2024年都市気候レジリエンスの保証、評価、管理のための日韓国際ワークショップの参加レポート

開催日 2024年11月28日
開催場所 韓国・西帰浦市 済州国際コンベンションセンター
集合写真

気候変動影響や適応に関する知見を共有するため、ソウル国立大学と韓国の気候変動適応センター(Korea Adaptation Center for Climate Change、以下「KACCC」という)の共催による韓国・済州での国際共同ワークショップに、国立環境研究所・気候変動適応センター(Center for Climate Change Adaptation、以下「CCCA」という)のメンバーが参加しました。
KACCCとCCCAでは、これまでにも継続的に人的交流を行ってきています。このワークショップは、2024年の韓国気候変動研究学会の秋季大会(Fall Conference of The Korean Society of Climate Change Research、2024年11月27日~29日開催)の一環として開催されました。

2024年韓国気候変動研究学会秋季大会の横断幕

発表テーマ

韓国からは、気候変動適応センターや大学の研究者、学生等が下記テーマで発表を行いました。

  • A-14:Developing an Inventory of Urban Climate Resilience Policies(Dr. Song Jiyoon、口頭発表)
  • A-15:Urban (Micro-scale) Storm Resilience Assessment and Simulator(Dr. Agbortoko Bate Ashu、口頭発表)
  • A-16:Monitoring Frameworks for Assessing the Effectiveness of Climate Adaptation Technologies: Focusing on the Application of Monitoring Case Studies(Dr. Kim Seonhyuk、口頭発表)
  • A-17:Developing the evaluation and simulation methods for climate resilience at urban level(Dr. Heonyeong Lee、口頭発表)
  • A-18:Integrated Assessment of Climate Resilience against Heatwaves in Urban Ecosystems(Dr. Yoonji Kim、口頭発表)
  • A-19:Research on Establishing Climate Change Adaptation Measures for Waste Management Systems Based on the Spatial Typology of Urban Areas(Dr. Kim Yeong-Shin、口頭発表)

ディスカッションタイムでは、肱岡センター長より各発表へのコメントや質疑が行われました。

広報や普及啓発に関する情報交換

ワークショップ後、KACCCの方々と広報や普及啓発に関する情報交換も行いました。市民に向けて、気候変動や適応の理解を深めるためのアカデミーを開講されたり、子供向けの絵画コンテストを実施されるなど、将来の若者世代を考慮した教育に関しても精力的な活動を展開されています。

適応情報ポータルサイト

KACCCが運営する「気候危機適応情報ポータル」は、気候変動適応に関する一般的な常識から専門情報、教育、専門家ネットワークなどの総合サービスを提供する国唯一のプラットフォームです。

主な事業の方向性

  • 「カーボンニュートラル基本法」(略称) 施行に伴い、法的拘束力のある国の気候変動適応策の実施・評価を効果的に推進し、適応策の説明責任とフィードバック体制を長期的に確保します。 また、気候危機への適応の必要性に対する意識を高め、適応策の制度化と主流化を促進していきます。

自治体

  • 地域の気候危機に対応するための適応策の確立と実施を支援し、市民との協働やコミュニケーションの基盤を築くことに焦点を当てています。

科学

  • KACCCは、VESTAP(Vulnerability Assessment Tool to Build Climate Change Adaptation)を活用し、自治体に提供することで、適応策立案の際に要する予算・時間・人員コストを削減し、効率的な施策の確立を支援します。

国内外の適応協力

  • 2009年の設立以来、KACCCは国内外の様々な関係者との協力を着実に推進しています。
  • 国内では、国や自治体、学界、産業界、公的機関、民間セクターとの既存の協力体制を基盤に、気候危機適応の効果的な実施に向けた協力を一層強化しています。
  • 国際的には、適応に関する国際的な動向を把握し、国際社会の取組に積極的に参加しており、開発途上国や国際機関との連携を一層強化していきます。

適応教育、普及啓発、一般支援

  • KACCCはポータルサイトの運営や気候変動適応政策に関する研究・プロジェクトの管理、気候危機適応に関する教育活動を支援しています。
  • 様々な市民参加の機会を提供することで、適応実施者の参画と協働を促進しています。

気候危機適応教育の推進

KACCCは、将来世代や若者、市民に向けたさまざまな気候危機適応推進活動を支援しています。気候危機への適応に対する意識を高めるため、様々な世代の人々が参加できるよう、政策参画活動を積極的に支援しています。具体的には、絵画コンテストの開催や、意識調査の実施、体験コンテンツの発掘・発信、オンライン・オフラインコンテンツの企画、定期刊行物の発行などがあります。これらの活動を通じて、適応の理解促進や政策課題を乗り越え、関連する研究成果の普及に貢献しています。

適応アカデミー

KACCCの気候適応アカデミー教育生を募集チラシ

一般市民を対象とした「適応アカデミー」を設立・運営し、専門的な気候危機適応教育を提供しています。具体的には、19歳以上の国民を対象に、気候適応アカデミー教育生を募集しています。2024年で第2回目を迎え、教育生は、気候危機適応概要、気候危機と水、気候危機と健康など、気候危機および気候適応に関する全般的な内容を、オンラインで5か月にわたって学びます。修了基準として、合計8回中6回以上受講及び課題提出が求められます。

気候変動適応の総合マガジン

KACCCの気候変動適応の総合マガジンのチラシ

2022年11月創刊後、半年に一度程度の頻度で刊行しています。韓国語と英語の併記で、研究論文ほど専門性が高くなく、読み物として一般向けの内容として制作しています。

気候危機適応絵画コンテスト

KACCCの気候危機適応絵画コンテストのチラシ

2022年より継続的に開催しています。気候危機に適応する安全な社会や、適応の重要性を伝える内容を盛り込んだ自由な表現が求められます。
2024年は、①衣・食・住における、私たちの生活で実践するための適応,②熱波、寒波、大雨など気候危機への適応,③気候変動を新たなチャンスに転換させる社会,という3つのテーマが設けられました。

気候・環境短編動画コンテスト

気候・環境短編動画コンテストのチラシ

気候変動 ·気候危機に対する意識を高めるため気候·環境短編動画(60秒以下)のコンテストを開催しています。気候変動の進行に対する考えや、熱波、大雨、寒波、大雪、干ばつなど気候危機への適応のためのアイデアを募集するものです。

提出方法は、参加SNS(YouTube、Instagram、Facebook、ネイバーブログ)にタグ(@gori_eco)をつけた動画をアップロードし、オンライン応募します。

出典・関連情報
(2025年3月26日掲載)