マルコメ株式会社
業種:製造業
| 掲載日 | 2026年9月3日 |
|---|---|
| 適応分野 | 農業・林業・水産業 |
会社概要

創業1854年、⻑野県に本社を置く発酵⾷品メーカー。主⼒の味噌事業で培ってきた原料に対する知見を活かし、糀⽢酒や塩糀をはじめとする糀事業、⼤⾖のお⾁や⼤⾖粉などを手がける⼤⾖事業を展開。和洋中さまざまなメニューを美味しくヘルシーに。⽇本が誇る発酵のちからを広く世の中に伝えている。
気候変動による影響
あおさ(ヒトエグサ)をはじめとする海藻類は、みそ汁の具材としても人気が高く、需要が年々伸びている。一方、海藻類は近年の気候変動による海水温の上昇などが原因で収穫量の減少が続いている。収穫量の減少は、食品メーカーなどにとって供給不安に繋がり、大きな課題となっている。
気候変動リスクに関する取組
当社では、あおさの供給不安を解消するとともに海洋資源を持続的に活⽤していくことを⽬指し、みそ汁具材として世界初となるあおさの陸上養殖技術を確立した。陸上養殖技術の開発は、あおさの生育過程で必要な成長促進因子サルーシン(注)を人工合成することに成功した徳島文理大学薬学部の山本博文教授の協力を得て実現した。
当社のあおさの陸上養殖技術には、2つの特徴がある。
①高温耐性や養殖適性を持つあおさ株の選抜技術
通常、あおさは海水温が20度より高くなると生育できない。そのため、通年の生産ができるよう、まず高温に耐性のあるあおさの株を探した。各地でサンプルを採取し、何度まで耐性があるか、室内培養の環境や屋外での養殖に適しているかといった事項を調査した。その上で、胞子を取る母藻を育て、より高温に耐性のある種を選抜、生育するというプロセスを繰り返し、通年養殖ができる株を選定した。
②多段階水槽を用いた陸上養殖プロセス
愛媛県西予市明浜町に、あおさ陸上養殖研究開発拠点(仮称)(図1)を設置している。施設では、2019年から試験養殖を開始し、種苗作成から収穫まで一連の流れを確立した。
施設の建屋では、主にあおさの母藻を育てている(図2)。水槽にLED光と空気を送り込むことで光合成を促し、成長したあおさは野外の水槽に放流する。野外では、300リットル、5トン、10トンの3水槽によって養殖を行っており(図3)、成長段階によって300リットルから5トン、そして10トンの水槽に移動させている。手のひらサイズのあおさに成長したら水槽から引き上げ、洗浄、乾燥の工程へ進んでいく。
また、陸上養殖研究開発拠点(仮称)における陸上養殖試験設備では、「自然の海水を使った天然物で養殖を行う」という方針のもと、拠点の前の海から汲み上げた海水をろ過し、テグスや貝殻などの異物を除去して使用している。
効果/期待される効果等
あおさの陸上養殖の確立・導入により、気候変動に伴う海水温上昇などの外的要因に左右されず、安定的なあおさの供給が可能となった。こうして陸上養殖で育てられたあおさは、当社の即席みそ汁などの製品原材料に使用している。 将来的には商品の安定供給はもとより、海面養殖と共存し得るあおさ自体の外販も視野に入れている。



脚注
(注)サルーシン:海洋バクテリアが産生する極微量成分