10年に一度程度の大雨や短時間強雨に備えた下水道整備

掲載日 2023年7月24日
分野 自然災害・沿岸域
地域名 北海道・東北 (北海道札幌市)

気候変動による影響

気象庁による「気候変動監視リポート 2021」では、全国的に「短時間強雨」の発生回数の増加傾向が報告されています。また、札幌管区気象台の観測値では、35 ㎜/h(札幌市の下水道の整備目標)を超える降雨は、1980 年~2009 年の 30 年間で2回のみでしたが、2010年以降には3回も発生しており、札幌市内でも大雨の発生回数が増加傾向にあります。さらに、札幌管区気象台や、札幌市が独自に設置した雨量計のデータから、市街地における1時間あたり最大の雨量を見ると、2008年~2017年には複数の箇所で 50 ㎜/h 程度の降雨が観測されています。

取り組み

札幌市では、都市化の進展に伴う浸水被害を受け、昭和 53 年に「アクアレインボー計画」を策定し、10 年に 1 回程度の大雨(1時間雨量35mm)を目標とした雨水対策事業を実施しています。この計画は下水管路や雨水ポンプ場などの施設能力を増強する「拡充整備」と、雨水を地中に浸透させたり、一時的に貯留する「浸透式下水道」や「貯留施設」による「雨水流出抑制型下水道の推進」を主な施策としております。現在は、下水管路の拡充整備を進めており、2022年度末時点で、市内の整備完了面積の割合は9割に達しています(図1)。

近年は、下水道の拡充整備が完了している地区においても、局所的な大雨により浸水被害が発生しており、特に、周辺に比べて土地が低い窪地など雨水が集まりやすい場所では被害が大きくなっています。このような場所における被害を軽減するため、近傍の余裕のある河川や下水道管へのバイパス管整備などを進めています(図2)。この対策は2021年~2025年を計画期間とする「札幌市下水道事業 中期経営プラン2025」の重点項目として位置づけています。

効果/期待される効果等

札幌市では、今後も下水道の拡充整備を実施するとともに、局所的な大雨への対応として窪地などの浸水に弱い地区における対策を進め、都市機能の確保や、個人の生命や財産の保護に努めていきます。

アクアレインボー計画施策イメージ
図1 アクアレインボー計画施策イメージ
(出典:札幌市「札幌市雨に強いまちづくりビジョン」(平成 30 年 3 月))
新しい取組のイメージ
図2 新しい取組のイメージ
(出典:札幌市「札幌市雨に強いまちづくりビジョン」(平成 30 年 3 月))

出典・関連情報

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