気候変動適応に関する学習プログラムの試行・体験ワークショップを行いました

開催日 2020年9月30日
開催地 茨城県/つくば市 国立環境研究所地球温暖化研究棟会議室1

2020年9月30日に、当センターが外部協力者(未来のためのESDデザイン研究所・高橋敬子氏)と共に共同開発中の学習プログラム「気候変動適応のミステリー(仮称)」の試行・体験ワークショップを開催しました。

「ミステリー」とは、元々イギリスの地理学教育分野で開発された学習手法で、ミステリアスな問いかけをもとに、あるテーマに関連しそうな二十数枚程度のカードを、それぞれの関係性についてグループで話し合いながら論理的に並べていくという学習手法で、体験者の主体的な学びやシステム思考等の能力を育むのに効果があると評価されているものです。

今回開発している「気候変動適応のミステリー(仮称)」は、A-PLAT上で公開して広く高校生~一般市民の皆様の適応への理解を深める教材として活用いただけるようにする予定です。

体験ワークショップには、気候変動適応センターのスタッフの他、国立環境研究所の別部署で関心のあるスタッフにも参加してもらい、今後の改善事項や活用機会拡大に向けた意見、提案等のフィードバックをいただきました。参加者・スタッフを含め総勢8名のこぢんまりとしたワークショップでしたが、熱気にあふれた会となりました。

当日は、まず、予備知識や先入観のない状態でプログラムを体験していただくために、「ミステリー」についてほとんど説明のないままに、高橋氏の司会進行のもと、「ミステリー」のプログラムを実際に参加者に体験していただきました。

A・Bの2グループに分かれて体験していただきましたが、グループ毎に一部異なる資材(模造紙、矢印マーク)を準備し、使い勝手などを確認していただきました。

体験中は爆笑も沸き起こりつつ積極的な意見交換などが行われ、楽しくも熱心にカードの関連について議論する参加者の皆さんの姿が見られました。

グループ発表では、相互のまとめ方の差異や着眼点の多様性等についての気づき等について興味深い意見共有が行われていました。


模造紙使用グループの体験の様子

矢印マーク使用グループの体験の様子

模造紙使用グループの発表の様子

矢印マーク使用グループの発表の様子
模造紙使用グループの取りまとめ結果
矢印マーク使用グループの取りまとめ結果

グループ発表の後は、先入観なしの状態で「ミステリー」を体験していただいたので、高橋氏より「ミステリー」を教材として活用する際の注意点や、発祥元のヨーロッパでの開発・実践事例、日本での開発・実践事例等について紹介していただきました。

ミステリーの学習体験前後での教育効果に関する評価はどのようにして行うのかとの質問があり、高橋氏より別テーマのミステリーで使用した実際の事前・事後アンケート表の共有がなされるなど、内容について積極的な質疑応答も行われていました。

その後は、参加者の皆さんやスタッフの間で自由に感想や改善提案、今後活用できそうな機会等について意見共有いただく時間を設け、その内容を付箋に記入していただきました。

体験して楽しかったとの感想や、ミステリーで使用するカード内容、矢印マークの改善提案、SDGs、防災、ビジネスなどの機会での活用提案など、今後の展開にも大いに期待を寄せていただきました。

参加者の皆さんに記入いただいた感想、改善提案等の付箋

少人数ながら、参加者同士のコミュニケーションも積極的に行われ、質疑等も気軽な雰囲気の中で応答が行われ、参加者・スタッフ相互に新たな気づきや発見が得られたワークショップとなりました。

「気候変動適応のミステリー(仮称)」は、11月中をめどにA-PLAT上で公開し、広く活用いただけるようにさせていただく予定です。

(2020年11月19日掲載)

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