自治体による「高齢者の命を守る」エアコン設置支援

気候変動による影響

気候変動の影響による気温上昇は、人間の健康に直接的なリスクをもたらします。特に高齢者にとっては、夏季の高温環境が深刻な健康被害を引き起こす原因となっており、熱中症のリスクが年々高まっています。

高齢者は、加齢に伴って体温調節機能が低下し、暑さを感じにくくなるほか、喉の渇きにも鈍感になる傾向があります。さらに、在宅時間が長い高齢者はエアコンの使用を控える傾向があり、屋内での熱中症が発生しやすい状況に置かれています。総務省消防庁が発表する熱中症による救急搬送データでは、搬送者の半数以上が65歳以上の高齢者で占められており、特に猛暑日が続く7月から8月にかけて急増する傾向が見られます。

取り組み

高齢者への熱中症対策の普及が全国的に進められている中（図）、一部の自治体では、高齢者世帯や障害を抱えた方がいる世帯を対象に、設置費や購入費の一部を助成する制度が実施されています。これらの制度の対象や助成額に違いはありますが、いずれも「高齢者の命を守る」ことを最優先に据えた取り組みである点は共通しています。

以下に、各支援制度の例を紹介します。
※各制度の要件や詳細については、公式サイトをご確認ください。

効果／期待される効果等

自治体によるエアコン設置・購入に関する支援制度は、高齢者が安心して冷房を利用できる環境の整備を後押しするものであり、以下のような効果が期待されます。

◎熱中症の予防
エアコンの導入により、室内温度の適切な管理が可能となり、高齢者の身体負担を軽減できます。

◎医療機関・救急搬送への負荷軽減
予防的観点からの対策が進むことで、熱中症による受診や救急搬送の件数が減少し、地域医療への負荷も抑制されます。

◎地域福祉の向上と孤立防止
制度の周知や申請支援を通じた見守り活動の強化も期待され、高齢者の孤立防止や地域とのつながりの再構築にもつながります。