気候変動適応に向けた醸造用ぶどう生産に関する取り組み

掲載日 2023年10月18日
分野 農業・林業・水産業
地域名 海外(アメリカ合衆国カリフォルニア州)

気候変動による影響

カリフォルニアは気候変動による干ばつ、熱波、山火事、温暖化に直面しています。カリフォルニアのワイン醸造業者は、カベルネソーヴィニヨンやシャルドネなどの代表的なブドウ品種の栽培において、長期間の干ばつや気温上昇によるブドウの収穫量の減少を懸念しています(図1)。

取り組み

カリフォルニア大学デービス校は、ワイン生産地の気候を積算温度に基づいて分類し、どのブドウ品種がその地域に最も適しているかを示すウィンクラー・インデックス(WI)を1944年に公開しました。WIは世界各地で利用されています。更なるWIの更新を図るため、植物の成長、果実の化学的性質、ひいてはワインの品質に最も大きな影響を与える環境要因の全体像を把握するために、高度な監視技術とリモートセンシングデータを使用したワインの品質に影響を与える全ての要因情報の収集が実施されています(注)。
また、カリフォルニア大学デービス校では、醸造用ぶどうにおける気候変動の影響を軽減するため、耐乾性台木や気温上昇により発生するピアス病への耐性品種も開発しました(図2)。

効果/期待される効果等

新しいWIの確立や気候変動に適応する新しいブドウ品種の開発は、現在と将来の気候に適応したブドウ栽培を可能にすると期待されています。

カリフォルニアナパバレーにある研究用ぶどう園
図1 カリフォルニアナパバレーにある研究用ぶどう園
(出典:UC Davis 「When Smoke Gets In Your Wine
What Are the Solutions for Climate Change-Impacted Grapes?」)
研究に使用しているデータをまとめたカード(左)とカードの記入例(右)
図2 研究に使用しているデータをまとめたカード(左)とカードの記入例(右)
(出典: UC Davis Library 「Two women using UC Davis archives to update a seminal California wine study」)

脚注
(注)(収集する情報例)ブドウの樹冠内の光の強さ、土壌の特性、畑固有の灌漑慣行、推定水使用量、ブドウの化学的性質、温度、生理学など

出典・関連情報

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