夏季の熱中症対策
大成建設株式会社
建設業
掲載日 | 2021年5月12日 |
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適応分野 | 健康 / 産業・経済活動 |
会社概要
1873年創業の大成建設は、安全・安心で魅力ある街づくりや社会資本の整備に携わり、大規模な自然災害からの復旧・復興、さらに国土強靭化にも貢献することで、建設業としての社会的責任を果たしてきた。これからも持続的な成長と企業価値の向上を図るとともに、グループ理念「人がいきいきとする環境を創造する」を追求し、自然と調和した次世代の夢と希望に溢れた社会づくりに取り組んでいく。
気候変動による影響
近年の気候温暖化に伴う猛暑により2018年には日本の職場全体で1178人、2019年はそれに次ぐ829人の熱中症による死傷者数を記録した。
こうした傾向を踏まえ、大成建設では夏季の現場における最優先課題の一つとして熱中症対策に力を入れている。
気候変動リスクに関する取組
熱中症対策の基本は、「作業環境管理」、「作業管理」、「健康管理」の3本柱である。
【作業環境管理】
- 暑さ指数(WBGT値:湿球黒球温度)によって熱中症リスクを把握し、注意喚起や休憩時間を設定する等の対策が必要である。地域の情報として発表されるWBGT値だけでなく、携帯型WBGT値測定器等を使って実際の作業環境の暑熱状態をこまめに把握することも大切である。
- 各現場の状況に応じて送風機、扇風機、ミスト冷却装置等を設置したり、屋根や冷房設備のある休憩所を用意する等の対策も行っている。
- 冷却効果のある空調ファン付き作業服が現場に普及してきて、効果をあげている。2020年には、当社社員の作業服・ヘルメットの一斉切り替えに伴い、オリジナルデザインの空調ファン付き作業服を製作した。(図1)
【作業管理】
- 暑熱環境に体が慣れていない人には、いきなり長時間作業をさせることは避け、7日間程度を目安に体を徐々に暑さに慣れさせる「暑熱順化」が大切である。
- 現場に出る前にしっかり水分と塩分を摂取すること、作業中も適宜こまめに水分と塩分を補給すること等を呼び掛けている。
- 手のひらなど体の末端を冷やすことで手軽に深部体温の上昇を抑制できる「手のひら冷却」等の最新の医学知見に基づく対策も取り入れている。
【健康管理】
- 睡眠不足、風邪、前日の多量の飲酒や朝食抜き、基礎疾患などが熱中症リスクを高めることについて啓発を行っている。
- そういう状態にある人には事前に申し出てもらい、作業配置上の配慮も行っている。
- 作業中は、責任者の巡視や、作業者同士の声の掛け合い等によってお互いの体調に目配りすることが大切である。孤立した作業を避け、体調不良時には我慢せずに助けを求めるように呼び掛けている。
- 熱中症が疑われる症状がある時には、躊躇せず速やかに医療機関にかかり、重症化を避けることも大切である。
- 新型コロナウイルス感染症対策としてマスクを着用する機会が増えたが、マスク着用時は体内に熱がこもりやすく、喉の渇きを感じにくいこと等から熱中症リスクが高まることに注意喚起をしている。
こうした熱中症対策は社内報や啓発ポスター(図2)、教育用動画等を用いて周知している。
熱中症防止は一つの対策を導入すれば済むというものではなく、これら各種の対策を複合的に取り入れることで効果を上げていく。
効果/期待される効果等
上記種々の対策が実を結び、全社的に熱中症の発症件数は減少傾向となり、同業大手他社と比べても件数、重篤度ともに低い水準に抑えられている。
図1 社員用空調ファン付き作業服
図2 熱中症対策の各種啓発ポスター
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