コーヒーの品種栽培試験への取り組み

キーコーヒー株式会社

業種:製造業

更新日 2025年6月4日
掲載日 2018年11月22日
適応分野 産業・経済活動 / 農業・林業・水産業

会社概要

キーコーヒー株式会社

キーコーヒー株式会社は、1920年(大正9年)の創業以来、「コーヒーを究めよう お客様を見つめよう そして心にゆたかさをもたらすコーヒー文化を築いていこう」という企業理念のもと、日本におけるコーヒーのリーディングカンパニーとして、世界基準の高い品質と時代の求めるおいしさを常に探究し、海外におけるコーヒー農園事業から、コーヒーの製造・販売ならびにコーヒー関連事業経営に至るまでトータルに事業を展開する。

気候変動による影響

気候変動に伴う気温や湿度の上昇、雨量や降雨のタイミングの変化などが、コーヒーの生産現場に影響を与えている。気温や湿度の上昇は、さび病というコーヒーにとってもっとも深刻な病気が発生しやすくなり、収穫量の減少や、品質低下を招く。
今後さらに気候変動が進めば、コーヒー栽培に適した土地が大幅に減ることも予想されている(図1、図2)。

気候変動リスクに関する取組

当社は、2016年よりコーヒーに関する国際的な研究機関であるWCR(World Coffee Researchと協業し、IMLVT(International Multi-Location Variety Trial:国際多地域実証試験)に取り組んでいる(図3)。IMLVTは、世界各国から品質に優れたアラビカ種をWCR本部に集めて培養し、繁殖させたものを各国の生産地で栽培試験を実施している。この栽培試験によって、気候変動や病害虫への耐性を持ちながら、豊な味わいも備えた優良品種を発掘することを目指している。
インドネシアにある当社直営のパダマラン農園では、コロンビアやパナマなど世界各地を原産とするコーヒーの苗木が約40種植えられた一角を研究場所として提供し、ともに試験活動を実施している。
2017年の試験用の苗を圃場に植樹から研究を重ねて3年目を迎えた2019年には、初めていくつかの品種で大規模な開花がみられた。そして2021年、試験圃場で収穫されたコーヒーのカップテスト(香味試験)を現地で初めて実施し、その後も順調に成長した数十種の品種を収量データとともに味わいをチェックした。
各国から集められたデータは、WCRにて分析され、2025年時点においてもIMLVTを継続している。

効果/期待される効果等

試験結果に基づいた最適な品種を明らかにし、地域と情報・技術をシェアすることで、収量の増加や品質の向上、さらには生産者の経済的な向上も期待できる。
また、新たに見つけた品種をコーヒー生産者に流通させることで、持続可能なコーヒー生産の実現が可能となる。

コーヒーを取り巻く現在の状況と将来予測
図1 コーヒーを取り巻く現在の状況と将来予測
「2050年問題」のシミュレーション図(ブラジルの気候変動)
図2 「2050年問題」のシミュレーション図(ブラジルの気候変動)
IMLVT圃場の視察
IMLVT圃場の視察
IMLVT圃場の様子
IMLVT圃場の様子
定期的に樹高、枝葉の長さを測定し、成育状況を記録
定期的に樹高、枝葉の長さを測定し、成育状況を記録
IMLVT(International Multi-Location Variety Trial)の取り組み
図3 IMLVT活動の様子

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