掲載日2026年10月30日
分野健康 / 国民生活・都市生活 / 普及啓発
地域名関東(神奈川県)

気候変動による影響

近年の地球温暖化の影響により平均気温は上昇傾向にあり、高温多湿な環境では発汗による放熱が妨げられるため、室内であっても熱中症や睡眠障害のリスクが高まります。特に高齢者等では、熱中症による死亡者の多くが室内で発生していることが報告されており、屋内での適切な予防行動が重要です(注)。

取り組み

神奈川県厚木市では「市民協働事業提案制度」の下で市民団体と市が協働して事業を実施する仕組みを設けています。こうした取組の中で開催された「あつぎ気候市民会議」を契機として、市民主体の組織である「カーボンニュートラルあつぎ未来プロジェクト」(CNあつぎ未来PJ)が発足しました。

CNあつぎ未来PJでは、住宅断熱を気候変動による暑熱への対応に資する取組として位置づけ、行政、大学、事業者等と連携しながら、市民自らが断熱改修の効果や補助金制度を検証する活動を実施しています。

市民は実際に補助金を活用して内窓設置等の断熱改修を行い、専門家の支援の下で表面温度や熱貫流率等を測定し、改修前後の変化を確認しました(図1、図2、図3)。また、国・県・市の補助制度や自己負担額、申請手続等についても整理・検証を行っています(図4)。

これらの活動には、<東京工芸大学工学部工学科建築コース 建築環境・設備研究室(山本佳嗣研究室)>などの専門家が協力しています。

さらに、CNあつぎ未来PJは住宅断熱や補助金活用に関する市民向けセミナーを公民館等で開催するとともに、オンライン配信も実施しています。周知に当たっては、チラシ配布や関係機関への案内に加え、厚木市公式LINE等も活用しています。

CNあつぎ未来PJによる住宅断熱/省エネの市民向けセミナー
開催時期セミナータイトルと主な内容参加者数(講師・スタッフ含む)
2025/3/16「あなたのお住まいをもっと豊かにする 太陽光・断熱 補助金活用セミナー」
◎専門家:断熱=高橋真樹氏、太陽光発電=真鍋航輝氏(ハチドリソーラー)
◎スタッフによる体験紹介・補助金活用解説
◎厚木市環境政策課 補助金制度解説
38人
2025/6/8~7/21「あなたのお住まいを快適にする 窓断熱/太陽光パネル・蓄電池 補助金活用セミナー」
◎スタッフによる体験紹介・補助金活用解説
◎窓断熱の効果、補助金活用による自己負担額
◎太陽光発電・蓄電池の投資回収シミュレーション
51人
2026/3/20「住まいの省エネ・創エネセミナー」
◎専門家:東京工芸大学 山本佳嗣氏
◎スタッフによる体験紹介・補助金活用解説
◎DIY窓断熱の体験紹介
◎太陽光発電・蓄電池の投資回収シミュレーション
30人
2026/3/29~4/25「住まいの省エネ・創エネセミナー」
◎スタッフによる体験紹介・補助金活用解説
◎太陽光発電・蓄電池の投資回収シミュレーション
80人
2026/5/18,202026/3/29~4/25に開催した内容と同じ20人

効果/期待される効果等

住宅断熱を日射遮蔽や適切な冷房利用と組み合わせることで、夏季の室内暑熱環境の改善や熱中症リスクの低減が期待されます。また、冷房負荷の低減による省エネルギーや温室効果ガス排出量の削減という、適応と緩和のコベネフィットも期待されます。

さらに、気候市民会議の提言を自ら実証した結果をもとに、市民が主体的に住宅断熱の普及啓発に取り組むことで、暑熱対策としての住宅断熱に対する理解の促進や普及拡大につながることが期待されます。

内窓設置断熱性能測定の様子
図1 内窓設置断熱性能測定の様子
(出典:カーボンニュートラルあつぎ未来プロジェクト撮影
(協力:東京工芸大学建築環境計画研究室))
工事前後の表面(窓内外・壁内外)温度の測定結果
図2 工事前後の表面(窓内外・壁内外)温度の測定結果
(出典:カーボンニュートラルあつぎ未来プロジェクト作成
(協力:東京工芸大学建築環境計画研究室) )
内窓設置による断熱性能の向上検証(熱貫流率結果)
図3 内窓設置による断熱性能の向上検証(熱貫流率結果)
(出典:カーボンニュートラルあつぎ未来プロジェクトにて作成
(協力:東京工芸大学建築環境計画研究室))
内窓設置に関する補助金制度の整理・検証
図4 内窓設置に関する補助金制度の整理・検証
(出典:下記のウェブサイト情報を参考にカーボンニュートラルあつぎ未来プロジェクトにて作成
・環境省「先進的窓リノベ」
・神奈川県既存住宅省エネ改修事業費補助金
・厚木市省エネ住宅導入促進奨励金)

脚注

(注)参考・引用文献:環境省『ecojin』および『熱中症環境保健マニュアル 3-1』