気候変動と生物多様性・生態系の関係は、一方通行ではなく、互いに影響し合う「双方向のつながり」をもっています。気温や降水の変化、海水温の上昇といった気候変動は、森林、湿地、高山、河川、沿岸など、自然環境にさまざまな変化をもたらしています。高山植物の衰退やサンゴの白化、野生動植物の分布の変化などがその例で、生態系の働きや、そこから得られる恵みにも影響が及びます。こうした悪影響をできるだけ減らすためには、生態系の保全や再生、外来種対策、長期的なモニタリングなど、自然を守りながら変化に備える「自然生態系分野の適応策」が重要になります。
一方で、健全な生態系そのものも、気候変動の影響を和らげる力を持っています。森林や湿地は水を蓄えて洪水を緩和したり、沿岸のサンゴ礁やマングローブは高潮や波の勢いを弱めたり、都市の緑地は暑さを和らげたりと、自然が本来備えている機能が、私たちの暮らしを守る「自然を活用した適応策」として役立ちます。生態系を保全・再生することで気候変動による負の影響の軽減が促進され、地域の防災や快適性向上にもつながります。
このウェブサイトでは、気候変動が自然生態系分野に及ぼす影響とそれにどう向き合うかという視点に加えて、自然の力を活かして気候変動の様々な分野への影響を乗り越える方法という、二つの側面をあわせて紹介します。自然を守ることと、自然に守られること。その両方の視点から、気候変動適応の全体像をお伝えしていきます。