デンカアステック株式会社
業種:製造業
| 掲載日 | 2026年10月19日 |
|---|---|
| 適応分野 | 国民生活・都市生活 / 水環境・水資源 |
会社概要

デンカアステック株式会社は、「伝統と革新の融合で、明日のくらしに豊かな価値を創造する」の企業理念のもと設立された。会社としてはまだまだ若く、コンパクトではあるものの、主力製品である「トヨ雨どい」、「ひさご雨どい」は、住宅設備資材の重要なアイテムとなっている。基盤事業を柱に「省力化」・「防災」・「環境対応」をキーワードとしたスペシャリティー製品の開発と新規事業の創出を目指し、社員一丸となってチャレンジしていく。
気候変動による影響
近年、気候変動による影響で、日本でも深刻な水不足や、大雨による大災害など、今までに経験したことのない水に関する問題が生じている。特に、自然災害発生時には断水によって生活水が利用できなくなることがあり、災害時の生活機能を大きく損なうことが問題となっている。
適応に関する取り組み
当社では、雨水利用研究の第一人者である福井工業大学の笠井利浩教授との共同研究で、雨水をトイレ洗浄水や散水等の生活用水として利用する雨水タンク「PURE EDEN」を開発した(図1)。本製品は、従来の地面置き型ではなく、ベランダや1階に壁掛けで設置することで、狭小地でも設置可能であり、最大100Lの雨水をためることができる仕様となっている。また、従来の雨水タンクよりも管理負担が少なく、導入しやすい設計となっている(図2)。さらに、本製品は戸建て住宅向けに開発したが、災害時やインフラの整っていない場所での活用も想定しており、現在ではトレーラーハウスやコンテナへの導入も進められている(図3)。
「PURE EDEN」には、4つの特徴がある。
① 災害時に利用できる備蓄水
タンク内に溜められた雨水は、備蓄水として災害時に利用できる。最大100Lの雨水は、約20回分のトイレ洗浄水に相当するため、災害時の在宅避難において雨水を生活用水として活用できる。
また、「PURE EDEN」は、家屋の2階に設置することで位置エネルギーを利用した送水が可能となり、災害に伴う停電時でも使用できる。
② 日常での雨水の利用
災害時の利用だけでなく、プランターへの水やりや洗車等、幅広い用途に使用できる。日常的に利用することで、水道水の節約にも繋がる。
③ いつでもきれいな水を使用できるシステム
雨どいから雨水がタンクへ流入して一定以上の水位になると、タンクに溜まったゴミと一緒にたてどい(注1)へ排水されて水が循環する仕組みとなっている。そのため、常にタンク内の水が入れ替わることにより、水質を維持できる(図4)。
④ 場所をとらないデザイン
「PURE EDEN」は、2024年度グッドデザイン賞も受賞しており、従来の地面置き型とは異なり、景観を損なわないスタイリッシュな角型デザインを採用している。ベランダや1階に壁掛けで設置できるため、場所をとらないデザインとなっている。
効果/期待される効果等
「PURE EDEN」を導入することで、災害による断水時でもトイレ洗浄水等の生活用水を確保できる。また、従来の雨水タンクと異なり、水循環機能を備えた本製品は、タンク内の水質を維持できるため、災害時等においても衛生的に水を利用することが可能である。加えて、家庭用水の約20%を占めるトイレ洗浄水等(注2)に日常的に雨水を使用することで、水資源を有効に活用することができる。
さらに、本製品をトレーラーハウスやコンテナ等に導入することで、上水道等のライフラインが被害を受けた場合でも、避難生活に加え、復旧作業に従事する作業員等の一時的な居住・滞在拠点における生活用水の確保にも寄与することが期待される。
このように、日常的に利用しながら災害時への備えにもつながる製品として、「フェーズフリーアワード2026」事業部門においてBronzeを受賞している(注3)。
また、浄水や送水にエネルギーを必要とする上水の使用量を抑えることで、CO₂排出量の削減にもつながり、環境負荷の低減にも寄与する。




脚注
(注1)たてどい:屋根から地面まで縦に設置されている樋のこと
(注2) 東京都水道局 令和3年度 一般家庭水使用目的別実態調査に基づく。(出典:東京都水道局「水の上手な使い方」)
(注3) フェーズフリーアワードは、一般社団法人フェーズフリー協会が主催する、「フェーズフリー」のコンセプトを通じて、「災害による被害が起こりにくい、安心して豊かに暮らせる」社会を実現を目指す活動の一つである。(出典:フェーズフリーアワード)