「令和2年度 気候変動適応研修(中級コース)」参加者アンケート調査結果のご報告

日時 令和3年1月29日(金)10:30~17:30
場所 オンライン開催(Zoomウェビナー)
主催 国立環境研究所 気候変動適応センター

2021年1月29日に開催した「令和2年度気候変動適応研修(中級コース)」の参加者全216名へGoogleフォームを活用したアンケート調査を実施し、うち102名の方から回答をいただきました。ここでは回答の一部をご紹介します。

1.本研修について

Q.今回の研修は、全体的にご受講の目的に合っていましたでしょうか。

グラフ:受講目的に合っていたか

全体として「目的に合っていた」及び「概ね目的に合っていた」の合計が85%となり、中級レベルの研修としては、受講者の想定に概ね近いものとなっていたと考えられます。
ただし、「講義の内容が高度で難解だった」「専門用語が難しかった」「参加者の所属する自治体の実施内容に合わない」「自治体の取り組みの具体例の提供が欲しい」等のコメントやご要望も寄せられておりました。
参加者の気候変動適応に関する知識や理解度等に合わせ、既存の初級研修参加へのご案内をする等の配慮や、用語集・補足解説資料の提供等、専門的な内容の理解を支援する資料・教材充実の必要性が示唆されました。

Q.講義の難易度や今後の業務への有効性に関する設問への回答について(概要)

講義の難易度については、講義1、2の気候変動予測分野、講義4の暑熱分野、講義6の豪雨災害分野について、半数近くの回答者が「難しかった」と回答されていました。
ただし、講義の内容について、全体で約40%以上の参加者に「今後の業務に役立つ」と回答いただいており、中でも、講義1、2の気候変動予測分野、講義5の自然生態系分野、講義6の豪雨災害分野の講義は、半数を超える参加者が「今後の業務に役立つ」と回答されておりました。このことから、今回の講義内容は自治体業務において一定のニーズがあることが示唆されており、講義の難易度低下は必ずしも望まれていないことが窺えます。ここからも、用語集・補足解説資料の提供等、専門的な内容の理解を支援する資料・教材充実の必要性が示唆されます。

Q.今後、中級レベルの研修として取り上げてほしいテーマ等がありましたら、ご自由にご記入ください。

取り上げてほしいテーマの大まかな内容として、以下が挙げられていました。

  • A-PLATや気象庁のデータの使用方法
  • 影響評価の実施方法・実際のデータ等を使用した演習
  • 気候変動影響評価報告書の読み解き等も含む、個別分野の解説(農業、林業、水産業、生態系、水資源、海運、健康、自然災害、ビジネス等々)
  • 気候変動が広く関わるテーマ(緩和策も含めた気候変動対策、SDGs、生物多様性等)
  • 各自治体で実施されている具体的な先行事例の紹介

なお、影響評価の実施手法やその結果の適切な解釈等の習得については、各講師から講義内でも説明があった通り、専門知識が不可欠であり、参加者の理解を支援する資料・教材の充実についてもあわせて検討する必要があると考えられます。

Q.今後、レベルを問わず、研修、資料配布等の形で、自治体の気候変動適応推進に役立つと考えらえるものがありましたら、ご自由にご記入ください。

自治体の気候変動適応推進に役立つ研修及び資料等の希望の大まかな内容として、以下が挙げられていました。

  • 気候変動に関する基礎知識、国の資料や各分野の専門用語の解説・情報提供(IPCC評価報告書の概要解説、今後改訂予定の気候変動適応計画策定マニュアルの内容解説、講義中に出てきた専門用語の用語集・解説、一般市民や庁内関係部局への普及啓発・合意形成等に役立つ資料等)
  • 先進自治体の事例共有(地域適応計画策定の具体的手順、データ等の入手方法、取組事例等)
  • 個別分野の解説、情報提供等(分野毎の緩和策・適応策、農業・観光業・適応ビジネス分野等の情報)
  • 影響評価の実施手法(分析手法、気候予測データの取り扱い等)

回答内容としては、今後の中級研修にて希望するテーマの回答内容と類似していましたが、参考資料の提供等、研修以外における情報や知識提供のニーズが一定程度あることが示唆されます。

Q.今回の研修につきまして、ご自由にコメントをお願いします。

「講義の内容について大変勉強になった」「個別分野でのより詳細な講義や演習の実施希望」等の多くのコメント・感想等と共に、「難しい専門用語の解説や補足が欲しかった」「早めの事前資料配布をしてもらえれば、勉強ができた」等のご要望も多く見受けられました。

そのほか「自治体担当者の知識レベルに合わせた研修の実施・案内」「市町村単位でのデータ収集や評価等に関する技術的支援をいただきたい」「気候変動影響に関する情報やイベント情報等の定期的発信をして欲しい」等のご要望も寄せられていました。

また、オンライン形式での研修開催維持や開催時間、今後の受講方法の工夫等についてのご要望も複数寄せられていました。今回は遠方の自治体担当者も多く参加されており、新型コロナウイルス感染症の影響に関わらず、オンライン形式での研修開催について一定のニーズがあるものと考えられます。

当アンケート調査において、気候変動適応センターが実施する研修や情報提供、技術的な支援等について、様々なご要望やご提案をいただきました。皆様からいただきました回答は、次回研修の充実など、今後の自治体の適応推進支援のために使用させていただきます。ご協力いただき誠にありがとうございました。

(2021年3月11日掲載)

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