TCFD提言に沿った情報開示(2023年度)

積水ハウス株式会社

業種:建設業

掲載日 2023年12月4日
適応分野 産業・経済活動

会社概要

積水ハウス株式会社は、さまざまな研究開発から設計施工・アフターメンテナンス、リフォームまで、一貫して高い品質とサービスを自社グループで行い、こうして培った技術やノウハウを生かし、賃貸住宅やマンションをはじめ、街づくり、都市開発や国際事業など、よりよい住環境に貢献する事業を行うことで、快適で安全安心な住まいを実現している。

気候変動による影響

近年、気候変動による大規模な自然災害が頻発しており、安定した企業活動の継続に大きなリスクとなりつつある。当社が事業を継続できなくなれば、お客様の住まいのサポートもできなくなり、また関連する多くの工事事業者やサプライヤーへの影響も小さくない。

取り組み

積水ハウスグループは、2018年に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同した。
当グループでは、1.5℃シナリオを参照し(図1)、大規模なシナリオ分析の実施と戦略の見直しを行っている。物理的リスクについては、想定される事業活動・期間・資産の耐⽤年数などを考慮し、移行リスクについては、法制化、技術開発、市況に係る潜在的なシナリオに基づき評価している。これらの分析から事業活動に与える主要なリスクと機会を特定し、潜在的な財務への影響度と対応を明らかにした(図2、図3、注)。

移行リスクについては、事業活動全体において再生可能エネルギーの利用を含めてCO2排出収支ゼロを目指し、様々な取り組みを実施している。
物理的リスクについては、これまで経験したことがないような激甚化した豪雨または暴風の影響を想定し、リスク管理を行っている。また、販売する分譲地の土地購入前におけるハザードマップに基づくリスクの検討の義務づけや、マンションなどのビル建築時においても、ハザードマップを参考に被害が最小限になるような計画を行っている。ただし、気候変動の影響は年々大きくなり、さらに自然災害の規模や頻度が増加する可能性があるため、今後も対応の検討を継続していく。

効果/期待される効果等

シナリオ分析の結果から、当グループの既存戦略の強靭性においては、すでに事業活動全般において脱炭素化への対応や異常気象への対応を始めており、脱炭素社会への事業転換に対する移行リスクや気候変動による物理的リスクのいずれにおいても、致命的な影響は現時点において見受けられないものと判断した。しかしながら、今回の分析で特定した財務的影響の⼤きい主なリスク要因については、継続的にモニタリングするとともに、リスクのさらなる定量化や分析精度の向上を図りつつ、必要な取り組みを強化していく予定である。また、今後の課題として、新たに連結子会社となったグループ会社に関連する、リスクのさらなる定量化や精度向上、持続可能な社会への移行に貢献していく。

図1 シナリオ分析の前提
図2 主なリスクと財務への潜在的な影響、および対応
図3 主な機会と財務への潜在的な影響、および対応

脚注
(注)【財務影響】 ⼤:200億円以上、中:100億円以上、小:100億円未満
   【想定期間】 短期:現在より3年まで、中期:2030年まで、長期:2050年まで

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