株式会社Smolt
業種:漁業
| 掲載日 | 2026年4月24日 |
|---|---|
| 適応分野 | 農林水作業 |
会社概要

株式会社Smoltは、2019年に創業以来、従来サーモン養殖に適さないとされてきた温暖な環境である宮崎県で、サクラマスの海面養殖を行ってきたスタートアップ企業である。これまで、20℃前後の海水において高水温環境でも育成可能な系統を確立し、九州や四国、本州での実証実績を重ねている。
気候変動による影響
気象庁の報告によると、2023年の年平均海面水温は観測史上最高を記録し、100年あたり0.61℃の上昇傾向が確認されている。サクラマスを含むサーモン類は本来18℃以下の水温帯で養殖される冷水性魚類であり、海水温上昇によって養殖適地が減少する。そのため、近年、サーモン類は夏季の高水温により生産量が不安定化しており、国内外の養殖事業者の多くが温暖化の影響を受け、市場供給への影響が懸念されている。
適応に関する取り組み
当社では、温暖化により高水温化が進む海面環境でも安定的に生産できるように、高温耐性サーモン(サクラマス)の品種開発と独自の循環型養殖方式の確立に取り組んでいる。主な取り組みは次のとおりである。
◾️高温耐性サーモン(サクラマス)の育種(図1)
当社では、宮崎県の温暖な環境で育つサクラマスの親魚を選抜し、6世代以上の選抜育種を行い、20℃前後の高水温でも育成可能なサクラマス系統(SMOLT SEED)を確立した。さらに現在は、22℃以上の超高水温環境でも生育可能な品種開発を進めている。
◾️生態を活かした独自の循環型養殖方式
サクラマスの生活史に基づいた持続可能な養殖モデル「SMOLT CYCLE」を提唱し、淡水で生まれた稚魚を一定期間海水で育て、再び淡水で親魚として育成するという方法で養殖している。また、サクラマスの海面養殖は、低水温の冬季に限定されるため、秋から冬にかけてブリやマダイ、トラフグなどが出荷された後の空いた生け簀を活用している(図2)。
効果/期待される効果等
高水温環境でも育成可能な魚種を確保することで、温暖化の進行下でも安定した養殖の継続を可能とし、養殖期間の減少、養殖可能な海域の制限といった課題を解決することが期待される。
2024年度には、九州・四国・本州の複数地域で導入企業が10社を突破した。例として、赤潮発生により深刻な被害を受けていた企業では、赤潮リスクの低い時期に養殖可能な新規魚種を検討し、当社の種苗を導入したことで安定生産を実現している。 今後は、サクラマスで培った知見を活かし、トラウトサーモンやギンザケの高温耐性品種開発を加速させていく。

