布およびシートパレットの製造、加工および販売を行い、独自技術より繊維の縦・横配列を行った高機能・高性能特殊不織布を提供している。

気候変動による影響

異常気象による近年の猛暑は夏場の野菜栽培にとって成長不良よる品質の低下をまねく深刻な問題となっている。また、ビニールハウス内の温度も上昇傾向にある。

適応に関する取り組み

当社では、夏場における農作物への高温障害を回避するため、作物の光合成に必要な可視光線は通しつつ、熱源となる赤外線は反射する高性能な遮熱資材であるワリフ(注1)『明涼®』を開発した。

農業用ハウスの外掛けや内掛けとして使用し(図1)、以下の特長を有する。

  • 遮熱性と透過性: 熱源である赤外線を反射することでハウス内温度を低下。作物の光合成に必要な可視光線を透過させるためハウス内の明るさの確保が可能。20%、30%、40%、50%の4つの遮光率のグレードを提供
  • 通気性: 開口率(注2)が約40%のネット構造のため適度の通気性を保持
  • 耐久性: 紫外線劣化防止剤入りによる優れた耐久性
  • 作業性: 軽量で取扱が容易
  • 形状安定性: 伸び縮みがなく、交点は熱癒着されており、ハサミなどで加工してもカット面の目ズレがない

遮熱性能試験によるハウス内の温度比較において、『明涼®30w』の使用は、通常のハウスに比べて最大6℃の温度低下がみられた(図2)。

効果/期待される効果等

ワリフ『明涼®』を活用することで、以下のような作物への効果が期待されている。

  • 高温期育苗時の徒長予防(注3)
  • トマトの裂果防止(注4)
  • 高温による花落ちを抑制
  • ほうれん草など高温期の生育阻害回避
  • 高温による乾燥を緩和
  • 果実の高温障害による品質低下の防止
  • 果実の日焼け防止

また、ハウス内の気温上昇を抑制することから、作業者の労働環境の改善、熱中症対策としても期待できる。

ワリフ『明涼®』の使用例
図1 ワリフ『明涼®』の使用例
遮熱性能試験 「ハウス内の温度比較」
図2 遮熱性能試験 「ハウス内の温度比較」

脚注
(注1) ワリフとは、ネット状のポリエチレン不織布であり、農業用被覆材用途に使われている。適度な通水性と通気性がある。メッシュ構造により害虫の侵入を防ぎ、防風機能により保温効果がある。
(注2) 開口率とは、面積当りの開口部の割合である
(注3) 徒長(とちょう)とは、植物が通常よりも細長く、軟弱に生育すること。徒長した植物は、茎が細長く、葉が薄く小さく、水分含量が高い。
(注4) 裂果(れっか)とは、果実が過熱や吸水、病虫害のために割れることである。

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