令和4年度 気候変動適応研修(初級コース)の開催概要及びアンケート集計結果報告

Ⅰ.研修概要について

開催日 ①東日本:令和4年7月20日(水)10:00~15:45
対象:北海道地区、東北地区、関東地区
②西日本:令和4年8月2日(火)10:00~15:45
対象:中部地区、近畿地区、中国四国地区、九州地区
開催方法 オンライン開催(Zoomミーティング)
主催 国立環境研究所 気候変動適応センター

令和4年7月20日及び8月2日の2回に分けて、地域気候変動適応計画策定に関する基礎的な知見・方法の習得を目的として、講義及びグループワークから構成されるプログラムにて研修を開催しました。

2回の研修には、全国約80の都道府県や市区町村、地域気候変動適応センター等から約90名の皆様にご参加いただきました。また、事後アンケートには約60名の方から回答をいただきました。
以下、プログラムの概要及びアンケート集計結果の一部をご報告します。

地域別参加人数 参加者の属性

市区町村からの参加が多い研修となりました。

参加者集合写真
アンケート回答者所属 研修全体の満足度は?

9割以上の方から概ねご満足いただけました。

II.プログラムについて

プログラム2では、国立環境研究所の研究調整主幹の町村より、「地域気候変動適応計画の目的と考え方」というタイトルで、「なぜ地域ごとに気候変動への適応について考える必要があるのか」、「なぜ今から考える必要があるのか」、「何から始めればいいのか」についての説明を行いました。

講義のレベルは? 参加者からのコメント
  • 分かりやすい説明で、理解度が上がった。同じような言葉で庁内他部局に説明していきたい。
  • 何を進めればよいのかがまとまっていた。
  • 理解できたが、初級者としては情報量に多少戸惑った。
  • 目的や考え方に加え、その策定の必要性についてより深く、わかりやすく説明して欲しかった。そのほうが気づきや動機付けに繋がったのではないか。

プログラム3では、地域の気象台(東日本:東京管区気象台、西日本:大阪管区気象台)より気候の現状と将来予測について最新の情報をご説明いただきました。また、各種情報の掲載ページの紹介や気象データの取り扱いに関してご解説いただいたほか、気象データの取り扱いなどの相談はぜひ地域の気象台に寄せてほしいとのコメントをいただきました。

講義のレベルは? 参加者からのコメント
  • 初任者が分かりやすい内容で、他県・市町の状況、データの取り扱い先も分かりやすかった。
  • 「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」旨は、当然と思いつつショッキングであった。
  • 気象庁のデータが多く難しかった。
  • 参考資料の活用法について、解説して欲しいと感じた。

プログラム4では、地域適応計画策定に関する事例紹介として、都道府県及び市区町村(東日本:福島県、新潟県新潟市、神奈川県茅ヶ崎市、 西日本:福岡県、愛知県豊田市、栃木県那須塩原市)から計画策定あるいは改定について、苦労話などを交えながら具体的な事例を紹介いただきました。

事例紹介はいかがでしたか? 参加者からのコメント
  • 計画策定にあたっての経緯や進め方について聞くことができ、大変参考になった。
  • 自治体の担当の方々の本音や苦労話を聞けて、とても参考になった。
  • 計画策定時には本業務に携わっていなかったため、参考になった。
  • 計画の内容、策定方法についてはマニュアルで分かるところが多いため、もっと策定に当たって意識したところ、ポイントに焦点を当てて情報を提供してもらえるとよかった。

プログラム5では、国立環境研究所の気候変動適応推進専門員の砂川より、環境省作成の「地域気候変動適応計画策定マニュアル」の各STEPについて説明を行いました。本マニュアルに沿った策定が必須ではありませんが、適応計画策定の基本手順として、策定の流れを理解する上で有用と考えます。

講義のレベルは? 参加者からのコメント
  • 策定の流れをフロー図でわかりやすく説明していただき、理解が深まった。
  • グループワークと併せることで理解が深まった。
  • 今後の計画の改定時の参考にしたい。
  • 情報が多すぎる気がした。

プログラム6では、グループワークによって適応計画策定の模擬体験を行いました。参加者の地域等を考慮した少人数のグループに分かれ、適宜アドバイザーにも加わっていただきつつ、国立環境研究所のメンバーがファシリテーター・書記を担い、グループワークを進行しました。 事前にご連絡した参考資料からご自身の地域の情報を予めご確認いただいた上で、「地域気候変動適応計画策定マニュアル」に沿った形でSTEP1~4,6の内容について討論を重ねていきました。STEP6で検討した適応策について、課題を整理しながら分野ごとに対策の優先順位を検討し、最後に本研修を受けてまず何から着手するか、「決意表明」をしていただきました。

グループワークは参考になりましたか? 参加者からのコメント
  • 様々な視点から気候変動に着目することで、新たな考え方を知ることができた。
  • 自身の自治体他部局の職員を巻き込むためには、関心をもってもらうためのきっかけづくりが大切と思った。
  • 同じ適応策を考えていく中で、それぞれの自治体が今行っていることなどを聞くことができたので、様々な意味で参考になった。
  • 担当レベルでのグループワークによる、部局横断的、フレキシブルな案出し作業等がイメージできた。一方で、実際の計画策定時には、各部局の担当レベルではここまで掘り下げようとはしてくれないだろう。
  • もう少し時間が長いと良かった。
グループワーク成果物の例

III.その他アンケート結果について

充実した適応計画策定のため、より専門的講義は必要? 特に関心の高い分野は?
研修として望むものは?
  • 気候変動や、その適応策を自分事として考えることができるようなワークショップ。実際に受けたうえで市民の方に伝えていきたい。
  • 地方公共団体が連携して適応策を行うことを目的とした研修。
  • 先進自治体がどのような気候変動適応策をしているのか、もっと知りたい。
  • 自治体を対象とした影響評価を行うために、気候シナリオの扱い方を学ぶ研修。
環境省・国立環境研究所気候変動適応センターへの要望は?
  • 自治体が活用しやすい気象情報や各種データにわかりやすくアクセスできるようになるといい。
  • 各省庁が適応の概念を部門ごとに啓発し、各々の行政計画に適応の概念を盛り込んでいくことが効果的と考える。
  • 計画に骨子案のような物を作成して頂けるとこれから作る自治体が始めやすいのではと思った。
  • A-PLATの環境教育関係の情報をもっと充実させてもらいたい。

皆様からのご意見・ご要望の一部を抜粋しました。いただいたご意見等を参考に今後の研修やA-PLAT等の内容充実を図っていく所存です。アンケートへのご協力ありがとうございました。

(2022年9月20日掲載)

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