暑さに強いキウイフルーツの開発

掲載日 2025年9月5日
分野 農業、森林・林業、水産業
地域名 中国四国(香川県)

気候変動による影響

キウイフルーツにおいては、気候変動による高温・乾燥により、収穫時期の前進、葉焼け・落葉の発生に伴う糖度不足などの品質低下や貯蔵性の低下を招くことがあります。

取り組み

香川県は、香川大学との共同研究により、日本の温暖な地域に自生する、病気に強く暑さや風に強いシマサルナシと、食味のよいキウイフルーツを交配して育成した一口サイズの「さぬきキウイっこ®」を開発しました(注)。

このキウイは、糖度が非常に高く、キウイフルーツ特有の刺激が少ない一口サイズの品種です。1果あたりの重さは一般的なキウイの半分程度で、果実の表面に毛がないため、指で半分に割って果肉を押し出すと、一口ゼリーのように簡単に食べることができます(図)。また、貯蔵期間が長く、11月から翌年の2月頃まで市場に出回ります。

さぬきキウイっこ®の主な特長は、以下の通りです。

  • 発芽・開花・成熟が主要品種「ヘイワード」より早く、収穫時期も前倒しになる。
  • 果実は小ぶり(約40〜50g)で、糖度が高く(17〜21)、食味が非常に良い。
  • 果肉の色や形は品種によって異なり、黄色〜緑色、楕円形〜台形など多様性がある。
  • キウイフルーツかいよう病biovar3に対して「レインボーレッド」よりも強い耐性をもつ。
  • 香川県の産地に適しているが、発芽が早いため凍霜害のリスクがある地域では注意が必要。
  • 一般的なキウイよりも土壌の乾燥に強く、高温・強日射の下でも葉焼けしにくい。

効果/期待される効果等

さぬきキウイっこ®は、気候変動の影響を受ける中でも安定した生産が期待されます。香川県内に限定して普及が進められており、現在、県内では約9ヘクタールで栽培されています。年間の収穫量は約60トンに達し、県内市場を中心に流通しています。

図 たわわに実る「さぬきキウイっこ®」と食べ方
(出典:香川県「さぬきキウイっこ®」)

脚注
(注)さぬきキウイっこ®は、「香川UP―キ1~5 号」の5品種の総称で、平成25年に商標登録している。

出典・関連情報

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