- インフォグラフィック
- イラストで分かりやすい適応策
内水
影響の要因
短時間に集中する降雨の発生頻度や強度の増加は、内水氾濫の発生に影響を及ぼす。
現在の状況と将来予測
内水氾濫は都市部で多く発生し、大雨から被害発生までの時間が短い特徴がある。
近年、極端な大雨の年間発生回数は統計的に有意に増加しており、1時間降水量80mm以上といった強い雨は、1980 年頃と比較しておおむね 2 倍程度に頻度が増加している(文部科学省 気象庁2025)。
将来、河川や海岸等の近くの低平地等での内⽔氾濫の可能性や浸⽔時間の⻑期化、都市部での内⽔被害の影響がさらに⼤きくなることが想定されている。
大阪市内のモデル地区を対象に、将来気候(2076 ~2090年、RCP8.5)におけるモデル降雨から内水氾濫解析を行った研究によると、現在より将来の最大氾濫水量が大きくなる傾向が示された事例が報告されている。
適応策
下水道の計画規模を大きく上回る集中豪雨が頻発していることを踏まえ、計画降雨に対するハード整備(下水道整備、他の公共施設における貯留浸透等)を着実に推進するとともに、ソフト対策を実施し、逃げる・守る・動かす・回復を早めるといったそれぞれのフェーズの対策を強化し、被害を最小化する。
平時から住民はハザードマップ等で浸水想定区域や浸水実績、避難方法を確認することが重要となる。市町村において、内水ハザードマップや水害ハザードマップ(洪水、高潮など複数の災害の情報を表示)の作成・公表が進められている。これらに加えて、降雨規模別の浸水想定(多段階の浸水想定図)や、浸水頻度(水害リスクマップ)を示した内水統合型の図も作成され、発生頻度に応じた検討も可能となっている(国土交通省 参照2026年2月19日)。
- 住民自身が防災行動を時系列的に整理する「マイ・タイムライン」や、地域の課題等を踏まえ災害時の対応等を計画する「コミュニティ・タイムライン」の取組も進められている。
- 令和8年の大雨時期から防災気象情報が5段階の警戒レベルで発表されることになり、内水氾濫が対象となる「大雨に関する情報」も警戒レベル2で避難行動を確認、警戒レベル3で避難に時間を要する人は早めに避難、警戒レベル4は危険な場所から全員避難となる。
内水氾濫は短時間で状況が大きく変化する場合があり、特に地下空間は浸水が始まると避難困難になるため、早めに避難を行う。地上部で屋外への避難が危険な場合等は頑丈な建物の高い場所(2階以上)へ移動する(垂直避難)。
民間施設の地下等への雨水貯留施設設置や、都市域の道路・公園・学校等との連携による雨水貯留浸透の促進、グリーンインフラによる雨水浸透等により下水道への急激な雨水流入を緩和する。
- 下水道施設:下水道整備は一定程度進捗しており、完成施設では効果が発現する一方、整備途上の地区において内水被害が発生している。下水道のハード整備や樋門など既存施設の運用の工夫等による安全度の向上、施設自体の耐水化や下水道機能の迅速な回復の為のBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の整備も進められている。(気候変動を踏まえた都市浸水対策に関する検討会 2021年4月)
- その他インフラ施設:水道施設の浸水対策や地下鉄の浸水対策・計画運休・避難行動の迅速化等の取組が進められている。病院やマンション等では電気設備を上階等に設置しライフラインを維持する。
都市計画で浸水実績やハザードマップ等に基づきリスクを減らす取組みも行われている。
- 立地適正化計画:居住誘導区域で内水氾濫リスクが想定される場合に垂直避難等が可能となる建築物の立地の誘導等を行う(東京都狛江市等)。
- 地区計画等:内水被害発生地等において、浸水被害を受けにくい建築物の建築等(居室は一定の高さ以上に設ける等)を誘導する事例も見られる(広島県矢口川下流部周辺地区等)。
- 浸水するおそれのある低地部の住宅等では、住宅地盤の嵩上げや、床上まで浸水しないように家屋のピロティ化(高床式)、止水版の設置等をする事で人的被害や経済的被害の回避・軽減を図る。
- 多機関連携型タイムラインの策定:防災に係わる組織(行政機関、要配慮者施設、交通事業者等)が連携し、いつ・誰が・何をするか役割等を定めたタイムライン(防災行動計画)を策定し、運用・改善を続ける。大雨の予測に基づき数日前から準備可能であることから、内水の特徴を踏まえた対策(早めの交通規制等)が行われている(寝屋川流域等)。
- 企業等におけるBCP策定:企業等の被害軽減や早期の業務再開を図るため、災害時の初期対応を含むBCPの整備、およびそれに基づいた適切な行動を取る。
災害廃棄物処理計画等の策定により、平時から災害廃棄物処理の手順を定め、発災後はその手順に沿って収集および処理体制を構築する。内水を含む水害では、水が引くと災害廃棄物が排出される場合もあるため、迅速な回収方法の周知等も重要となる。
「上下水道政策の基本的なあり方検討会」において、以下のような課題や今後の方向性が示されている。
- 上下水道を取り巻く環境は、人口減少による収入減少、職員の減少、老朽化施設の増加、自然災害の激甚化など厳しさを増すとともに、脱炭素社会の構築や経済安全保障への対応などその役割は拡大している。
- これまでの官民連携やDX活用の取組に加え、「複数自治体による事業運営の一これまでの官民連携やDX活用の取組に加え、「複数自治体による事業運営の一体化」と「集約型・分散型のベストミックスによる施設の最適配置」を強力に推し進めることにより、上下水道の基盤強化を早急に進めていく必要がある。
進め方
【気候変動を考慮した考え方】 気候変動に伴う降雨量の増加や短時間豪雨の頻発等の懸念、下水道の施設計画を超過する降雨による内水被害の発生等を踏まえ、気候変動の影響については不確実性があるものの、下水道による都市浸水対策に係る計画に気候変動の影響を反映させ、下水道による都市浸水対策について、「再度災害防止」に加え、計画的に「事前防災」の整備を推進する必要がある(気候変動を踏まえた都市浸水対策に関する検討会 2021年4月一部改訂 より引用)。
【気候変動を考慮した準備・計画】 気候変動の影響を見据えた「事前防災」を計画的に進めるために、下水道による都市浸水対策の中長期的な計画である「雨水管理総合計画」の策定・見直しを通じて、気候変動を踏まえた計画に見直す事が必要である (気候変動を踏まえた都市浸水対策に関する検討会 2021年4月一部改訂 より引用)。
