気候変動による影響
九州地方において、台風の発生数や接近数、上陸数に明確な傾向はありませんが、地球温暖化による気温の上昇と、それに伴う大気中の水蒸気量の増加に伴い、極端な大雨の強さが増大する傾向がみられます。近年の台風による九州電力管内の送配電設備の被害は、2015年(台風15号、16号)では合計728本、2018年(台風24号)では368本の電柱倒壊にみまわれました。また、沖縄県宮古島市内では、2003年の台風14号により約800本の電柱が倒壊し、緊急車両の通行、生活物資の輸送、ライフラインの安定供給に大きな影響を及ぼしました。
取り組み
国では2016年に無電柱化の推進に関する法律を定めており、地方公共団体に対し、地域のニーズに応じた条例の制定や、無電柱化推進計画の策定を推奨しています。これを受け、九州地方では早期より緊急輸送道路において新設電柱の占用を禁止する措置の実施が進んでいます(図1)。各県での無電柱化推進計画が策定される中、福岡市や熊本市、那覇市など、市町村レベルでも計画が策定されています。
また、無電柱化事業を行うためのノウハウや技術力が無い市町村が数多くあることを踏まえ、九州地区無電柱化協議会に「九州地区無電柱化ワンストップ相談窓口」が令和元年9月に設置されました。相談窓口では市町村からの支援要請を受け、無電柱化に関する幅広い助言等を行うことにより、円滑な無電柱化事業の推進とともに、無電柱化の普及拡大を図っています。
効果/期待される効果等
無電柱化により、自然災害発生時の電柱倒壊による家屋の損壊や緊急輸送道路等の遮断を防ぎ、災害に強い街づくりが可能となります。これに加え、安全で快適な通行空間の創造や良好な景観が形成され地域の活性化につながります。
脚注
(注1)自治体への聞き取りによる集計(平成30年6月30日までに告示)