「あなたが感じる気候変動」VOL.3 国立環境研究所 夏の大公開2018編

開催日 2018年7月21日
開催地 茨城県/つくば市

「~あなたが感じる気候変動~ここがヘンだよ!?日本列島」

A-PLAT事務局では活動の一環として、国立環境研究所が出展するイベント会場等で皆さんが身近に感じる気候変動による影響への簡単な意識調査を行っています。
今回は7月21日(土)に茨城県つくば市で開催された「国立環境研究所 夏の大公開2018」についてレポートします。

社会環境システム研究センターの企画の一環として展示(イラスト・ポスター、アンケートボード等)を行いました。来場者の方に、身近に起きている気候変動による影響に気づき、緩和策と適応策との両輪で対策をとることの大切さを楽しみながら学んでもらうことを目的としました。(夏の大公開2018社会環境システム研究センター出展報告

夏の大公開2018の様子

イラストの仕掛けをめくると、気候変動による影響と適応策または緩和策を確認することができます

イラストと吹き出しで「身近な影響」「未来の影響予測」「対策」を説明するページを閲覧

イラストと吹き出しで「身近な影響」「未来の影響予測」「対策」を説明するページを閲覧

【最近の気候について、なんだか変だと感じていませんか?】

「桜の開花時期」「夏の暑さ」「雨の降り方・台風」「雪の降り方」の選択肢の中から、日常生活の中で変化したなと感じられるものや最近気になるものを一つ選んでシールを貼ってもらうアンケートボードを実施しました。

回答総数は1157件、そのうち約57%が「夏の暑さ」との回答でした(図1)。

アンケートボードへの回答結果

アンケートボードへの回答結果:前半(左)のボードで1つの項目がいっぱいになった時点で後半(右)のボードに切り替えました

図1 2018年夏の大公開におけるアンケートボード結果

【図1 2018年夏の大公開におけるアンケートボード結果】

当日のつくば市の平均気温は29.7℃で最高気温は35.4℃の猛暑日、前日までの日最低気温は6日間連続で25℃以上であったことから(気象庁「過去の気象データ」より)、寝苦しい熱帯夜のあとの猛暑日で印象が強かったと言えるのかもしれません。昨年の夏の大公開の結果と比較をしてもその傾向は顕著であり、「夏の暑さ」への回答は10.7ポイント増加しました(図2)。

図2 2017年と2018年に実施したアンケートボード集計結果の比較

【図2 2017年と2018年に実施したアンケートボード集計結果の比較】

【気候変動による影響の中で暮らすために】

日々、感じられる様々な気候変動は、私たちの生活にも影響を及ぼします。その影響の中で生きるために対処し、備え、時として活用するのが気候変動による影響への適応(以下「適応」)です。「適応」がどれくらい身近なものとして認識されているのか等についてアンケート調査を行い、189名の方々から回答をいただきました。

約97%の方が地球や環境について関心をおもちでした(図3)。地球温暖化の認知度は約94%なのに対して、「適応」に対する認知度は約35%でした(図4)。「適応をすでに知っていた」と回答した割合を年代別にみると、50代以上では回答者の71%と高く、20代以下および30-40代はそれぞれ約30%でした。

図3 地球や環境への関心度

【図3 地球や環境への関心度】

図4 地球温暖化と気候変動への影響に対する認知度の違い

【図4 地球温暖化と気候変動への影響に対する認知度の違い】

「適応」を知る情報源としてはテレビが最も多く、新聞、職場などが続きました。これらは択一式の設問に対して複数選択回答も含めた結果であり、なかでも新聞や本・雑誌、インターネットについては複数選択に伴いより増加する傾向がみられました(図5)。

さらに「適応」に関して知りたい事としては、「個人でできる取組み」が約24%と最も多く、次いで「気候変動の影響」が約22%、「適応の考え方」が約17%であったことから、自分事として関心を寄せていることがうかがえました(図6)。

図5 気候変動への適応を知るきっかけとなった情報源に関する調査

【図5 気候変動への適応を知るきっかけとなった情報源に関する調査】

図6 気候変動の影響への適応に関して知りたい事

【図6 気候変動の影響への適応に関して知りたい事】

今回はアンケートの回答年齢層の37%を20代までの方々が占めるなど、多くの若い方の来場がありました。以前との気候の違いを肌身で感じ、実感している世代の方々だけではなく、若い世代の方々にとっても今回の展示が気候変動の影響と「適応」の必要性を実感し、これから取り組んでいくきっかけとなれば幸いです(図7)。

図7 回答年齢層の割合

【図7 回答年齢層の割合】

【おわりに】

今年は1週間程度早いさくらの開花や、6月下旬から7月上旬にかけて各地に被害をもたらした平成30年7月豪雨、連日の真夏日や猛暑日、最高気温の更新など、より身近な問題として温暖化や異常気象、気候変動が意識されているものと考えられます。

熱中症対策としての塩分・水分補給や空調の適切な利用、国や地方公共団体などが策定したハザードマップや防災行動計画(タイムライン)の確認と避難の備え、スマホアプリ等による最新情報の確認などは、自らの身を守る「適応策」です。

また、実際に生じた災害被害に対する復旧・復興を進めるとともに、将来予測される極端現象の増加と影響・被害の甚大化に備え「適応策」を講じることは、関係府省庁や地方公共団体、関連研究機関などが連携して取り組むべき重要な課題です。

A-PLATでは、関係府省庁や地方公共団体、関連研究機関などと連携して情報の集約、コンテンツの拡充を図るとともに、気候変動による影響の中で「適応」し、生きていくために活用できる情報を発信していきます。アンケートボードおよびアンケート調査にご協力をいただきありがとうございました。

(2018年9月4日掲載)

ページトップへ