グリーンインフラの活用

掲載日 2024年6月10日
分野 自然災害・沿岸域 / 水環境・水資源
地域名 関東 (神奈川県横浜市)

気候変動による影響

横浜市の下水道事業は、都市化の進展に伴う浸水被害解消のため、雨水幹線・雨水調整池などのハード整備や、自助共助の促進支援に向けたハザードマップなどのソフト対策に取り組んできました。しかし、近年、気候変動の影響と思われる自然災害の増加・激甚化による浸水リスクがより一層高まっており、更なる対策が求められています。

取り組み

横浜市では、これまでの浸水対策に加え、被害を最小化・回避する適応策として、グリーンインフラを活用(注)した取組を推進しています。具体的には、公園、樹林地、農地など自然環境が持つ多様な機能を活用するグリーンインフラを、多様な主体と連携を図りながら下水道事業へ導入することにより、浸水対策の強化と地下水のかん養など良好な水循環の再生を図っています。以下に、グリーンインフラを活用した幾つかの取組事例を紹介します。

◎グリーンインフラを活用した取組事例

1.公園における取組(図1)

公園は憩い・安らぎの創出、生物多様性、ヒートアイランド対策など幅広い機能を備えたグリーンインフラです。公園のグリーンインフラとしての機能をより高めるため、施設の新設・更新の機会を捉え、広場や園路の透水性舗装への改良や貯留浸透砕石層への置き換えにより、保水・浸透機能の向上を図っています。

2.農地における取組(図2)

市内には、約3,000haの農地が広がり、市民に身近な場所で農業が盛んに行われています。農地を活用したグリーンインフラの取組では、農地の傾斜を平坦に改善することや、畑の土を深く耕すことにより、保水・浸透機能と生産性を高める取組を試験的に行っています。この取組では、農業者や大学と連携し、雨水の浸透性や野菜の生育などの効果検証も実施しています。

3.自宅における取組(図3)

自宅でできるグリーンインフラ活用として、地下水を涵養し水辺と緑を保全することで、良好な水環境を次世代に引き継ぐため、宅内雨水浸透ますや雨水貯留タンクの設置を促進しています。

効果/期待される効果等

横浜市では、これまでの公園事業との連携に加え、市営住宅の建替事業と連携したグリーンインフラを活用する取組の開始など、さらなる気候変動に適応する取組の強化を予定しています。

公園における取組事例
図1 公園における取組事例
(出典:横浜市ウェブページ「気候変動に適応したグリーンインフラの活用」)
農地における取組事例
図2 農地における取組事例
(出典:横浜市ウェブページ「気候変動に適応したグリーンインフラの活用」)
自宅における取組事例
図3 自宅における取組事例
(出典:横浜市ウェブページ「気候変動に適応したグリーンインフラの活用」)

脚注
(注)グリーンインフラの活用は、自然環境が有する多様な機能を社会の様々な課題解決に活用するという考え方。「グリーン」とは単に「みどり・植物」という意味だけではなく、農地、河川、樹林地、田んぼ、公園などの自然環境全般、または環境と共生した社会資本整備や土地利用を進めるという考え方をグリーンインフラと総称する。

出典・関連情報

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