2023年気候変動影響・適応に係る知見共有のための日韓国際ワークショップ(The 2023 International Joint Workshop for Sharing Climate Change Impact and Adaptation Knowledge between Korea and Japan)の参加レポート
開催日 | 2023年11月23日 |
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開催場所 | 韓国・慶州市、慶州画伯コンベンションセンター |
気候変動影響や適応に関する知見を共有するため、ソウル国立大学と韓国の気候変動適応センター(Korea Adaptation Center for Climate Change、KACCC)の共催による韓国・慶州での国際共同ワークショップに、国立環境研究所・気候変動適応センター(Center for Climate Change Adaptation、CCCA)のメンバーが参加しました。CCCAとKACCCでは、これまでにも継続的に人的交流を行ってきています。このワークショップは、2023年の韓国気候変動研究学会の秋季大会(Fall Conference of The Korean Society of Climate Change Research、2023年11月22日~24日開催)の一環として開催されました。
肱岡靖明センター長と高麗大学校のJeon教授の司会進行のもと、日本のCCCAからは以下の発表を行いました。
- ① Contribution of science to locally-led climate change adaptation actions in Japan(真砂佳史 室長、口頭発表)
- ② Prediction of climate change impacts on heatstroke cases in Japan considering long-term heat adaptation(岡和孝 主幹研究員、口頭発表)
- ③ What kind of barriers do Japanese local climate change adaptation organizations face?(藤田知弘 主任研究員、口頭発表)
- ④ Climate change impacts on livelihoods and prospects for adaptation: Voices from the highlands and islands of the Philippines(吉田有紀 研究員、ポスター発表)
- ⑤ Climate change impact on heat illness in sports and effect of adaptation measures(大山剛弘 研究員、ポスター発表)
- ⑥ Role and key activities of the Center for Climate Change Adaptation in Japan(町村輔 研究調整主幹、ポスター発表)
活発な質疑があり、「気候変動影響の指標間の相関関係を捉えるのに十分な解像度で解析を行えているのか(発表①)」、「長期的な暑熱順化が熱中症救急搬送数にどの程度の効果をもたらすのか。(発表②)」、「日本では、国と地域での適応計画の策定に時間差はどの程度か。(発表③)」、「政策決定者向けに、具体的な情報を充実させていけるとよい。(発表③)」といった質問やコメントが参加者から寄せられました。
韓国からは、気候変動適応センターや大学の研究者が下記テーマで発表を行いました。
- ⑦ Assessment of climate change impact on South Korea's electricity demand with uncertainty(Dr. Hyun-gyu Kim、口頭発表)
- ⑧ Flood risk assessment for climate change adaptation strategies by central and local governments(Dr. Insang Yu、口頭発表)
- ⑨ Coupling green-grey infrastructure strategies to enhance urban flood resilience in the new climate regime and digital twin era(Dr. Samuel Park、口頭発表)
- ⑩ Developing a dynamic forecasting model for the urban climate resilience: application of the MASST model(Dr. Chanyong Kim、口頭発表)
- ⑪ An integrated decision-support tool for ecological environmental infrastructure amidst extreme weather events(Prof. Junga Lee、口頭発表)
こちらも活発な質疑があり、「電気機器の将来の省エネ性能向上や、地域差は考慮できているのか。(発表⑦)」、「実際に、シミュレーションと同じように都市にグリーンインフラを配置できる可能性はあるのか。(発表⑨)」、「MASSTモデルでの統合的なレジリエンス評価は、韓国にそのまま適用可能なのか。(発表⑩)」といった質問やコメントが参加者から寄せられました。
日本と韓国は隣国であり、気候条件や文化など様々な共通点を有するため、気候変動適応の観点からも、お互いの科学的知見を共有して議論を深めることは重要です。これからも両国の研究者間で積極的に意見交換を行い、より良い適応のあり方を考えていきます。