「気候変動適応センター設立5周年国際シンポジウム~地域の気候変動適応はどこまで進んだのか?次に実践すべきアクションは?~」
開催日 | 2023年12月14日 |
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開催場所 | ステーション・コンファレンス東京及びzoomによるオンライン配信 |
気候変動適応法の施行から5年、気候変動適応センター設立5周年の節目を迎えた2023年12月に、環境省と国立環境研究所の共催により、国際シンポジウムを開催しました。
このシンポジウムでは、海外における適応の動向や国内における適応策の進展を共有し、特に「地域」にスポットを当てて、中長期的な適応のあり方や、国・地域が次に実践すべきアクションについて議論しました。
当日は、会場に国内外から約70名程度、オンラインから約200名以上の参加を賜りました。
講演内容、パネルディスカッションの討議内容についてご報告します。
八木哲也環境副大臣のご挨拶で開会した本シンポジウムは、日本政府による適応の取組や国立環境研究所による地域の活動推進のための取組について紹介した後、海外からお招きした専門家より英国・カナダ・オランダなどにおける取組についてご講演いただきました。また、地域の取組として、長野県・三重県の活動事例について地域気候変動適応センターの方々にご講演いただきました。その後、中長期的な適応のあり方や国・地域が次に実践すべきアクションをテーマにパネルディスカッションが行われました。
<講演内容>
「気候変動適応法に基づく政府の取組」
気候変動適応法の施行から5年間で進められてきた日本政府の取組についてご講演いただきました。地域の特徴に応じた適応を推進するための体制整備や広域での取組、国民参加による気候変動情報収集・分析事業などの取組、今後の展望についてご講演いただきました。
「地域気候変動適応センターの活動推進のための取組」
気候変動適応センター設立から5年で築いてきた「研究×支援」の体制を紹介するとともに、特に今回のテーマである「地域」における適応に焦点を当てて、その推進に向けた取組を紹介しました。A-PLATを通じた情報発信や研修の実施などによる地域適応の推進、地域気候変動適応センターとの協働などについて紹介しました。
「Advancing adaptation through policy, planning and cooperations: Sharing some thoughts through examples」
気候変動適応に係る国際的な政策動向についてご講演いただきました。特にカナダおよびイギリスにおける政策・戦略策定などの動向を事例としてご紹介いただくとともに、国際協力の事例として国際気候評議会ネットワークや国際的な気候変動プラットフォームについてもご紹介いただきました。適応に取り組むにあたり、人々が何に価値を置いているかを理解し、協力することの重要性をお示しいただきました。
「Developing a web-based climate adaptation knowledge platform as an integrative part of an evolving national knowledge infrastructure in the Netherlands」
オランダにおける気候適応プラットフォームの開発についてご講演いただきました。オランダNPO気候変動サービスCASでは2つのプラットフォーム、気候影響アトラスとナレッジポータルを構築しており、開発時の教訓や、モニタリングラボで開発された目標設定や方向性を決めるための適応ピラミッドの考え方などについてご紹介いただきました。
「信州気候変動適応センターにおける活動事例~市町村支援と学生との協働による気候変動影響調査~」
信州気候変動関応センターにおける活動事例についてご講演いただきました。市町村の取組支援やそのための気候変動予測情報の発信、学生との協働による地場産業の気候変動影響調査の活動状況について、取組を進めてきた背景を含めてご講演いただきました。
「三重県気候変動適応センターの活動事例~情報収集と発信、研究機関との連携~」
三重県気候変動適応センターにおいて実施されている情報収集・発信の取組、三重大学などと連携した適応研究会の取組についてご講演いただきました。適応を伝える際に「影響」や「緩和」の情報とセットで発信することの重要性を示していただきました。
<パネルディスカッション>
パネルディスカッションでは、会場・オンラインからの質問にお答えいただきつつ、パネリストの皆様がこれまでの活動を通じて得た学びを共有し、中長期的な地域適応のあり方や次に実践するアクションについて意見交換がなされました。その中で、対話や”Continuous leaning and improvement process”の重要性が示されました。
シンポジウムは、最後に国立環境研究所理事長の木本昌秀の挨拶をもって盛会の中で終えました。