A-PLAT・AP-PLATの知見を共有: Eionetワークショップでプラットフォームの課題と今後を議論

ワークショップ名 気候変動適応プラットフォームに関するEionet専門家ワークショップ
― EUにおける気候レジリエンスの実装支援を通じた、欧州の気候レジリエンスおよびリスク管理に関する統合的枠組みへの貢献 ―
開催日 2025年12月11日~12日
開催地 デンマーク コペンハーゲン / European Environment Agency(欧州環境庁、以下EEA)
参加者 EEA、Eionet(欧州環境情報・観測ネットワーク。各国政府機関による枠組み)で連携する欧州18か国の政府機関、
国立環境研究所 気候変動適応センター 増冨祐司、大山 剛弘

概要

本ワークショップは、EEAが主催し、欧州における気候変動適応プラットフォームの運用経験を共有するとともに、各国・地域が直面している課題・工夫・今後の改善点について相互に学ぶことを目的として開催されました。Climate-ADAPT(欧州気候適応プラットフォーム)の役割に沿い、世界規模での適応支援を共同で推進するため、A-PLATおよびAP-PLATの関係者が招待され、知見の共有を行いました。

会合1日目は、各国およびEUレベルで運営されている気候変動適応プラットフォームについて、参加者がそれぞれの取組を紹介しました。
2日目は、共通の課題やプラットフォーム開発の今後の方向性について、より踏み込んだ議論が行われました。特にClimate-ADAPTと各国プラットフォームの連携による協力体制が検討され、2026年末に予定されているEUの適応に関わる法制度および各国の適応政策を、協力して支援していく方策が議論されました。

集合写真
写真提供:EEA, Sasha Mosky氏

国立環境研究所(NIES)の発表概要

日本:大山 剛弘(A-PLAT)

A-PLATは国家適応プラットフォームとして、法制度や政策情報、科学的知見、実践事例などを統合的に整理し、適応に必要な情報を分かりやすく提供する役割を担っています。気候変動適応の政策立案や現場での取り組みを支えるための“情報のハブ”として機能しています。
また、A-PLATは自治体や企業との情報交換や支援活動を継続的に行い、相談対応・研修・定期会合を通じて利用者のニーズを把握しながら改善を重ねており、その結果をサイトの設計に反映しています。
さらに、自治体、企業(TCFD対応など)、子どもなど対象ごとにポータルページを設計し、それぞれが必要な情報にアクセスしやすい仕様となっています。

アジア太平洋地域:増冨 祐司(AP-PLAT)

AP-PLATは、将来気候データ、適応の事例、研修コンテンツ、気候ファイナンス情報など、地域の適応に必要な知見を総合的に提供しています。特に、将来気候データは政策担当者だけでなく全てのユーザーが幅広く利用できる点が大きな特徴です。
また、AP-PLATは「実務で使えること」を重視しており、具体的な適応行動につなげるためのツールも提供しています。例えば、緑の気候基金(GCF)に提出する提案書作成支援ツール(GCF Concept Note Navigator)は、実務者が自国の状況に合わせて効率的に提案書を作成できるよう支援する仕組みです。こうした実践的なツールを通じて、科学知識と現場の適応行動をつなぐことを目指しています。

増冨発表の様子

ディスカッションと今後の方向性

ディスカッションでは、プラットフォームを設計する際に「利用者起点」で考えることの必要性が議論されました。政策担当者、実務者、企業、市民など多様な利用者を一律に満たすことは難しいという認識が共有されました。
また、継続利用のためには、目的や利用者に応じた入口設計にするとともに、提供側・利用側が相互に継続的に関わり続けることが重要であることが強調されました。単に情報を掲載するだけでなく、実務に役立つ支援ツールの提供が求められるという意見も挙がりました。
さらに、分かりやすい言葉づかい、学びにつながるケーススタディの整理、影響や効果を適切に評価する手法、そしてテーマを絞った国際協力の推進が、適応情報プラットフォームの価値と社会的なインパクトを高める鍵として示されました。

ディスカッションの様子
(2026年1月29日掲載)