研究内容

概要図

今後の中長期的な熱中症に係る政策決定に資する研究を実施します。サブテーマ1では我が国で将来どの程度極端高温等が深刻化、多発化するかを明らかにすます。サブテーマ2、3では極端高温が熱中症や医療・介護供給体制に及ぼす影響、熱中症警戒アラートの導入効果を明らかにします。サブテーマ4ではエアコンの適切な利用等の個人レベルでの極端高温に対する適応行動促進に資するための研究を実施します。

研究内容

サブテーマ1:過去及び将来の極端高温等の発生に関する気候研究

既に公開されている気候予測情報を市区町村スケールまで詳細化し、我が国で将来どの程度極端高温が深刻化、多発化するかを、最悪ケースまで考慮して確率的に評価します。また、気温のみならず暑さ指数(WBGT)やその構成要素である日射量、湿度、風速等の将来変化まで評価の対象を広げます。得られた将来の高温事例の中でも特に極端な事例を対象に都市街区スケール(関東など)でエアコン使用と室内外気温の関係等を評価します。アウトプットはサブテーマ2、3に提供します。

サブテーマ2:集団レベルにおける暑熱健康影響・適応策研究

社会・集団レベルにおける暑熱健康影響・適応策研究を展開します。特に2021年度より全国展開された熱中症警戒アラートが熱中症救急搬送数および死亡者数をどの程度減少させる効果があるかを検証します。さらにその効果を考慮の上、極端高温下における熱中症救急搬送数および死亡者数の将来予測を行い、暑熱健康影響を最小化するための適応策として十分であるかを検証します。

サブテーマ3:医療・介護供給体制における暑熱健康影響・適応策研究

極端高温や低温が医療供給体制に及ぼす影響について、過去の救急救助統計の時間情報を用い現地到着や治療までに要する時間の遅延を定量的に評価します。また、気候の異なる複数地域(北海道、関東、沖縄など)の介護施設を対象に質問票調査を行い、極端現象に対する準備・対応や課題を明らかにします。

サブテーマ4:個人レベルにおける暑熱健康影響・適応策研究

熱中症警戒アラートの発令がエアコンの適切な利用等の個人レベルでの行動に与える効果を推定する手法を開発します。また、熱中症警戒アラートの発令等に関わらず高齢者がエアコンを不使用あるいは忌避する現状に鑑みて、高齢者の温度感受性の低下等、エアコン不使用の生理学的背景を明らかにします。サブテーマ1~4の成果に基づき熱中症に係るレジリエンス向上のための提言をまとめます。

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