気候変動による影響
沖縄県は、160の珊瑚礁の島々からなる島嶼県で、大きな河川や湖などの水源に恵まれず、また、降水量が年や季節によって大きく変化し、水を安定的に確保することが困難な自然環境にあります。とりわけ、沖縄県の離島地域では、渇水に伴う給水制限の実施や災害や事故等が発生した場合の応急給水体制の確保など、安定給水の面から多くの課題を抱えています。平成31年4月に公表された「沖縄長期水需給計画2019」によると、特に座間味村ではかなりの頻度で給水制限が行われており、気候変動が異常渇水などとして水資源に影響を及ぼすことが懸念事項として挙げられています。
取り組み
沖縄県では、これらの課題解消を図るため、平成28年度沖縄振興特別推進交付金等を活用し、膜を利用して圧力差による分離を行う逆浸透法(図1)を採用した可搬型海水淡水化装置を2台導入しました(図2)。その処理能力は1台につき200㎥/日であり、約220世帯分(約570人)に相当する給水が可能です。
平成29年は、沖縄県の8月の月間降水量が平年の19%にとどまり、観測史上最も少ない値となりました。梅雨明け以降、晴れの日が続いたことから座間味村では阿嘉島の水源であるウタハ堰の貯水量が低下したため、座間味村に可搬型海水淡水化装置の貸与が当装置導入後初めて決定されました。
また、南大東村の浄水場(海淡プラント)で不具合が生じた際にも、可搬型海水淡水化装置が貸与されました。職員並びに関連業者の迅速な対応によって、わずか3日間という驚異的な早さで運搬から設置・供用開始が達成されました(図3)。
効果/期待される効果等
可搬型海水淡水装置の導入により、災害や事故、渇水等が発生した場合への応援態勢を整え、安定供給を図ることが可能になると考えられます。