「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」は、気候変動による悪影響をできるだけ抑制・回避し、また正の影響を活用した社会構築を目指す施策(気候変動適応策、以下「適応策」という)を進めるために参考となる情報を、分かりやすく発信するための情報基盤です。

おおさか気候変動「適応」についての普及活動

掲載日 2023年12月14日
分野 普及啓発
地域名 近畿(大阪府)

気候変動による影響

大阪府では100年間に約2.0℃の割合で平均気温が上昇しており、世界全体(約0.73℃上昇)や日本全体(約1.19℃上昇)の上昇量よりも高くなっています(注)。その理由としては、地球温暖化に加えて、都市部におけるヒートアイランド現象が起因していると考えられます。

現在、省エネルギーや再生可能エネルギー(太陽光・風力発電等)の活用など、温室効果ガスの排出を減らす取組が世界中で進められています。しかし、IPCC第5次評価報告書によると、現状を上回る対策を取らない場合、21世紀末の世界の平均気温(2081~2100年)は基準年(1986~2005年)よりも最大で4.8℃上昇すると予測されています。

取り組み

地球温暖化に伴う気候変動による影響は、農林水産業や自然災害、健康など、私たちの日常生活と密接に関係する様々な分野において現れると予想されています。その影響による被害を回避し、又は和らげ、あるいはこれを有益な機会として活かしていこうという考え方が「適応」です。大阪府では、この「適応」という考え方を普及し、府民の実践につなげていくため、環境活動団体や地球温暖化防止活動推進員などが府民に対して「適応」の啓発を行う際の参考書となる、『おおさか気候変動「適応」啓発取組事例集』を令和3年に作成しました。

本事例集には、自治体が実施した「なにわの伝統野菜」に関するワークショップや、環境団体等が実施したセミナー等、温暖化適応推進事業でこれまでに実施された啓発内容や、環境団体・推進員・自治体等での活動事例が主に掲載されています。

事例は7分野(1.農業、森林・林業、水産業、2.水環境、3.自然生態系、4.自然災害・沿岸域、5.健康、6.産業・経済活動、7.府民生活・都市生活)に整理されており、各分野から2~7事例が紹介されています(図1)。各事例には、実施形態、実施内容、ポイント、留意点、平均所要時間、定員、準備物、実施団体が記載されており、地域や団体の状況に応じたプログラムの選択が可能です(図2)。

また、『おおさか気候変動「適応」啓発取組事例集』 だけでなく、気候変動適応に関する知識や地域でできる適応の取組について記載された「おおさか気候変動『適応』ハンドブック」も 作成しており、令和3年に改訂版が発行されています。

本ハンドブックは、地球温暖化のメカニズムや、気候変動による各分野への影響とそれに対する「適応」の取組を示した「知識編」、暮らしの中で個人が取り組める具体的な「適応」や地域での取組を示した「実践編」の2部構成となっています。

効果/期待される効果等

これらの事例集やハンドブックにより「適応」の考え方の普及や実践へつなげられ、気候変動の影響に備えるとともに、今後の地球温暖化対策の促進が期待されます。

大阪府における「適応」の7分野
図1 大阪府における「適応」の7分野
(出典:大阪府『おおさか気候変動「適応」啓発取組事例集』(令和3年3月))
掲載事例の例
図2 大阪府で実施された取組事例の記載内容
(出典:大阪府『おおさか気候変動「適応」啓発取組事例集』(令和3年3月))
適応の「知識編」と「実践編」の一例
図3 適応の「知識編」と「実践編」の一例
(出典:大阪府『おおさか気候変動「適応」ハンドブック 改訂版』(令和3年3月))

脚注
(注)【年平均気温の統計期間】
    大阪府:1883年~2017年
    世界:1891年~2017年
    日本:1898年~2017年

出典・関連情報