Adaptation Futures 2023レポート:熱波等の被害を受けたカナダにおける最新の適応戦略など

開催日 2023年10月2日~10月6日
開催地 カナダ / モントリオール(ハイブリッド)
参加登録者 120か国以上、2,000人以上(オンライン参加含む)

Adaptation Futures 2023がカナダで開催

Adaptation Futuresは2~3年に1度開催される気候変動適応に関する国際会合です。各国から研究者、行政関係者、実務者、業界関係者、コミュニケーターなどが集い、気候変動に適応した未来の実現に向けて、革新的なアイデアや先進的な取組の共有、今後の共創に向けた意見交換が行われています。

今回で7回目を迎えた本会合は、5年ぶり対面での参加可能な形式でカナダのモントリオールで開催されました。約5日間で合計200近くのセッションが組まれ、参加したセッションはいずれも満席近くなるものが多く、盛況ぶりが伺えました。

カラフルな彩りが印象的なモントリオール国際会議場(Palais des congrès de Montréal)
写真:受付の様子
受付の様子
写真:カナダの展示ブース
カナダの展示ブース

カナダにおける気候変動適応の動向

開催地のカナダは、近年、記録的な森林火災や熱波、洪水などによる甚大な被害を受けており、今年6月にはカナダで初めての国家適応戦略「Canada’s National Adaptation Strategy: Building Resilient Communities and a Strong Economy」が公表されました。この戦略で、先住民族主導の気候行動を支援していくことや州などにおける計画策定を推進することが掲げられました。

(参考)Canada’s National Adaptation Strategy: Building Resilient Communities and a Strong Economy(2023年6月)

Adaptation Futures 2023は、先住民の伝統的な舞踊を披露するオープンプレナリーから始まり、先住民族主導の適応推進のための議論を行うためのセッションが多く設けられていました。
また、カナダの適応戦略や州の取組を紹介するセッションや、分野別にはNbSや水リスクに関するセッションも多く見られました。

華やかなオープンプレナリーの様子
写真:セッションの様子
セッションの様子
写真:別セッションでのグループワークメモ
別セッションでのグループワークメモ

ブリティッシュコロンビア州における熱波経験談をまとめたレポート

2021年の猛暑で甚大な被害を受けたブリティッシュコロンビア州。その経験談をまとめたレポートが紹介されていました。実際に熱波を経験した100名以上の人々を対象にした聞き取りなどをもとに今後の熱波対策の提言をまとめたレポートです。住民と対策実施者の両面からの経験談や意見を集約している点が特徴的で、クーリングセンターがあまり活用されなかった実態(認知不足やアクセスの悪さ)などが赤裸々に記載されています。

(参考)LIVED EXPERIENCE OF EXTREME HEAT IN B.C.(2022年4月)

対話型のヒートアイランドマップ(モントリオール市)

モントリオール市では気候変動への脆弱性を分析するツール開発に取り組んでおり、分析例としてヒートアイランドマップが紹介されていました。建物や道路などを特定できる解像度で提供されており、行政担当者などの意思決定者が、熱波対策としてどの箇所から優先的に緑化整備を進めていけばよいかを検討するためのツールとして活用することも想定して開発しているようです。適応策のコミュニケーションツールとして大変興味深いです。

(参考)interactive heat island map

次回の開催地はニュージーランド

現地では、このほか、C40などの都市レベルの適応をテーマにしたセッションや、カナダにおける適応情報プラットフォームの開発に向けた意見交換を行うセッションなども行われ、日本の適応推進にとっても参考になるセッションがさまざまな形で企画されていました。
盛会に終わったカナダでのAdaptation Futures 2023ですが、早くも次回の情報が掲載されていました。次回は2025年にニュージーランドで開催するようです!紹介動画なども掲載されています。

(参考)Adaptation Futures 2025 特設サイト

出典・関連情報
(2023年10月25日掲載)

ページトップへ