「令和2年度 気候変動適応研修(中級コース)」を開催しました。

開催日 2021年1月29日(金)
開催地 オンライン開催(Zoomウェビナー)

令和3年1月29日(金)、地域の気候変動影響情報の収集・整理や地域気候変動適応計画の策定方法に関する理解を深めていただくため、地方公共団体等の職員を対象に専門家の講義を中心とした研修を開催しました。都道府県、市町村、地域気候変動適応センター等から200名を超える方々にご参加いただき、各分野の第一線でご活躍の講師の皆様からご講義いただきました。

全体のプログラムは以下のとおりです。

番号 時刻 研修項目 講師
10:00 – 10:10 主催者挨拶および研修概要説明 国立環境研究所 気候変動適応センター
向井 人史 センター長
講義1 10:10 – 11:10 気候変動予測の背景 気象庁気象研究所 高薮 出 主任研究官
講義2 11:10 – 12:10 気候変動予測の見方 気象庁気象研究所 高薮 出 主任研究官
講義3 13:10 – 14:10 農業分野の気候変動影響と適応策の評価 農研機構 農業環境変動研究センター
西森 基貴 ユニット長
講義4 14:10 – 15:10 暑熱分野の気候変動影響及び適応 -健康に焦点を当てて- 筑波大学 本田 靖 名誉教授
国立環境研究所 気候変動適応センター・客員研究員
講義5 15:20 – 16:20 自然環境における気候変動影響との付き合い方 国立環境研究所 気候変動適応センター 気候変動影響観測・監視研究室
小出 大 研究員
講義6 16:20 – 17:20 豪雨災害に関する気候変動予測と適応 京都大学防災研究所 中北 英一 教授
17:20 – 17:30 閉会挨拶 国立環境研究所 気候変動適応センター
吉川 圭子 副センター長

午前中の【講義1】では、気象庁気象研究所の高薮 出主任研究官から、「気候変動予測の背景」と題して、気候シナリオとは何か、ダウンスケーリングとは何か、データセットはどのようにユーザーに届くのかなど、専門的な内容をかみ砕いてお話をいただきました。

【講義2】では、同じく高薮主任研究官から、「気候変動予測の見方」と題して、観測データとモデルデータの違い、モデルデータ活用の際のポイント、ユーザーが対策策定に活用する際に注意すべき点等についてご講義いただきました。地方公共団体の担当者として知っておくことが望ましい内容に焦点を当て、丁寧にご紹介いただきました。

午後の部に移り、【講義3】では、農研機構農業環境変動研究センターの西森 基貴ユニット長から、「農業分野の気候変動影響と適応策の評価」と題して、農研機構のプロジェクトの成果を中心にお話しいただきました。気候変動適応策の策定に関わる自治体の環境部局のみなさんが、農業部局とコミュニケーションを図る際に必要な知識を習得できることを目標に解説くださいました。

【講義4】では、筑波大学の本田 靖名誉教授に「暑熱分野の気候変動影響及び適応 -健康に焦点を当てて-」と題して、健康分野の適応についてお話をいただきました。全球~日本レベルでの気候変動の健康影響に関するお話をされた後、特に重要な熱関連超過死亡および熱中症救急搬送の問題について言及され、適応策の考え方についても、その課題とともにご紹介くださいました。

【講義5】では、国立環境研究所気候変動適応センター小出 大研究員から「自然環境における気候変動影響との付き合い方」と題して、自然環境における気候変動影響に対する適応の基本的な考え方について話がありました。地域に根差した適応策を実施し、持続させていくために私たちはどう行動するべきかなど、様々なヒントを織り交ぜながら、自然環境分野での適応策の立案手順に沿って、わかりやすい講義が展開されました。

最後の【講義6】では、京都大学防災研究所の中北 英一教授から、「豪雨災害に関する気候変動予測と適応」と題してご講義いただきました。どのような気候予測データセットがあり、どのように豪雨災害予測に使うかなど気候変動予測の研究から得られた最新の知見とともに、後悔しない豪雨災害に対する適応のあり方についてお話くださいました。また、環境部局の皆様には自然災害分野も含めた広い分野の関係者に適応の重要性を周知する核になってほしいとのメッセージもいただきました。

今回の研修は、地域気候変動適応計画の策定に向けた中級者向けの研修として、これまで行ってきた「気候変動適応研修」とは異なる構成・内容で、国立環境研究所・気候変動適応センターとして初めて取り組んだものです。最先端の研究に関わる研究者の皆様にお話しいただきました内容が、地域気候変動適応計画の立案・検討に役立つことを願っています。
国立環境研究所・気候変動適応センターでは、今後とも地方公共団体のみなさまからの要望を踏まえながら研修を企画して参ります。

(2021年3月11日掲載/2021年3月17日更新)

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