開催日 2026年7月20日(月・祝)
開催地 つくば国際会議場

国立環境研究所は、環境に関するさまざまな研究成果を広く社会に伝えるため、1998年6月から毎年「公開シンポジウム」を開催しています。

今年度、気候変動適応センターからは、大山研究員が講演とパネルディスカッションに登壇し、堀田研究員がポスターセッションに参加、そして適応センターの広報担当者も現地に駆けつけました。
ここでは、両研究者の講演・ポスター発表等について、広報担当者からの感想をお伝えします。

大山研究員講演「将来の暑さが学校活動やスポーツに与える影響とその備え」

※講演資料につきましては、国立環境研究所 公開シンポジウムウェブサイトからご参照ください。

講演を拝聴し、子どもたちを取り巻く暑さのリスクについて、これまで広報担当者が漠然と抱いていた不安が、より具体的な課題として見えてきました。
特に印象に残ったのは、学校での活動は屋外にさらされやすいうえ、子どもの体は熱を取り込みやすく、汗をかく機能も未発達なため、体内にこもった熱をうまく逃がせないという点です。大人の感覚で「このくらいなら大丈夫」と判断することの危うさを、改めて感じました。

また、地域や時期、部活動の種類、活動場所ごとにリスクを算出し、将来の暑さ予測を時間割に重ね合わせていく取り組みにも注目しました。地域で一律に判断するのではなく、学校ごとに時間割や年間予定を組むことで、リスクの高い時間帯や活動をあらかじめ避けやすくなります。こうした情報をデータベース化して各学校に提供していく構想は、現場で科学的な根拠に基づいた判断ができるようになる第一歩として、大きな意義があると感じました。

今後、暑さのリスクはさらに高まることが予想されます。データに基づく対策と、これまでの前例にとらわれない柔軟な発想を組み合わせていくという今回の講演内容は、これからの学校現場での活用が期待されるものでした。

パネルディスカッション
「知ってわかる私たち(次世代)の未来:環境問題のじぶんごと化へ」

第2部では、つくば市内の中学・高校から3名の先生方をお招きし、「知ってわかる私たちの未来:環境問題のじぶんごと化へ」と題したパネルディスカッションが行われました。

先生方のお話の中で印象に残ったのは、授業で知識を学ぶだけでなく、探究学習などを通じて自分で調べ、考えたことこそが、大人になっても記憶に残るというお話です。基礎となる知識のインプットも大切ですが、自分の手で掘り下げるプロセスがあってこそ、学びが身についていくのだと感じました。

また、そのためには、生徒が主体的に取り組む「きっかけ」づくりが重要だという指摘にも納得しました。環境問題に直接結びつかなくても、暮らしの中の出来事や実体験を通じて間接的に触れることが、環境問題へのハードルを下げ、「じぶんごと」として捉えるきっかけになるという考え方も印象的でした。

一方、研究者の立場からは研究を分かりやすく伝え、可視化することの重要性についてもお話がありました。特に、30年後、50年後に何が起きるかを具体的に示すことで、遠い未来の話に感じられがちな環境問題も、自分に関わる問題として実感しやすくなる、という意見も出ました。

教育現場と研究者、それぞれの立場からのお話を伺い、次世代に環境問題を伝えていくうえで、多角的な視点の重要性を改めて実感しました。一つの伝え方にとらわれず、届ける相手に応じた見せ方や、情報を「じぶんごと」として受け止めてもらうための工夫は、広報の仕事にも通じるものがあると考えさせられました。

堀田研究員 ポスターセッション
「気候変動で森林はどう変わる? ~自然撹乱後の森林回復に着目したシミュレーション予測~」

堀田研究員はポスターセッションで自身の研究を紹介し、来場者と直接対話しながら知見を共有するなど、活発な意見交換を行いました。

会場をまわっていると、研究内容そのものだけでなく、日々の業務や研究の背景にある問題意識についても質問が寄せられている場面が多く見られ、参加者の関心の高さが伺えました。
こうしたやり取りを間近で見て、研究者にとっても、来場者との対話そのものが新たな気づきを得る貴重な機会になっているのだと感じました。

おわりに

講演、パネルディスカッション、ポスターセッションと、それぞれ異なる形で気候変動適応だけでなく、国環研の様々な研究に向き合う機会となった今回のシンポジウム。立場の異なる登壇者や来場者との対話を通じて、環境問題を「じぶんごと」として捉えていくことの大切さを、広報担当者としても改めて実感した時間となりました。

(2026年8月5日掲載)