Scottish Power Energy Network
スコティッシュ・パワー エネルギーネットワーク

気候変動リスク評価結果に基づく、気温上昇・異常気象・洪水対策の検討・実施

掲載日 2016年12月2日
分野 自然災害・沿岸域 / 産業・経済活動 / 国民生活・都市生活

会社概要

スコティッシュ・パワー エネルギーネットワーク(Scottish Power Energy Network)は、英国の大手電力会社であるスコティッシュ・パワーの関連会社であり、送電網のメンテナンスや修理を通して、約3,100万世帯への電力供給を支えている。

スコティッシュ・パワー エネルギーネットワーク

適応に関する取組の概要

気候変動影響のリスク評価

  • 2011年に実施されたエネルギーネットワーク協会(Energy Networks Association)(英国の電気・ガス業界により構成)による気候変動影響のリスク評価結果を参考に、自社に関連する気候変動影響のリスク評価を実施している。リスク評価にあたっては、社内の主要部門(環境計画や資産運用等)の従業員によるワークショップを開催している。
  • リスク評価の結果は、下表のように、影響の程度・生じる可能性により色分けされている(赤:重大なリスク、橙:程度の高いリスク、黄:中程度のリスク、緑:程度の低いリスク)。
    表1. 気候変動影響のリスク評価指標
    表1. 気候変動影響のリスク評価指標
    縦軸は影響の程度、横軸は影響が生じる可能性を示している。合計22のリスクが特定されている。
  • リスク評価の結果、気温上昇、大雨等の異常気象及び洪水を重大な気候変動リスクとして特定している。
    • 気温上昇によるリスク:夏季や冬季の電力使用量が変化することにより、送電網の負荷バランスが変化し、電力供給に支障が生じるリスク
    • 大雨等の異常気象によるリスク:電力供給に支障が生じた際に、メンテナンスを行う作業員が現場に行くことができず、送電網が設置されている地域において、電力供給の障害が拡大するリスク
    • 洪水によるリスク:通信・制御インフラに影響を与えるリスク
  • また、気候変動により冬季が温暖になることをプラスの影響として評価している。
    • 冬季が温暖になり積雪量が減少することで、より送電網のメンテナンスを行ないやすくなり、新たな電力系統接続を建設することが可能となる。
    • 電力のピークが夏期にシフトすることで、メンテナンスを作業の行ないやすい気候である春や秋に行うことができる。
      表2. 気候変動影響のリスク評価結果及び考えうる適応策の取りまとめ表の一部
      表2. 気候変動影響のリスク評価結果及び考えうる適応策の取りまとめ表の一部
      左から業務、気候要素、気候要素による影響、組織に影響を与える閾値、閾値を超える可能性・評価の確信度、組織・ステークホルダーへの影響、影響を緩和するための対策、対策の実施が必要になる時期

気候変動影響のリスク評価

  • 重大な気候変動リスクとして特定した気温上昇、異常気象、洪水被害に対する適応策については、以下を検討・実施している。
    • 洪水リスクに関する調査を継続して実施し、強靭化を図る。
    • 通信・制御インフラの主要な供給者との関係性を維持する。
    • 電力供給に支障が生じた際、その記録・報告を行う。等
  • 定期的な気候変動リスクの報告の枠組みとして、主要なリスクの報告(KRR: Key Risk Reporting)を実施している。事業部門ごとに気候変動リスクを抽出し、関係する職員や組織に周知している。毎月主要なリスクの確認を行い、四半期ごとにスコティッシュ・パワーの役員等に確認結果が報告される。

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