「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」は、気候変動による悪影響をできるだけ抑制・回避し、また正の影響を活用した社会構築を目指す施策(気候変動適応策、以下「適応策」という)を進めるために参考となる情報を、分かりやすく発信するための情報基盤です。

鶴見川多目的遊水地の中にある新横浜公園

掲載日 2018年11月21日(最終更新日:2020年1月9日)
分野 自然災害・沿岸域
地域名 関東(神奈川県)

気候変動による影響

一級河川に指定されている鶴見川の流域では、都市化が進行し、気候変動による水災害リスク増大の影響を受けやすい特性があります。

取り組み

鶴見川流域にある新横浜公園は、鶴見川多目的遊水地の中に整備されています。平常時は公園として多くの方々に利用されていますが、洪水時には治水施設としての役割を果たします。鶴見川の水位が上昇した時に、一時的に河川の水を引き込み、洪水の一部を溜めることで下流域への洪水被害を低減させることを目的とした施設です。なお、新横浜公園内にある日産スタジアムは、千本以上の柱の上に乗る形で建設されており、洪水時にはスタジアムの下にも水をためることができる仕組みになっています(図)。

効果/期待される効果等

鶴見川多目的遊水地は、もともと自然の遊水機能を持つ地区に位置し、人工的に洪水調節の機能を向上させることにより、遊水地周辺地域をはじめ下流地域を洪水の危険から守ります。

2019年10月12日に通過した台風19号による大雨では、鶴見川の水位が上昇し、鶴見川多目的遊水地は約94万立方メートル※の洪水を一時的に貯留しました。直近に設置されている亀の子橋水位流量観測所の水位は、6.58メートル※まで上昇しましたが、鶴見川多目的遊水地が無かった場合、さらに水位が約0.3メートル※上昇し、氾濫危険水位を超過したと推定されます。また、台風通過翌日の10月13日には、日産スタジアムでワールドカップラグビー2019大会の予選リーグ最終戦が無事開催されました。

※本数値は、速報値であるため、数値が変わる可能性があります。

遊水地の仕組み(左:平常時、右:洪水時)
図 遊水地の仕組み、(左)平常時 (右)洪水時
(国土交通省関東地方整備局京浜河川事務所の図を基に国立環境研究所が作成)
出典・関連情報
国土交通省関東地方整備局京浜河川事務所ホームページ「鶴見川多目的遊水地事業」
https://www.ktr.mlit.go.jp/keihin/keihin00119.html
鶴見川流域水協議会 「地球温暖化適応策の推進 行動指針」
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000638259.pdf
(公財)横浜市体育協会「新横浜公園の多目的遊水地機能」
https://www.nissan-stadium.jp/csr/safety03.php
国土交通省関東地方整備局京浜河川事務所、令和元年10月16日(水)記者発表資料「鶴見川多目的遊水地で台風19号の洪水を貯留~運用開始以降、3番目の洪水量を貯留~」