気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)
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気候変動と適応

気候変動とは

温暖化による気温の変化傾向は、人間活動により空気中の温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)の濃度が高くなった産業革命以前を基準として計ることが一般的です。気温はもともと上がったり下がったりしながら変化しています。これは、大気や海洋といった地球システムの循環による気候の自然なゆらぎによるものです。しかし、国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change:IPCC)が2021年8月に発行した第一作業部会第六次評価報告書(WGI AR6)では、1850~1900 年から2010~2019 年までの人為的な世界平均気温上昇は1.07℃(0.8~1.3℃)である、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と述べています。長期的に観測された気温変化は世界のみならず日本においても上昇傾向にあります。
地球温暖化と気候変動の二つの言葉がよく使われています。地球温暖化とは人間活動に起因して大気中に放出されるGHG(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、フロン等)によって、地球が暖められる現象です。一方、気候変動とは通常は数十年かそれよりも長い期間持続する、気候状態の変化を指しています。気候変動には、自然起源の内部過程あるいは太陽周期の変調、火山噴火などの要因も考えられますが、A-PLATで取り扱う気候変動は、大気の組成を変化させる人間活動に起因するものとし、その定義は国連気候変動枠組条約に習い、「地球の大気の組成を変化させる人間活動に直接又は間接に起因する気候の変化であって、比較可能な期間において観測される気候の自然な変動に対して追加的に生ずるものをいう」としています。

気候変動適応とは

地球温暖化の対策には、その原因物質である温室効果ガス排出量を削減する(または植林などによって吸収量を増加させる)「緩和」と、気候変化に対して自然生態系や社会・経済システムを調整することにより気候変動の悪影響を軽減する(または気候変動の好影響を増長させる)「適応」の二本柱があります。
「適応」とは、「現実の気候または予想される気候およびその影響に対する調整の過程。人間システムにおいて、適応は害を和らげもしくは回避し、または有益な機会を活かそうとする。一部の自然システムにおいては,人間の介入は予想される気候やその影響に対する調整を促進する可能性がある」と定義されています。気候変動による悪影響を軽減するのみならず、気候変動による影響を有効に活用することも含みます。

(左)緩和とは?(右)適応とは?
緩和策と適応策

適応がなぜ必要か

気候変動を抑えるためには、緩和が最も必要かつ重要な対策です。IPCC WGI第六次評価報告書によると、世界平均気温は、少なくとも今世紀半ばまでは上昇を続け、向こう数十年の間に二酸化炭素及びその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21世紀中に、産業革命以前と比べ1.5℃および2℃を超えると報告されています。
緩和の効果が現れるには長い時間がかかるため、早急に大幅削減に向けた取組みを開始し、それを長期にわたり強化・継続していかなければなりませんが、最大限の排出削減努力を行っても、過去に排出された温室効果ガスの大気中への蓄積があり、ある程度の気候変動は避けられません。観測記録を更新するような異常気象が、私たちの生活に大きな影響を及ぼしています。激しい大雨が毎年のように水害を引き起こし、災害級の暑さによりひと夏で1000人以上の死者が出た年もあります。気候変動によって、こうした異常気象が将来は頻繁に発生したり深刻化したりすることが懸念されており、変化する気候のもとで悪影響を最小限に抑える「適応」が不可欠なのです。
もちろん、変化する気候が私たちにとって有利に働くことを活用する適応も考えられます。例えば農業では、気温の上昇に伴ってこれまで作物を栽培できなかった場所で新たな農業ができるようになったり、付加価値の高い品種に転換することができるようになるかもしれません。こうした気候変動がもたらす正の影響も生かしていく視点も大切です。

適応への取り組み

気候変動の影響が深刻化することをうけ、国連は2015年のパリ協定で「世界共通の長期目標として2℃目標の設定、1.5℃に抑える努力を追求すること」を合意しました。また同年9月には、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」で誰一人取り残さない社会の構築を目指すことを宣言し、行動計画である持続可能な開発目標(SDGs)のゴール13では、「気候変動に具体的な対策を」を定めました。ゴール13にはさらに細分化された目標があり、13.1として「気候関連災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化」を設定しています。
GHGを削減して「世界の平均気温の上昇を1.5 ℃に抑える」という目標が明確になっている緩和と異なり、適応には世界共通の明確な目標が定められていません。これは、気候変動の影響が地域の地理的、経済的、社会的な条件などによってさまざまな形で顕在化することから、取るべき対策も国ごとに異なるためです。このため日本では、国全体が気候変動の影響を回避し低減することを目的として「気候変動適応法」を2018年に制定しました。気候変動適応法では、各地域が自然や社会経済の状況に合わせて適応策を実施することが盛り込まれています。
2020年、日本は「気候非常事態宣言」を採択しました。また2021年には「地球温暖化対策の推進に関する法律」を改訂し、国際社会と足並みをそろえて脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。一方、将来の気候変動の影響に備えるため、各自治体が気候変動適応法に従って地域気候変動適応計画を策定しています。気候変動の影響は私達の社会に深刻な影響を及ぼすため、日本でも緩和と適応の両輪で気候変動の課題に社会全体で取り組むことが今求められています

気候変動適応法

気候変動適応法は、適応の総合的推進、情報基盤の整備、地域での適応の強化、適応の国際展開等の4つの柱で成り立っており、それぞれの考え方や進め方が明記されています。気候変動適応法では、地方公共団体事業者国民、それぞれが適応の推進を担うと明確化されています。国だけが気候変動適応に取り組むのではなく、地方公共団体、事業者、国民が一丸となって取り組まなくては、気候変動の影響に立ち向かうことはできません。もちろん、適応に取り組む主役となる地方公共団体の役割強化は特に配慮されています。また、適応の国際展開も視野に入れ、国際協力の推進や事業者等の取組み、適応ビジネスの促進も目指しています。

国立環境研究所の役割

気候変動適応法が定める国立環境研究所の役割が大きく3つあります。1つ目は、気候変動影響および気候変動適応に関する情報の収集、分析、整理および提供です。2つ目は、都道府県又は市町村に対する地域気候変動適応計画の策定又は推進に係る技術的助言その他の技術的支援です。3つ目は、地域気候変動適応センターに対する技術的助言その他の技術的援助です。このような役割を担うために、国立環境研究所では、2018年12月に気候変動適応センターを設立しました。同センターは地域気候変動適応センターとの情報交換を通じて現場情報を集積し、有用な適応情報を地域間に共有することで広域的な適応策実施のための支援などを行うことを目的としています。また国内だけでなく、アジア太平洋地域の適応策のための情報分析や情報提供や支援も行います

(最終更新日:2021年10月22日)

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