Gatwick Airport Limited
ガトウィック空港
既存のリスク評価の枠組みを活用した気候変動影響のリスク評価の実施及び、水害対策の検討・実施
掲載日 | 2016年12月2日 |
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分野 | 自然災害・沿岸域 / 産業・経済活動 |
会社概要
ガトウィック空港は、英国で二番目に大きな空港である。単線滑走路の空港としては世界一の発着回数を誇る空港であり、年間利用者数は4,000万人にのぼる。
適応に関する取組の概要
気候変動影響のリスク評価
- 各事業部門が実施する空港の運営に関する既存のリスク評価の仕組みの中に、気候変動影響に関するリスク評価を取り入れている。
- 具体的には、英国気象庁による21世紀中の気候変化を予測している英国気候予測2009(UK Climate Projection 2009:UKCP09)の予測結果のうち、最悪シナリオ(現在と比べて、2020年までに夏季降水量が18%増加等)を想定し、2020年と2050年の気候変動が空港運営に及ぼす影響のリスク評価を行っている。
- 事業部門ごとに気候変動リスクを抽出し、各リスクに対して、影響が生じる可能性(Likelihood)、環境面、財政面、評判(Reputation)等の項目を点数付けすることにより評価が行われている。評価結果は下表のように取りまとめられている。
表1. 気候変動影響のリスク評価結果の取りまとめ表の一部 事業部門ごとに、現状のリスク、2020年のリスク、2050年のリスクを示している
- 合計で21の気候変動リスクを抽出・評価しており、評価の結果、以下のような雪/氷及び、洪水に関わる影響を重大な気候変動リスクとして特定している。
- 雪/氷により空港の運営が不可能となるリスク
- 大雨により、雨水排水溝や雨水貯水池の容量を超過し、空港が浸水するリスク
- 空港周辺の河川が増水することにより、空港が浸水するリスク
気候変動影響に対する対応
- 上記の気候変動影響のリスク評価結果に基づき、洪水・水管理対策を以下のように検討・実施している。
- UKCP09の気候変動の将来予測結果の最悪シナリオに基づき、50年確率洪水及び100年確率洪水の洪水リスクマップを作成し、空港及び空港周辺の水害シミュレーションを実施。
図1. 空港及び空港周辺の100年確率洪水の洪水リスクマップ
- 水害シミュレーションの結果から特に被害が大きいと考えられるエリアを特定し、雨水貯水池の増設や河川工事の実施、地下排水溝の強化等を実施。
- UKCP09の気候変動の将来予測結果の最悪シナリオに基づき、50年確率洪水及び100年確率洪水の洪水リスクマップを作成し、空港及び空港周辺の水害シミュレーションを実施。
- 雪/氷対策については、過去に発生した豪雪により生じた影響を教訓に、除雪・除氷設備の更新に対する投資(7,900万円(約60万ポンド))や除雪車の台数の増加、他空港会社と協力した緊急時対応計画の策定等を行っている。
- この他の気候変動影響に対する対応としては、悪天候時対応計画の策定及び同計画の毎年度の改訂、バックアップ電源の整備、配電設備の強化等が挙げられる。