脚注
(注1) 電子商取引(Electoronic Commerc)による販売方法を指し、インターネットやコンピューターネットワークを活用して行われる。ネットショッピングやネット通販が挙げられる。
AI・IoT・Robotics技術を利用したスマート農業
株式会社オプティム
業種:情報通信業
掲載日 | 2022年8月3日 |
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適応分野 | 農業・林業・水産業 |
会社概要
株式会社オプティムは、「ネットを空気に変える」というコンセプトを掲げ、2000年の創業以来、すべての人々が等しくインターネットのもたらす創造性、利便性を享受できるようなサポートをするプロダクトを創り出すことを目的に事業に取り組んでいる。現在は各産業とIT(AI・IoTなど)を組み合わせ、全ての産業を第4次産業革命型へと変革させる構想「○○×IT」構想を推進している。
気候変動による影響
気候変動により気象パターンや気温が変化することで、生育状態の変化や病害虫による被害拡大が想定され、従来の農法、経験、知識ではこれまでと同じ収穫パターンや収穫量の維持が難しくなる。また、気温の上昇により、猛暑・炎天下での農作業には高齢化が進む生産者の体力的負担も大きくなる。
適応に関する取り組み
オプティムは、AI・IoT・Robotics技術を複合的に活用することで、堅固な栽培体系を構築することを目的として、具体的に以下のサービスを提供している。
- 大型農業用ドローンを用いたピンポイント農薬散布・施肥テクノロジー
ピンポイント農薬散布では、AIを用いた画像解析によって病害虫や雑草の発生検出し、その該当地点へ、ドローンによってピンポイントで農薬散布を行う(図1)。
ピンポイント施肥では、画像から植物活性度(植生状態)を解析することで生育ムラを検知し、追肥の要否を判断することで、ドローンでピンポイントに追肥を可能とし、最小限の肥料で生育の均一化を実現する(図2)。 - 大型農業用ドローンを用いた播種テクノロジー(ドローン直播)
さまざまな種子コーティングかつ土壌状態(硬め・軟らかめ等)に対応できるドローンによる播種(直播)を実現する。例えば、水稲栽培における、育苗・移植といった作業負担の大きい工程の改善が可能となる(図3、図4)。 - スマートアグリフードプロジェクト
上記の「ピンポイント農薬散布・施肥テクノロジー」や「ドローン直播テクノロジー」などを活用することで、農作物に減農薬といった高付加価値をつけて栽培・販売していくことを目的としたプロジェクトである。デジタルマーケティングや、ECチャネル(注1)による独自販路を中心に消費者へ販売する一方、小売業者、製造業者、卸売業者へ、卸売市場を通さず産地から直接農作物を納品するサプライチェーン構築も行っている。
上記のほか、様々なスマート農業のテクノロジーを展開し、生育状況をモニタリングしながら気象・水位・栽培歴・病害虫・生育データをデジタル化することで、環境・生育状況に応じた栽培手法を提供するシステムの開発や、AIを用いた病害予察技術の高度化といった、AI・IoT・Robotics技術の活用により、デジタル技術を用いた気候変動に対応可能な栽培技術体系を構築する。
効果/期待される効果等
オプティムのAI・IoT・Robotics技術を複合的に活用することで、農作業時間が効率化・短縮化でき、炎天下での農作業等の省力化につなげ、高齢化や人手不足、気候変動に伴う作物の高温障害や病害の北上等の農業が抱える課題への対策を可能とすることで、持続的な栽培を可能とする。
図1 ピンポイント農薬散布
図2 ピンポイント施肥テクノロジー
図3 籾を搭載したドローン(左)とドローン直播により播種された水田(右)
図4 ドローンによる籾の直播と生育の様子