SDGs・ESGの取組促進を通じた適応に資する支援・認証・表彰制度

SDGs・ESGの取組を後押しする各種支援・認証・表彰制度の中には、結果として事業者の気候変動適応に寄与するものがあります。

次の表では、支援・認証・表彰制度の対象となる一般的な事業例について、それぞれが関係する気候変動適応策の分野と、SDGsのゴールを整理しています。事業者が適応を検討する際の参考としてご覧ください。

事業例 関連する適応策分野(※) 関連するSDGsゴール
農業用水管理の自動化、用水路のパイプライン化 農業・林業・水産業水環境・水資源 飢餓をゼロに安全な水とトイレを世界中に産業と技術革新の基盤をつくろう気候変動に具体的な対策を
未利用魚の活用 農業・林業・水産業自然生態系 飢餓をゼロにつくる責任つかう責任気候変動に具体的な対策を海の豊かさを守ろう
広域的な送水管ネットワークの構築 水環境・水資源自然災害・沿岸域 安全な水とトイレを世界中に産業と技術革新の基盤をつくろう住み続けられるまちづくりを気候変動に具体的な対策を
気候レジリエンスの高い建物・インフラの商品開発 水環境・水資源健康産業・経済活動国民生活・都市生活 すべての人に健康と福祉を産業と技術革新の基盤をつくろう住み続けられるまちづくりを気候変動に具体的な対策を
防災情報、気候変動影響監視システムの提供 自然災害・沿岸域産業・経済活動国民生活・都市生活 すべての人に健康と福祉を産業と技術革新の基盤をつくろう住み続けられるまちづくりを気候変動に具体的な対策を
防災 / 減災商品の販売促進・強化 健康産業・経済活動国民生活・都市生活 すべての人に健康と福祉を産業と技術革新の基盤をつくろう住み続けられるまちづくりを気候変動に具体的な対策を
新たな観光資源の発掘 産業・経済活動 働きがいも経済成長も住み続けられるまちづくりを気候変動に具体的な対策を
モーダルシフトの加速 産業・経済活動 産業と技術革新の基盤をつくろう気候変動に具体的な対策を

※適応策の分野

  • 農業・林業・水産業
  • 水環境・水資源
  • 自然生態系
  • 自然災害・沿岸域
  • 健康
  • 産業・経済活動
  • 国民生活・都市生活
表1 事業例に対する適応策の分野とSDGsのゴール

支援制度や認証・表彰制度の概要と活用事例

SDGs・ESGの取組を進める際に活用できる支援制度や認証・表彰制度の概要と、それらを用いた具体的な取組事例を紹介します。制度の特徴と活用の姿を併せて示すことで、事業者が適応を検討する際の参考となる情報を提供します。

支援制度

認証・表彰制度

中小企業新事業進出促進補助金(中小企業庁)

※新事業進出補助金は令和8年度から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として公募されています。

制度概要

【対象事業者】
企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等

【制度の目的】
中小企業等が行う、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくこと

支援制度に関するウェブサイト

支援制度の活用例

ただいま準備中です。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(中小企業庁)

※ものづくり補助金は令和8年度から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として公募されています。

制度概要

【対象事業者】
日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有し、応募申請時における常時使用する従業員の数が1人以上で、中小企業者、小規模企業者・小規模事業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人

【制度の目的】
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するもの

支援制度に関するウェブサイト

支援制度の活用例

具体的には、以下のような活用例があります。

介助用具として使用できる看板「サポートサイン」の開発
事業者名 常磐精工株式会社
事業者概要 ベアリングなど部品作りから始めて、新規事業として、アウトドアグッズ、園芸用品、看板と事業を拡大し、現在は 2000 年に始めた看板(サインスタンド)が主力製品となっている。
主たる業種 製造業
関連する気候変動適応の分野 自然災害・沿岸域、国民生活・都市生活、健康
制度の活用理由

ものづくりで人の役に立ちたいという社長の理念のもと、人が多く集まる場所において利用される看板に人命救助機能を有したオリジナル商品「サポートサイン」を考案した。この「サポートサイン」の開発・商品化にあたり、ものづくり補助金を活用した。

取組内容

「サポートサイン」は、普段は商業施設や公共施設で、販売促進や情報発信を目的に広く使われている「看板」として使用でき、災害や事故等の緊急時には車いすや担架といった介助用具として使用できる新発想の救急介助用具である。
「サポートサイン」は平成26年度補正ものづくり補助金を利用して開発された。開発にあたっては、機能面・強度面を大幅に改善した「特殊押し型角パイプ(押出し成形品)」の独自設計・開発等も行った。強度設計や評価に関しては、大阪府立大学(現:大阪公立大学)の協力を得て、JIS 規格「JIS T 9201(手動車椅子規格)」に基づく強度試験(耐荷重 100㎏)を行っている。平成28年度補正ものづくり補助金(ものづくり技術 小規模型 設備投資のみ)ではその商品化に向けて特殊パイプに高精度に穴あけが可能なNC制御精密穴あけ加工機、組み立ての際にパイプを正確に配置し固定する組み立て加工システムの設備導入を行った。補助金の申請に関しては堺商工会議所の申請書のチェックを受けるなどのサポートを得た。

成果・今後の展望

補助事業により導入した設備により、従来は手作業であった穴あけや、バイスによるパイプの固定が自動化されることで、作業時間が 50%削減でき、生産性が2倍となった。従来の加工法では作業者の技量により組み立て精度に差が出来やすかったが、品質面においても信頼性が高まった。生産性の向上によりスムーズにサポートサインの量産化につなげることが出来た。
さらに、補助金制度を利用したことで、明確な締切りが設定されたように感じられ、その結果開発が加速した。

気候変動適応視点での本取組の考え方

気候変動の影響により、自然災害の激甚化や猛暑日の増加といったリスクが懸念されており、災害発生時や暑熱時における安全確保の重要性が高まっています。 本事例のような救急介助用具の開発による安全確保を図る取組は、健康リスクや災害リスクの回避・軽減につながり、気候変動適応に資するものと考えられます。

サステナビリティ・リンク・ローン(各種金融機関)

制度概要

【対象事業者】
サステナビリティに関する野心的なSPTsに向けて行動している企業

【制度の目的】
サステナビリティ・リンク・ローンとは、借り手が野心的なサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を達成することを奨励するローンである。具体的には、①借り手の包括的な社会的責任に係る戦略で掲げられたサステナビリティ目標とSPTsとの関係が整理され、②事前に定められた、重要業績評価指標(KPIs)で測定される適切なSPTsによってサステナビリティの改善度合を評価・測定し、③それらに関する融資後のレポーティングを通じ透明性が確保されたローンである。すなわちKPIsは目標の達成状況を測るための指標であり、SPTsはその指標において達成すべき水準を意味する。

支援制度に関するウェブサイト

支援制度の活用例

具体的には、以下のような活用例があります。

断熱性や耐久性が高い家作り
事業者名 株式会社アーキビジョン21
(貸付金融機関:北洋銀行)
事業者概要 「人に社会に自然にやさしい家づくり」をモットーに、創業以来一貫してエコロジー建築を追求している。世代交代しながら、100年以上住み継ぎ、進化していけるような、環境時代にふさわしい木造建築を提案する。
主たる業種 建設業
関連する気候変動適応の分野 健康、国民生活・都市生活、自然災害・沿岸域
取組内容

アーキビジョン21では、断熱性が高く外気温から受ける影響が少ない家作りを行っている。それにより、夏は直射日光等による熱から躯体を守ることで室内の涼しさを保ち、冬は暖かく、室温を一定に保つ機能を有する。また、家の「強度」を高め、災害に強い家作りを行っている。
アーキビジョン21では、このような断熱性・気密性・遮音性・耐震性・耐久性などの性能を詰め込んだ高品質な移動式木造住宅であるスマートモデューロ事業(レンタル)の売上高をサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲットとし、サステナビリティ・リンク・ローンを活用している。

具体的な目標値は以下の通りである。
【目標】
2025年度 5,000百万円
2026年度 8,000百万円
2027年度 11,000百万円
2028年度 15,000百万円
2029年度 15,000百万円

成果・今後の展望

フレームワークに基づき実行される借入金が返済されるまでの期間、以下の項目について、毎年レポーティングを実施する。

  • 各年度最終日時点のKPIの数値
  • 基準年度(2021年度)からのKPI実績値

レポーティング内容は、同社のウェブサイトで開示される。また、併せてKPIに関する実績値の開示の旨もしくは実績値を各貸付人に対して報告する。

気候変動適応視点での本取組の考え方

気候変動の影響により、猛暑日の増加による熱中症などの健康被害や、自然災害の激甚化といったリスクが懸念されています。本事例のような断熱性や耐久性が高い移動式住宅の普及は、居住環境の快適性向上や暑熱リスクの低減に加え、状況に応じた移設や災害時の機動的な活用などを可能にし、災害リスクの低減にも大きく寄与するものです。こうした取組は、気候変動に伴う暑熱リスクや災害リスクへの対応策の一つとして整理することができ、気候変動適応に資するものと考えられます。

SDGs宣⾔・登録・認証制度(各自治体)

制度概要

【対象事業者】
SDGs達成に向けて積極的に取り組む事業者。

【制度の目的】
地域におけるSDGsの達成と自律的好循環(地域における資金の還流と再投資)の形成に貢献する取組を実施している地域事業者を「見える化」することを目的とし、制度の活用を通じて自律的好循環が全国各地で形成されることが期待される。

認証取得のメリット

認証等の制度によっては、以下のようなメリットがある。

表2 メリットの例
制度運用の詳細

(出典:地方創生SDGs金融調査・研究会「地方創生SDGs 宣言・登録・認証制度ガイドライン 2024 年度 【第二版】」より引用)

認証制度に関するウェブサイト

認証制度の活用例

具体的には、以下のような活用例があります。

直立港湾構造物に海藻を着生・生育させる着生基盤の設置
事業者名東亜建設工業株式会社横浜支店
事業者概要1908年創業以来の強みである海洋土木の分野を礎とし、陸上土木と建築分野にも展開。同時に海外市場にも目を向け、グローバルなフィールドにも進出してきた。夫々を堅実に形にしながらビジネスを成長させている。
主たる業種建設業
関連する気候変動適応の分野自然生態系
取組内容

東亜建設工業株式会社では、直立港湾構造物に海藻を繁茂させ、CO2吸収機能を持たせる技術を検討している。海藻が生育することによって生物の餌や住処の提供につながることから、生物多様性を維持する生態系の構築や栄養塩吸収による水質浄化等にも役立つ。
こうした技術の効果検証のため、同社は関東地方整備局の実海域実験場提供システムを活用し、横浜港南本牧ふ頭にて実証実験を行った。
実験では、同社が考案した海藻の着生及び生育を促す角部を有する突起形状の着生基盤(実験基盤)と、比較のために直立構造を模した平板形状の着生基盤(対照基盤)を用いた。2021年2月に横浜港南本牧ふ頭の直立港湾構造物にこれらの着生基盤を設置し、設置約1年後に海藻の着生状況を確認した。実験基盤においては、突起形状の角部を起点として海藻であるアオサ属等の緑藻類の着生が認められた。一方で、対照基盤においては、緑藻類の着生がほとんど認められず、実験基盤での海藻着生の有効性が確認された。このことから、直立構造物に対して角部を有する着生基盤の設置による形状の変化を与えることによって、海藻の着生を促し、藻場生態系の形成につながることが分かった。

成果・今後の展望

今後は、海藻の生育状況と着生基盤への生物の着生状況を引き続きモニタリングする。多様な海藻がより効果的・効率的に着生・生育しやすい形状や方策を検討するとともに、全国の港湾への展開も検討する。

気候変動適応視点での本取組の考え方

気候変動の影響により、海洋環境の変化や生物多様性の損失といったリスクが懸念されています。 本事例のような生態系に配慮したインフラ技術の開発・導入は、生物多様性を維持する生態系の構築や水質浄化等に寄与するものです。 こうした取組は、生態系を活用した気候変動適応策(EbA※)の一つとして整理することができ、気候変動適応に資するものと考えられます。
(※EbA:Ecosystem-based Adaptation)

グッドカンパニー大賞(公益社団法人 中小企業研究センター)

制度概要

【対象事業者】
経済的、社会的に優れた成果を挙げている全国の中小企業

【制度の目的】
全国の中小企業の中から、 経済的、社会的にすぐれた成果をあげている企業を選び、「グッドカンパニー大賞」 を贈って顕彰し、 わが国の中小企業の発展に資することを目的とする。

申請条件

原則、中小企業基本法に定義する中小企業の基準を満たし、創業あるいは設立後3年以上の法人企業及び個人企業。ただし、上場企業又は中小企業基本法に定義する中小企業の基準を超える会社の子会社・関連会社は除く。
表彰種別は以下の通り。

【総合部門】

  • グランプリ:経営の刷新、技術開発、市場開拓、流通改革の分野において、特に顕著な成果をあげ、優れた内容を有する企業であって、最近3年間の業績推移が相当なものであり、今後も伸展が期待される、全国水準において優れた企業。
  • 優秀企業賞
  • 特別賞

【イノベーション部門】

  • イノベーション事業化推進賞

表彰制度に関するウェブサイト

表彰制度の活用例

具体的には、以下のような活用例があります。

堆積土砂浚渫や1日で架設できる長尺橋梁技術の開発
事業者名株式会社高知丸高
事業者概要1965年、現会長が運輸業として創業。その後、重量物の輸送・据付から土木基礎工事へと事業領域を拡大してきた。現在では、自社開発工法である岩パイル工法をはじめ、ダウンザホールハンマー工法やSqCピア工法などを手掛けるとともに、海外製の大型杭打機も導入。橋梁・港湾・ダムなどの基礎工事から、仮桟橋・本橋の施工まで、幅広い分野で豊富な実績を有している。
主たる業種建設業
関連する気候変動適応の分野自然災害・沿岸域
取組内容

株式会社高知丸高では、短期間での施工が可能な仮桟橋工法「SqCピア工法」や、ピンジョイントの採用により1日で架設可能な「長尺橋梁」など、迅速な橋梁設置を実現する独自技術を有している。また、堆積土砂の浚渫に対応するため、軟弱地盤や水中でも作業可能な水陸両用掘削機を開発した。これらの技術は、災害発生時の早期復旧はもとより、災害の未然防止にも貢献するものである。

気候変動適応視点での本取組の考え方

気候変動の影響により、極端な大雨の頻度や強度が増加し、土砂災害の発生件数が増加することが懸念されています。本事例のような迅速な架設が可能なインフラ技術や、環境条件を問わず作業可能な建設機械の開発・活用は、災害復旧や未然防止に大きく寄与するものです。こうした取組は、社会インフラの強靭化を後押しし、気候変動適応に資するものと考えられます。

STI for SDGsアワード(国立研究開発法人科学技術振興機構)

制度概要

【対象事業者】
科学技術・イノベーション(STI)で社会課題を解決することにより SDGs の達成を目指す、国内の団体

【制度の目的】
科学技術・イノベーション(STI)を用いて社会課題を解決する日本発の優れた取り組みを表彰し、受賞取り組みのさらなる発展や他地域への水平展開をすすめることで、SDGsへの貢献を目指す。

表彰取得のメリット

受賞団体同士のネットワークを広げ、SDGsへの取組をさらに深化・発展させる契機となる。

表彰制度に関するウェブサイト

表彰制度の活用例

具体的には、以下のような活用例があります。

災害で発生した土砂を建設資材として活用する技術の開発
事業者名インバックスグループ
事業者概要砂防ソイルセメント技術の研究を行う会社として設立され、西暦 2000年に設立以来、どこにでもある土をコンクリートのような性状に改質し、固化・長期安定させ、砂防堰堤などのコンクリート施工が主流の構造物に適用するための研究を行ってきた。現在では全国で9,000ケースを超える配合試験実績と設計から施工まで1,000箇所を超える工事に携わっている。
主たる業種建設業
関連する気候変動適応の分野自然災害・沿岸域
取組内容

近年、気候変動の影響による豪雨や地震などによる土砂災害が頻発しているが、多くの場合、一旦災害が起こると大量の土砂が発生し、その処分に苦慮することになる。また、最近ではインフラ整備や頻発する災害復旧のための建設工事が増大しており、コンクリート骨材そのものが不足している。
インバックスグループでは、災害で発生した土砂を用途に適した品質にコントロールし、新たに建設資源として活用する技術を開発した。具体的には、土砂をコンクリートのように固める高強度化技術、軟弱な地盤の強度増加や土質の物性改良を図る地盤安定化技術、泥に戻らない土砂に変える再泥化防止技術などがあり、全国の砂防堰堤や治山・道路擁壁などにおいて1,000件近くの実績を持つ。
砂防堰堤の従来工法として主流であるコンクリート施工と比較した場合、工事におけるCO2排出量や水の使用量、エネルギー使用量、コストを大幅に削減することが可能になっている。

成果・今後の展望

アフリカを中心に、問題土壌とされているブラックコットンソイルの改質にも取り組むなど、世界展開も視野に入れた研究開発を進めている。

気候変動適応視点での本取組の考え方

気候変動の影響により、極端な大雨の頻度や強度が増加し、土砂災害の発生リスクが高まっています。 本事例のような災害で発生した土砂を有用な資材へと転換する技術の開発や、それを活用したインフラ整備の取組は、災害復旧の迅速化や被害の未然防止に大きく寄与するものです。こうした取組は、防災・減災力の向上につながり、気候変動適応に資するものと考えられます。