蚊をよせつけない紙おむつ
ユニ・チャーム株式会社
業種:製造業
| 掲載日 | 2025年8月25日 |
|---|---|
| 適応分野 | 健康 |
会社概要

ユニ・チャーム株式会社は、ウェルネスケア、フェミニンケア、ベビーケア、ペットケアといった多様なライフケア関連商品の製造・販売を手がけており、約80の国や地域でグローバルに事業を展開している。
気候変動による影響
気候変動に伴う気温や降水量、降水パターンの変化によって、熱波や洪水などによる直接的な被害だけでなく、間接的な影響として感染症の拡大も懸念されている。例えば、温暖化によって病原体を媒介する生物(媒介動物)の生息域や活動の拡大によって、感染症の流行地域や患者発生数に影響を及ぼす可能性がある。蚊媒介感染症のデング熱も例外ではなく、世界的に症例が増大しているが、重症化すると死に至るおそれがあるため、その感染拡大は深刻な問題である。
適応に関する取り組み
当社は、マレーシアおよびシンガポールにおいて、デングウイルスを媒介する蚊を寄せつけない「アンチモスカプセル」(注1)を搭載した紙おむつ『MamyPoko Extra Dry ANTIMOS Tape』を2020年より発売している(図1)。
アンチモスカプセルとは、蚊が忌避するレモングラス成分をマイクロカプセルに詰め込んだもので、紙おむつのテープ部分に塗工されており、テープの付け外しの際にカプセルが破砕することによって出てくるレモングラス成分が、赤ちゃんの肌を蚊から守る。なお、レモングラス成分には肌に触れても安心な、自然由来の材料が用いられている。また、“デング熱から子を守る宣言”を「MamyPoko」の動画(図2、注2)を通して発信し、デング熱拡大防止にも取り組んでいる。
加えて、はかせやすいパンツタイプ『MamyPoko Pants ANTIMOS』の販売をマレーシア、シンガポール、タイ、フィリピンにおいて開始しており(図3)、専用のWebサイト(注3)を通じたデング熱に関する啓発プログラムを提供している。これは、特に降水量の増加などによりデング熱の危険性が高まっているマレーシアやシンガポールにおいて、赤ちゃんと保護者の手助けをしたいという考えから行われているもので、デング熱を経験した母親の経験談や予防策などの情報を提供している。
また、ブラジルとベトナムでは、肌へ均一に塗布できるウェットシートタイプの虫よけ商品『Bobby ANTIMOS』を発売し、家庭や学校、公園などさまざまなシーンで使用されている。さらに、2021年に超大型台風「Yagi」による被害発生時においては、暴風雨と洪水で甚大な被害を受けたベトナム北部の6省に対し、ベトナムの現地法人が保健省母子保健局と連携し、本商品約36,000個を寄付することで支援を行った。
東南アジア諸国連合(ASEAN)が制定した6月15日の「ASEAN Dengue Day」では、タイやベトナム、マレーシアの現地法人が、デング熱の感染予防の意識を高めるためのイベントを開催している。これには、地域清掃活動、家庭での蚊の駆除方法、デング熱の危険性に関する講義などが含まれ、『MamyPoko Pants ANTIMOS』の試供品も配布されている。
効果/期待される効果等
これらの商品によって、デング熱感染リスクの低減が期待される。
さらに当社は、デング熱感染の脅威にさらされる地域における多くの家庭や保育園などの施設に、アンチモスカプセルを搭載した紙おむつを流通させることによってSDGsの17の目標のうち、2つの達成に貢献している。
- Goal 3: すべての人に健康と福祉を
予防可能なことが原因で赤ちゃんや幼い子どもが命を落としてしまうリスクを軽減する。 - Goal 12: つくる責任 つかう責任
赤ちゃんの肌にも安全な成分を使用し、人の健康や環境への悪影響を最小化する。

※テープ部に香料含有の破損有無の両マイクロカプセルが塗工されている構造。
主要グローバルブランドにおける幼児用使い捨ておむつ対象。
2020年2月ユニ・チャーム調べ


(図は、Lサイズの製品)
脚注
(注1) ユニ・チャーム株式会社は、アンチモスカプセルに関する技術について特許を取得した。
(注2) 「MamyPoko Against Dengue. Let’s prevent. Let’s protect.」
(注3) 『MamyPoko ANTIMOS Pants』専用Webサイト
自社関連サイト