小規模分散型水循環システム

WOTA株式会社

業種:製造業

掲載日 2025年9月17日
適応分野 水環境・水資源 / 自然災害・沿岸域 / 国民生活・都市生活

会社概要

WOTA株式会社 は、水問題の構造的な解決を目指す⺠間企業。
2014年の創業以来、地球上の水資源の偏在・枯渇・汚染によって生じる諸問題の解決のため、生活排水を再生し最大限有効活用する「分散型水循環システム」およびそれを実現する「水処理自律制御技術」を開発。既に、2つの商品を上市し、災害時の断水状況下における応急的な水利用の実現や、公衆衛生の向上に寄与してきた。また、日常的な水利用を実現する「家庭用水循環システム」を開発し、国内外の一部地域で給水を開始している。

気候変動による影響

近年、急激な人口増加や気候変動によって水問題は以前にも増して深刻化し、すでにある上下水道の運用も盤石ではない。また2050年までに世界の大都市の半数が水不足に直面し、50億人もの人々が1年に最低1カ月間、水を充分に得られなくなるという予測もある。もはや水問題は一部の国だけの問題ではなく、さまざまな経済段階の国で複合的に発生しており、上下水道のみで解決を図ることも現実的ではなくなっている。

適応に関する取り組み

当社は、排水の98%以上を再生して循環利用することを可能にするポータブル水再生システム「WOTA BOX」(図1)を開発し、2019年に販売を開始した。

「WOTA BOX」には、活性炭やRO膜(注1)等、合計6つのフィルターによるろ過で不純物/細菌/ウイルスを除去し、深紫外線(注2)の照射と塩素系消毒剤を投入することによって99.9999%以上の細菌/ウイルスを除菌する機能を備えている。内部には独自の水処理自律制御技術が搭載されており、水質・機構を常時監視・制御するため、メンテナンスやトラブルが起こればすぐに通知される仕組みである。これらのテクノロジーにより、「WOTA BOX」で浄化された水は公衆浴場の水質基準(注3)に準拠した水質を維持できる(図2)。また、通常のシャワー2回分に相当する約100Lの水量で、約100回分のシャワー利用が可能になる(図3)。

当社はこれまで、国内で自然災害が発生した際に、被災地の避難所へ「WOTA BOX」、給湯機、シャワーテント、脱衣テントなどを組み合わせた屋外シャワーキットを提供してきた(図4)。2024年1月1日に発生した能登半島地震では、1月4日から珠洲市や能登町などの広域断水地域において、ポータブル水再生システム「WOTA BOX」(水循環型シャワー)および水循環型手洗いスタンド「WOSH」の設置が開始された。発災から約1ヶ月で約300台のシステムを展開し、長期断水避難所の89%をカバーする支援を実現した。

効果/期待される効果等

「WOTA BOX」は、自然災害発生時における被災者だけでなく、電力会社の復旧工事員や土木作業員、救急隊員などの復旧支援者にも活用され、人々の生活の質と衛生環境を大幅に改善し、感染症リスクの軽減にも寄与する。さらに、屋外イベント会場など、水道を使うことができない場所での水利用を実現する可搬型のシステムであり、いつでもどこでも安全・安心な水の使用を可能とする。

ポータブル水再生システム「WOTA BOX」
図1 ポータブル水再生システム「WOTA BOX」
「WOTA BOX」概念図
図2 「WOTA BOX」概念図
「WOTA BOX」による節水効果
図3 「WOTA BOX」による節水効果
「WOTA BOX」 + 屋外シャワーキット
図 4 「WOTA BOX」 + 屋外シャワーキット

脚注
(注1)水以外の不純物を通さない逆浸透膜であり、海水淡水化におけるコア技術である。
(注2)紫外線の中でも波長が短く水や空気を殺菌する能力があり、殺菌の機器に応用されている。
(注3)厚生労働省「公衆浴場における衛生等管理要領等について」の別添1「公衆浴場における水質基準等に関する指針」(平成12年12月15日 生衛発第 1,811 号 厚生省生活衛生局長通知)

自社関連サイト

関連記事