「気候変動リスク産官学連携ネットワーク公開シンポジウム~サステナビリティ情報開示における気候関連データの活用と『リスクと機会』への実践~」を開催しました。

開催日 2024年11月27日(水)13:30-16:30
開催地 オンライン(Zoomウェビナー)

環境省、文部科学省、国土交通省、金融庁、国立環境研究所は「気候変動リスク産官学連携ネットワーク」の活動の一環として「気候変動リスク産官学連携ネットワーク公開シンポジウム~サステナビリティ情報開示における気候関連データの活用と『リスクと機会』への実践~」を開催しました。

917名の方にお申込みを頂き、事後アンケートには327名の方からご回答をいただきました。以下、各プログラムの概要および事後アンケート集計結果の一部をご報告します。

第1部:基調講演

プログラム 登壇者
基調講演
「気候変動に関する企業の情報開示の最新動向」
東京大学未来ビジョン研究センター
教授 高村 ゆかり 氏

第1部では、サステナビリティ基準審議会(SSBJ)が公表したサステナビリティ開示基準の公開草案やEUの企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に関する動向等についてご講演いただきました。
図1は、参加者からいただいた第1部に対するアンケート結果です。93%の方から、第1部の講演が参考になった旨の回答を頂きました。コメントの一部とあわせてご紹介します。

図1 第1部の感想 参加者からのコメント(一部抜粋)
  • 気候変動に関する企業の情報開示の最新動向を知ることができて良かった。
  • 開示の内容が徐々に統一化されてくるという動きと、今までの開示内容に対してフェーズが進んできていることを感じた。
  • 気候変動に対して、他社の取組を把握したかったので大変勉強になった。
  • 企業の気候変動の対応や技術開発が非常に進んでおり、大変勉強になった。
  • SSBJの議論の内容がよく理解できた。シナリオ分析の重要性をあらためて認識した。
  • 世界のルール作りに負けないようにしつつ、経営に特化しすぎずに、気候変動対応できる仕組み作りを産学官で進めて欲しい。

第2部:気候変動における「リスク」と「機会」の評価と対応策

プログラム 登壇者
講演
「科学的根拠をもとにした財務影響の分析・評価環境戦略『EARTH FOOD CHALLENGE 2030』」
日清食品ホールディングス株式会社
経営企画部 次長
斉藤 圭 氏
講演
「TCFD提言の枠組みを活用した『リスクへの対応』と『機会の獲得』」
住友化学株式会社
サステナビリティ推進部 主幹
木村 雅晴 氏
講演
「TCFD情報開示『リスク』」と『機会』を踏まえたグループ環境ビジョン SHIMZ Beyond Zero 2050」
清水建設株式会社
環境経営推進室 企画部 部長
伊東 浩司 氏

第2部では、各企業より気候変動における「リスク」と「機会」の評価と対応策についてご紹介いただきました。図2は、参加者からいただいた第2部に対するアンケート結果です。93%の方より、第2部が参考になった旨回答いただきました。コメントの一部とともにご紹介します。

図2 第2部の感想 参加者からのコメント(一部抜粋)
  • 気候変動はリスクのイメージが強いが、「機会」というビジネスの捉え方は参考になった。
  • シナリオの作成とバージョンアップなど、具体的な苦労がわかって、非常に参考になった。
  • 企業の実際の取組、活用の仕方についての具体的な話は大変参考になった。
  • 現在、リスクと機会の見直しを行っており、参考になった。
  • 原料である作物の気候変動への影響など業界で共有データーベースで使える様になると、もっと踏み込んだ評価や対応策がとれると思う。
  • 地球、社会への影響が大きく、できる限りリスクを減らす努力と既にあるリスクと機会への対応策と対応の必要性を再確認できた。

第3部:企業における気候関連データの活用

プログラム 登壇者
講演
「建築分野における将来気候データの活用について」
株式会社竹中工務店 技術研究所
建設基盤技術研究部 都市環境グループ 研究主任
畔上 泰彦 氏
講演
「ESG評価機関における気候関連データの活用」
S&P Global Sustainable1
マネージングディレクター APACヘッド
大町 興二 氏

第3部では、企業から各社における気候関連データの活用についてお話いただきました。
図3は、参加者からいただいた第3部に対するアンケート結果です。88%の方から、第3部の講演が参考になった旨の回答をいただきました。コメントの一部もご紹介します。

図3 第3部の感想 参加者からのコメント(一部抜粋)
  • 専門性の高いお話だったが、こういったこともできるという例、どう取り込んでいくべきかを考えるきっかけとして勉強になった。
  • 気候関連データの活用は、あくまで傾向分析であり、そのまま予測に適応する判断は難しいが、対策等の準備として、非常に大切と認識している。
  • 今後も色々な業界での良い取り組み・課題・課題対応の共有機会を提供いただきたい。
  • 自社の事業分析に当てはめるのは難しいと思ったが、参考になった。
  • 気候関連データの活用は、企業によりその差はあるが、大きく影響が出てくる建設関係の企業においてはかなり活用している実態に感心した。
  • 具体的な活用事例まで至っていないように感じた。例えば、入手項目、場所(提供元)、加工の仕方、反映などが少なかったように思った。

第4部:パネルディスカッション【気候変動リスクに対する企業のレジリエンス強化に向けて】

 
プログラム 登壇者
Q&Aセッション
パネルディスカッション

【パネリスト】

  • 東京大学未来ビジョン研究センター 高村 ゆかり 氏
  • 日清食品ホールディングス株式会社 斉藤 圭 氏
  • 住友化学株式会社 木村 雅晴 氏
  • 清水建設株式会社 伊東 浩司 氏
  • 株式会社竹中工務店 技術研究所 畔上 泰彦 氏
  • S&P Global Sustainable1 大町 興二 氏

【モデレーター】

  • 国立環境研究所 気候変動適応センター 室長 岡 和孝

第4部では、講演いただいた企業への質疑応答およびパネルディスカッションを行いました。図4 は、参加者の第4部に対するアンケート結果です。78%の方から、第4部が参考になった旨回答いただきました。コメントの一部とともにご紹介します。

図4 第4部の感想 参加者からのコメント(一部抜粋)
  • 経営層への理解を深める、会社全体へのコミュニケーションをとっていく、というのは普遍のテーマだと痛感した。
  • 開示において自社の取り組みをいかに客観的に分かり易く発信して理解してもらえるかが重要であることを改めて感じた。それにはやはりデータの活用がその方策の一手を担うと思った。
  • 業種によって、多面的な意見が聞けて良かった。
  • リスクや機会のシナリオ分析結果について、同業企業にとって、活用できるものが多いはず、という意見について、確かにその通りと感じた。取組が遅れている企業のために、有効活用できる仕組みを構築してあげると、日本における企業の情報開示はより進むだろうと感じた。
  • 参考になったが、もう少し具体的な議論を伺えれば、と感じた。
  • グローバル展開している企業にとって、どのような規制・法にも対応できる技術を持っておくことがレジリエントだ、という考え方は初めて知ったので勉強になった。

シンポジウム全体

図5は、参加者のシンポジウム全体に対するアンケート結果です。91%の方から、本シンポジウムに満足いただいた旨の回答をいただきました。コメントの一部もご紹介します。

図5 全体の感想 参加者からのコメント(一部抜粋)
  • 定期的に機会が有ればシンポジウムを開催してもらえると良い。
  • 多様な業界の企業の取り組み事例を聞くことができてとても興味深く聴講させていただいた。その中からも参考になるメッセージもあり、今後の業務に生かしていけたらと思う。
  • 企業が対応に苦労した点などは、非常に参考になった。
  • 自身が関わる仕事と全く異なる業種の企業における動向を知ることができ、異なる視点を得ることができた。
  • 今まで、あまり具体的に見えていなかった業種別企業の温暖化対策がわかり参考になった。ただ、プライム企業だけでなく、もう少し規模が小さくても環境意識、対策に意欲があり、明確な対応を行なっているところも少し分かると、また、いいかと感じた。
  • TCFDの意味、企業への投資のアチーブメントの一部として、また企業の責務と貢献についてのあるべき姿であると思うには少し物足りなさを感じた。

以上、アンケートにご回答いただいた皆様には、全般的に高い評価をいただきました。さらに、改善点等に関して具体的なご指摘をいただき、また、今後の本シンポジウム開催に関するご意見やご要望も頂戴いたしました。皆様の貴重なご意見に感謝申し上げます。国立環境研究所気候変動適応センターでは、今後とも皆様からいただいたご意見やご要望を参考とさせていただきながら活動していく所存です。

なお、一部の講演資料、事前にいただいたアンケートの結果概要は下記リンクからご参照頂けます。

出典・関連情報
(2025年1月8日掲載)

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