「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」は、気候変動による悪影響をできるだけ抑制・回避し、また正の影響を活用した社会構築を目指す施策(気候変動適応策、以下「適応策」という)を進めるために参考となる情報を、分かりやすく発信するための情報基盤です。

クールスポットの創出と活用促進

掲載日 2023年12月14日
分野 国民生活・都市生活 / 健康
地域名 近畿(大阪府)

気候変動による影響

大阪府では 100 年間に約 2.0°Cの割合で平均気温が上昇しており(注1)、世界全体(約0.73°C上昇)や日本全体(約 1.19°C上昇)の上昇量よりも高くなっています。その理由としては、地球温暖化に加えて、都市部におけるヒートアイランド現象が起因していると考えられます。また、猛暑日や熱帯夜日数は(注2)100年前と比べ顕著に増加しており、2018年には7,000人以上が熱中症により救急搬送されました。

取り組み

大阪府では、野外空間におけるクールスポット(注3)の創出・活用促進を行い、夏の昼間の暑熱環境(注4)の改善に取り組んでいます。

クールスポットは、大阪府民への適応策の意識を向上させるため、まず人通りの多い交差点や駅前等の対策効果の高い場所に設置されました。さらに人の動線を考慮しながら、街路樹等による連続した緑陰形成を推進し、公園や公開空地等のクールスポットのネットワーク化を図っています。

また、大阪府では、府を含めた産学官民が連携してヒートアイランド対策の推進に取り組む団体「大阪ヒートアイランド対策技術コンソーシアム(大阪HITEC)」を平成18年に設立しています(注5)。その事業の一環として、身近に涼しさを感じられるクールスポットを平成24年に募集し、119件を選定しました。さらに平成27年には、スポット的な場所ではなく、ある程度の広がりをもって繋がる「涼しい道(クールロード)」を募集し、121件を選定しました。

大阪府は、このようなクールスポットの活用促進のため、マップやホームページ(注6)を活用した身近なクールスポットの周知を行っています。中でも、大阪 HITECによる事業を参考にした「大阪府みどりのクールスポットマップ」では、気温だけでなく、木漏れ日の状況や木々のざわめきなど人の感覚的な涼しさや、生き物の生態なども含めたみどりの清涼感に着目して選定しており、クールスポットの利用を広く呼びかけています(図)。

効果/期待される効果等

大阪府では、府内市町村や民間の取り組みによる新たなクールスポットが続々と誕生しています。このようなクールスポットは、快適な屋外空間となり利用者の体感温度を低下させます。また、街路樹等の陰は、人への日射を直接低減するだけでなく、路面への日射を低減し、路面温度の上昇抑制にも寄与しています。

大阪府みどりのクールスポットマップ
図 大阪府みどりのクールスポットマップ(大阪市内版)
(出典:大阪府「大阪府みどりのクールスポットマップ」)

脚注
(注1)統計期間:1883年~2022年 https://adaptation-platform.nies.go.jp/map/Osaka/index_past.html 
(注2)猛暑日:最高気温が 35℃以上の日のこと。熱帯夜:夕方から翌日の朝までの最低気温が 25℃以上になる夜のこと。
(注3)主に野外空間において人が涼しく感じる場所をさす。
(注4)人の身体に影響を与える夏の暑さ環境のこと。
(注5)大阪HITEC http://www.osakahitec.com/ 
(注6)大阪府みどりのクールスポットマップ https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/14099/00130964/omote_shinai_20140312.pdf
    大阪府みどりのクールスポット https://www.pref.osaka.lg.jp/kannosomu/midoritokazenogekan/coolspot.html

出典・関連情報