「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」は、気候変動による悪影響をできるだけ抑制・回避し、また正の影響を活用した社会構築を目指す施策(気候変動適応策、以下「適応策」という)を進めるために参考となる情報を、分かりやすく発信するための情報基盤です。

日傘無料貸出イベントでのWBGT測定・掲示

掲載日 2019年4月23日
分野 国民生活・都市生活 / 健康
地域名 関東(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市)

気候変動による影響

九都県市域等においては都市化によりヒートアイランド現象の影響が強く、猛暑日が年々増え熱中症搬送者が多くなっています。気候変動の影響が加わることで、暑さに関するリスクが今後さらに高まることが予測されています。

取り組み

九都県市首脳会議環境問題対策委員会が平成30年度夏季に7箇所で日傘無料貸出イベントを実施した際に、そのうちの3会場において環境省は、暑さ指数(WBGT)の測定・提示と日傘利用の普及に与える影響を調査しました。

よこはま動物園ズーラシア、千葉市動物公園、井の頭自然文化園の3会場の入り口付近で来場者へ日傘の貸出を行いました。その際に、日向環境と日傘下でのWBGT測定値をリアルタイムで表示(図1)し、注意喚起と日傘使用を進める声掛けを行いました。

効果/期待される効果等

測定の結果、日傘下では日向に比べて1~3℃程度のWBGT低減効果がありました。例えば、千葉市動物公園では日傘をさした場合、WBGT測定値が3℃下がり、熱中症警戒レベル(表参照)が1段階下がっていました(図2)。

 

また、暑さ対策の効果の提示によって、対策効果の理解を促進し、対策の普及促進につながることが期待されます。当調査では、WBGTの表示を行わない時間帯も設け、表示がある場合とない場合の日傘利用率(日傘貸出エリアを通った動物園来場者のうちの日傘を借りた人の割合)を比べると、いずれの会場でもWBGTを表示した場合に利用率が高くなる傾向が見られました。3会場平均では、WBGT表示無しでの利用率が27.0%に対し、WBGT有りでは33.5%と、WBGTを表示して呼びかけることで6%ポイント以上の利用率の上昇が見られました。暑さと対策の効果をリアルタイムの数値で表し、それを説得材料として呼びかけを行うことで、利用の促進が出来たと考えられます。

暑さ指数(WBGT)の測定

図1 WBGT表示状況(よこはま動物園ズーラシア)

暑さ指数(WBGT)の表示状況

図2 WBGT表示状況(千葉市動物公園)

表 日常生活における熱中症予防指針(日本生気象学会, 日常生活における熱中症予防指針Ver.3より)

表 日常生活における熱中症予防指針
出典・関連情報
環境省 報道発表「九都県市日傘貸出イベントにおける暑さ指数(WBGT)の測定・提供について」
https://www.env.go.jp/press/105746.html
九都県市首脳会議 環境問題対策委員会ホームページ「日傘の普及に向けた取組」
http://www.tokenshi-kankyo.jp/heat/higasa.html
環境省 熱中症予防情報サイト
http://www.wbgt.env.go.jp/
(一社)環境情報科学センター「平成30年度暑熱環境に対する適応策調査業務報告書」(環境省請負業務)
https://www.env.go.jp/air/report/h30-01/30.html